69.遠足の準備をするようですよ⑥
私のイメージがやばいのではないかと気にしつつ、お兄さんを見つめれば苦笑された。
お兄さんや、頭を撫でられても誤魔化されないよ?
「何となくでぇ。できないのかぃ?」
む。
そんな風に言われると困っちゃう。
一通りの基礎知識、基礎技術は身につけているから、できちゃうし、みんなに比べれば詳しいのも事実ではある。
「作ろうと思えばできるけどさぁ〜。教わったからねぇ。ただ、私にはチビがいるからね?激袋投げるよりチビ投げたほうがいろいろ早いからあまり使わないんだけど。普段は持ってはいるけど、あまり使わない。」
とはいえ、激袋を持つこともあるけど私としては武器を投げた方が早いんだって。
激袋だったらその場の足止めだけど、私の武器は敵を倒すまで攻撃を繰り返してくれるから。優秀なのだよ?
だから、特別毒物に明るいわけじゃあない。チビがいるから詳しくなる必要ないし。激袋なんて滅多に作らない。
最悪、私が死なない限りはチビは何度でも復活するから、チビを置いて逃げた方が確実に逃げ切れるからね。
やりたかないけど。
有事の時にはチビにやれと言われる。やりたくはないけど。主人がやりたくない事を強要するなんて、酷い武器なのね。
「あ〜、確かに。」
お兄さんはチビを見て納得。
激袋より役立つ投げれる系武器が私にあると思い出したようだねぇ。投げるより先に自ら飛んでくれる優れ物⭐︎
ドヤ顔してるけど役立つ可愛い武器なんです!やりすぎちゃうのが欠点です!止めなきゃ徹底的にやっちゃいます!
「とはいえ、毒物の知識はつけた方がいいよー。毒のある魔物もだけど、森の中って意外に毒物多いから。摂取したら、対処が必要だからっていろいろ学ばされたんだよなあ。」
何かあった時に役立つから知っておいて損はない。
知識は己を救う武器なのだよ。全く知らないじゃ、何かあった時に困っちゃう。自分を救う手立てがないんじゃどうにもならないからね。
幼い時の勉強だって考える力をつけるためにやるのであって無駄じゃないってね。いつどんな時に役立つか分からないわけだよ。
「毒と言えば、確か、なんでも解毒できるとかいうの、なかったかぃ?」
ふと思い出したようにお兄さんは言った。
あるにはあるけど。
有名なものでもあるけど。
常備薬には向かないかな。
だから、みんな様々な毒を知り、さまざまな薬を作るわけなのだよ?
常備できるならばみんながみんな、それを持つでしょう。毒で死ぬリスクをさげておきたいもの。
「………作るにしても買うにしても常備するのは困難じゃないかなぁ。一応、持っているけど。」
持ってはいるけど、それに頼らなきゃいけない場面には出くわしたことがない。
そういう万能薬って、他では対処しようがないって時にしか何となく使えないじゃない?
そして。
そんな事態にはまだ陥っていることって滅多にない。なんなら、私はそういう事態には陥りにくい。
使う機会が絶対的に少ないんだよね。そういう状況に陥ることがないとも言えないから持ってはいるけど。
「あるんですか?!」
持ってるよーと言えば、薬の調合をしたりもするカナちゃんが食いついてきた。
珍しいものでもあるし、欲しいのかしら?
「ん?師匠にもらったやつと、ノリで作ったやつと。いる?」
「いえいえいえっ!いただけるようなものではありませんよ。そんなっ!高価すぎます!」
ぶんぶんぶんぶん!と、頭やら手やらを振るカナちゃん。なかなかに大袈裟な動きになっている。
そこまで大袈裟な反応しなくて良いのになぁ。
「もらいもんだからなぁ。作った奴は材料集めからやったからタダだし。」
「えっ!?集めたんですか?!」
目をこれでもかと見開いたカナちゃん。目ん玉飛び出るくらいに驚いてる。
それも無理はないかな?
集めるとしたら本気で大変ーーーというか、私には無理ゲーだから。師匠達全員に来てもらって、助けてもらわないと私らには無理だった。あれは死ぬわー。今やるのも無理かなー。というか、行くってバレたら師匠たちに阻止されるかな。
「そんなに難しいのかぃ?」
「材料が入手困難であることが高価である所以ですから!」
興奮気味なカナちゃん。
む。
これはちゃんと説明しないと私がすごい子認定されちゃうね?あれは私も集めらんないから。
「さすがにあれを1人では無理だよ。いや…1人じゃなくても無理ゲー。あん時はみんなで行ったんだけど、師匠達にもついて来てもらって結局は助けられたから。材料を採取したのも師匠だし。まだまだ実力不足。今でも絶対無理。師匠達が来てくれなきゃ死ぬ。」
「にゅぅ〜…」
私が言えば、チビが不服そうに鳴いた。
無理ゲーなのが気に入らないよう。
向上心旺盛なのね。
そのうち、またチャレンジしにいこうかな。……師匠達にバレないように、こっそりと。バレないようにが重要だよね。
「そこまで言うほどなんだ。」
「お師匠さんがいたらどうにかなるっていうのが驚きです。凄い方ですね。」
「うん。手も足も出ない師匠だよー。自慢の師匠なの。」
絶対本人の前では口が裂けても言わないけど。
言ったら顔を緩ませて気持ち悪くなるから絶対聞かせたらまずい。
本人には絶対言わない。
「志貴氏ってどっかのグループに所属されてたんでござるか?今は入ってないって言ってたと記憶しているでござるが…。」
「ん〜?入ってはないよ。似たようなメンバーで動いてたからある意味グループっぽいけど。師匠達にみんなで管理されてたんだよぉ〜。」
「へぇ?」
「桜花ちゃんの仲間か。どんな奴らなんでぇ?」
「仲間というか、家族かなぁ。兄弟みたいなもんだよ。まぁ、で」どったーーーーーーーん
どったーーーーーーーん
事実はドタッッッて感じなんだけど。
いやはや。実に派手に転んだ。私の声にかぶせるかのように。まるで舞台役者が派手に転ぶ演出として転んで見せたかのように。
舞台で見せても客目を引けるであろう派手な転び方。
皆の耳にしっかり届き、迫力を与えるような派手な音。
谷上に傷ひとつないってとこまで舞台であるならば完璧だよね。完璧すぎる。
ゆえに、私は続きを話すことは出来なかった。いや、出来るわけがないよね。
「…………谷上ってさ。意外に可愛い顔してるよね。その顔立ちでドジっ子属性持ちとか狙ってるよね。やっぱりドジっ子属性持ちは可愛い系の顔だよね。狙ってやってくる悪どい系だよね。」
ずっこけた形でいる谷上に手を差し伸べつつ、私はつぶやく。
誰かに話すために言ったわけではなく、あくまで独り言。
思った事を言ったまで。あくまで感想を述べただけ。
転んだ谷上がピクリと反応したけど、あくまで、そこに悪意は一切ない。
「いやいや、志貴氏。たしかに谷上氏は可愛らしい顔立ちでござる。そこにドジっ子属性が加われば、まさに最強。しかし、狙ってやれる器用さは谷上氏にはないでござるよ。そこが谷上氏の強みでござるから。」
私のつぶやきに桜井は即レスしてくれた。
見事なレスだよね。
桜井の言葉に私は、うんうんとうなずきつつ、私の差し伸べた手を掴んだ谷上を立たせる。
「まぁねぇ。計算せずにする天然物。攻撃力が半端ないね?ハーレム作っちゃう。」
立たせつつ、桜井との会話を続ける。
やっぱり天然物は破壊力が違う。
「そうでござるな。天然物の破壊力は計り知れないものがあるでござるからな。多くの方々を魅了してくれますな。」
「2人とも、その話、やめてくれる?」
顔を赤つつ、上目遣い的に意外に可愛らしい顔で睨みつけてくる。
若干、涙目。
やばめな性癖保持者がここにいたならば興奮絶対なとこだね、これは。
やっぱり天然物だね、天然物。無自覚に周りを翻弄しちゃう系だ。
私にはそんな性壁はないから、興奮なんてできないけど。
「谷上についての論争だよ?」
「ふざけてるよね?……はぁ。さっさと作業しよ。何からしたらいい?」
あ、本気で怒鳴られるよりヤバい。度を超えすぎて怒る気すらしない的な?謝るしかない。やりすぎた。からかいすぎちゃったテヘペロ!
「あー…ごめんて。そこまで怒らないでよ。とりあえず、カナちゃんがいろいろ調合するから、2人はつめるのを手伝って〜。私は爆発的を作ります!」
ピシッと宣言してみればすぐに許してくれる谷上。
いやはや、優しいねぇ。
その優しさにつけ込んでいるのが私なわけだけど。
「爆発物?作らないって話じゃなかった?」
頭を傾げてこちらを見る谷上。うんうん、谷上って優しいね。すでに怒りをおさめてくれてる。うん、こういうとこ、さっぱりしてて好きだよ!
「のろし的な?投げたらどっかーん。色とりどりの煙が出てSOSも伝えれる。的な。匂いも出るようにすればチビやセンシが探知できる。煙幕弾はSOS時とかはぐれた時に重宝するからねぇ。」
もしも離れて動いている時、何かあったら即座に連絡してほしい。
が。
スマホなんて使っている場合じゃないからね。
通信機器も絶対なわけではない。連絡手段として煙幕弾はもっといたほうがいいかなって思います!
「なるほど。作れるんだ。」
「俺ぁ、桜花ちゃんを手伝えば良いかぃ?」
「ん。よろしく。目立つように原色系を作るかなぁ!」
こうして、手分けして準備を進めて行ったわけだよ。
カナちゃんたちは激袋を。私は煙幕弾の準備をそれぞれ手分けして行っていく。
準備は念入りにしても足りないのがお約束。
出来る限りはやっとかないとね。
読んでいただき、ありがとうございます^ ^
楽しんでいただけましたか?
天然キャラって好きです
疲れる相手にもなり得るけど、大好きです




