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75.みんなが凍ります


衝撃の強いものを見てしまい、口数も少なくなる今日この頃。いかがお過ごしですか。


いや、いかがも何もないな。


あれはなんだったのかと呆然とつぶやく元気しかなかった。いや、元気なんてものは誰にもさらさらないんだけど。


「メタルアントって魔物だねぇ〜。」


誰かがつぶやいた言葉に桜花はのんびりと答えるのだった。


1人、放心するでもなく、みんなの様子に苦笑を浮かべている。


「メタルアント?!あれがか?」


「あれがかぃ?」


桜花の返答にユキが驚いたような声を出し、桜花を見た。魁斗もまた、目を丸くして、桜花に視線を向けていた。


2人はいち早く、正気に戻ったようだ。びっくりした様子で桜花を見ている。陸地にあげられた深海魚のよう。


「ん〜?そうだよー。」


2人のリアクションに目を丸くしながらも、桜花はうなずいた。


何で二人が目をまんまるにしているかは一切、理解できていない様子だ。


「あん?知ってんのかよ?」


「硬い身体が特徴の魔物だ。武器の材料として重宝されている。たいして捕まえるのに苦労せず、しかし、武器の材料としては優秀なんだ。」


捕まえられるものならば欲しい!


ユキは自分の欲望まで含めてテンション高めに説明した。


「捕まえるのに苦労しないって…あれ、簡単に倒せるようには見えなかったわよ?」


だが、ユキの説明がふに落ちず、マリは眉間にシワを寄せつつ、ユキを見た。


思い出すだけでもゾッとする。


あんなものが簡単に倒せるようには到底思えない。蟻がゾウを見て、あれ、倒せるんだぜ⭐︎と言っているようなものであるように感じられる。


そんなこと、できるものか。


「いや、それはそうなんだが…メタルアントの討伐は難易度が高くないはずだ。」


マリの考えに同意だが、メタルアントは簡単に捕まえられる魔物とされていた。間違いはないはずとユキは言う。


明らかにヤバそうだった。アレを捕まえるの、難易度低いの?本当に?


困惑顔のユキを疑うわけではないが、簡単には信じられない。


迫ってきていたあの大量の魔物はメタルアントであった。


一般的に捕まえやすいとされる魔物であり、様々な材料として使われている。


その事実が受け入れられず、一同困惑モードにあった。


「メタルアントって知能は低いし、単調な動きをするから、捕まえるのは容易いのね。レベルはG。」


レベルを明らかにされてもやはり、困惑するのだった。


最弱レベルのGランクであれば、戦闘員でなくとも何とか倒せるとされるレベルのはず。


だが、そうには見えなかった。


実際見聞きして感じたものは大切だ。レベルがこうだからと侮ればあるのは死のみ。己が恐怖は身を守るために重宝すべき。無視してばっかでは痛い目を見る。


それもまた事実。


だが。


今回、それの限りではないと言うことなのだろうか。アイツらはもしかしたら、こちらが感じるよりも恐ろしくない存在なのだろうか。


「ただし、集団で行動するから、さっきみたいに出会ったら集団で襲いかかってくる。そこが厄介。集団で襲うなんて、はじめの何体かは犠牲になるのが必須なのに、死ぬことを恐れず、躊躇う事なく、人を殺すためだけに行動するから恐ろしい。捨て身の攻撃なんて受けちゃうとねぇ。」


身を低くし、降りやすくしていたチビから降りようとしている佳那子達に自然に手を差し伸べつつ、桜花は説明を続けた。


知識と現実で見たものとの差異に困惑顔となる面々に対する説明だ。


知識はあってるし、だけどもヤバイと感じた感覚も間違ってはいない。そう説明する。


「アイツらは5体以上いれば小隊のような動きをし始め、レベルF相当。10〜20体とかいればE相当とされている。下手に戦わず隠れた方が楽よー。」


桜花の説明で、皆がやっと納得した。


一体ならば弱いが、集団を成せば力を発揮する。


人にも通ずるところがある魔物は少なくない。メタルアントはそういう魔物かと頭に刻んでいく。


「にゅ!」


佳那子達を下ろしたチビは1鳴きすると、何処かへ向けてかけて行った。


桜花はそれに対して、視線を向けることもなく、なおも困惑顔の面々に話し続ける。


自身の武器の単独行動は良いのだろうか。自由すぎる。


「単体ならば、本当に容易いんだけど集団になると厄介なんだよねぇ。加工はしやすいし丈夫だから人気なんだよー。最近じゃあ、フライパンとか家具家電の材料としても使われているはず。」


中々性能のいいフライパンなんだよ、と桜花は話す。


桜花以外にフライパンをこの学園に来てから掴んだのは佳那子のみ。


料理をする者が少ない中、メタルアントが使われたフライパンの何が凄いかを説明しようとワクワクしていた。


それに対して興味を持つ者は少ないだろう。そんな話を桜花は楽しそうに話し出そうとしていた。


が。


「もしも森で遭遇したら、どうすれば良い?」


秋明に会話を割り込まれてしまった。


どうでも良い説明が始まる前にと秋明は自分の聞きたいことを聞いた。


他の面々も対処法は知っておきたく、桜花を真剣な顔で見ていた。


「あの子らは木には登ってこれないから、気配感じたら、木の上に登って息殺してやり過ごせば良いよ?基本、知らない魔物に遭遇したら、回避するほうがいい。隠れてやり過ごしつつ、観察してどんな特徴があるかを知るの。で、帰ってから調べる。対処法を知らずにむやみに突っ込むのは危険だよー。死にたがりの馬鹿がやることー。」


回避。


桜花が示したのは実に桜花らしくない返答であった。


桜花ならば1も2もなく突っ込みそうだが、それはしてはならないと言う。


「メタルアントを捕まえるのはどうやったら良いんでぇ?あの群れに正面から行くってぇのは危険だろ?簡単に捕まえられるようには見えなかったぜ?」


メタルアントは簡単に捕まえられると言われている魔物であるはず。


どのようにして捕まえるのか。


集団で行動するメタルアントは簡単には捕まえられないように感じられる。


単体ならばたいしたことがないとはいえ、単体で行動などしないだろう。


ならば、どうするのか。


「えー?罠を張るとかかなぁ。一体二体なら本当、たいした魔物ではないから、罠にかかったのを持って帰るのがよくやられるかな。正面から戦うより綺麗な個体が手に入りやすいっていわれる。」


罠。


中々、古典的なやり方が推奨されているらしく、相手が集団であるならば、個々になるように罠を張れば良い、と。


「罠にかかったメタルアントは死んでいるとは限らないよな?」


「まぁそうだね。首のとこをシュッてやれば、すぐに動かなくなるよ。弱点となるそこだけ、皮膚が柔らかいから。」


倒すのは本当、簡単なんだよーと桜花は言う。


集団でなければ恐るるに足らない、と。


「罠って自分で作るんですか?」


「武器屋とかに売ってはいるけど、作った方が安いね。手作りのって本当、ハイレベルなのあるんだよ。メタルアント狙いの罠に時々、人が引っかかったり。」


「人が?」


「そ。気づかず罠にかかっちゃうの。魔物の張り巡らす罠だけでなく、人の罠も要注意なのねぇ。メタルアントに出会ったならば、この周りにあれを狙った罠があるかもって注意した方が良いよー。」


怖い怖いと桜花は笑う。話している内容の割に、桜花は朗らかに話していた。


明らかに、明るく話すような内容ではない。罠にかかっている人を自身で想像してしまったマリは顔を青ざめていた。他の面々も表情はかたい。


「そういえばさ。さっき、武器を構えてなかった子達いたけど、ダメだよー?」


桜花は思い出したかのようにみんなの顔を見渡しつつ言った。


「魔物の気配を察知したらとりあえず、隠れて様子を伺い、倒せそうなら先手必勝を狙う。無理なら回避。回避できないなら撤退。いつでも戦えるように武器は構えときなよ〜?気ぃ抜いちゃぁダメー?注意しないと。」


すぐに桜花に頼ってしまったわけだが、確かに武器を構えず、言われるがままに隠れていた者もいた。


マリも武器を構えず、震えていた1人だ。


戦闘になっていたかもしれない。あれでは足手まといにしかならなかった。


言われてから気がついた。


気をつけないといけない。マリは自身の武器を触れつつ、思う。


「にゅ。」


桜花の説明やら注意やらが終わったのを見越してか。


チビが戻ってきたようだ。


チビが戻ってきたと、みんなが視線を向けーーーそして凍りついた。


カッチーーーン。


と、まるでネタのようなほどに固まってしまったのだった。


読んでいただき、ありがとうございます^ ^

楽しんでいただけましたでしょうか?


春ですね

4月…

時期、私の誕生日がきます

何歳になるかは……思い出しません

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