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61.遠足があるそうですよ⑥


お兄さんってば、普段からチビに睨まれても気にしてないから、普段通りではあるんだけどね?


その子(チビ)、お兄さんより圧倒的に強いからね?万が一、チビが暴走したら勝てないからね?勝つ可能性は万が一にもないからね?大人と生まれたての赤子が戦って、赤子が勝とうとするくらいにあり得ないのです。


まぁチビがお兄さんを襲うなんてありえないけども。チビが暴走しない限り、お兄さんを襲ったりはしないけども。


チビが暴走するって、私がチビのコントロールができない状況なわけだから。ないない。まず、ありえなーい。


私が傷つき瀕死になって気を失う状況に陥ったら暴走するかもしれない。ただ、その時は私より先にチビが倒れてるはずだからなぁ。


うちの子、カッコいいヒーロー的な子だから、私に危険があれば迷わず盾になるし。私より先に怪我することが多いんだよね。断然、私より先に瀕死になる。


だから、暴走させるまでもなく動けなくなっているはず。私が死なない限り、壊れたり消えたりはせず復活するけど、動けない状況にまではなるはず。


だから、襲うなんてまずあり得ない。


「別に良いけど〜。他にも武器はあるし。」


「にゅぅっ?!」


笑いながら、私が軽口を叩けば、チビは今度は私を睨んできた。バッとこちらに顔を向け、ギロッと睨んできている。


いや、冗談だからね?うんうん、いらない労力使ってまでチビを留守番にはしないよ。めんどくさいし。


常にチビを仕舞い込むために力を込め続けなきゃ、チビなしで歩けない身なの。何かわけがあってそばにいられないって言うなら説得して納得させなきゃあいけない。


うんうん……


あれ?


こうして考えるとチビって厄介な武器な気がしてならないね?


初めてここに来た日は前日に倒れるまで師匠にしごかれた後だったから疲れもあって呼ぶまでチビもさすがに姿を出さなかったけども。


チビが出てこないくらいに疲れさすためには私もぶっ倒れるくらいにチビの相手をするか、あるいは魔物やらの相手を疲れるような条件下でやらせるか。説得して黙らせるか。


んな面倒なことしたくない。


力で出てこれないようにすることもできるけど、面倒。私が疲れる。


うんうん、面倒なんだよ。


「お兄さんと2人きりじゃ、私の緊張が半端ないね。」


「じゃ、私も一緒。」


私が戯けて見せると、ツバサがスッと片手をあげながら言った。


チビは置いていくのは冗談であり連れて行ってもらえると知り、落ち着きはしたけど、未だに気に入らないと全面的に態度に出したまま私を見ている。睨み付けている。


そんなチビなど、ツバサは一切気にしない様子だった。


ツバサは表情が豊かな方ではない。初見であれば無表情にも見えなくないくらいに表情の変化が小さい。


そんなツバサなんだけど、今はいつになくウキウキした様子だ。唇はうっすらと弧を描いている。分かりやすいくらいに表情が出ている。


「……お呼びじゃぁねぇよ?」


ツバサの言にお兄さんは上機嫌であったのが嘘かのように表情を消し、半眼になりつつ言う。気に入らない。それを態度にはっきりと表していた。


それをツバサは鼻で笑った。笑い捨てた。


中々に仲良くないのだよね。あまり関わる機会もなく、話す姿もあまり見ないけど。


話すたびにお互いがお互いに突っかかっているのだよなぁ。


喧嘩するほど仲が良い的な関係なら安心なんだけど。……うん。違うよね。


何で仲良くできないかなぁ?あまり仲の良くないツバサとお兄さん。馬が合わないのか、何なのか。なんとなくアイツとは合わないとかあったりするよね。そんな感じなのかな?


元々あまり会話していなかったのが、最近じゃあよく言い合うようになっている。殴り合いとかはしないし派手な言い争いはない。けど、静かにバトっているんだよね。うん。何なんだろうね。


みんな、仲良くしなさいな。


「独り占め、させない。」


今もツバサはキッとお兄さんを見据えると、ハッキリ宣言したのでありました。


マンガやアニメであれば、今、お兄さんとツバサの間には火花が散っていることだろう。お互いに睨み合っている。


にしても、何の話かな?


独り占め?そんな話をしてなかったよね?仲があまりよくない割に2人は分からないとこでしっかり意思疎通できているようで、時々、理解できない会話をしているんだよね。


仲悪いようで意外と通じ合っている。


さては、逆に仲良しさんだな?話についていけなくて桜花さんは寂しいぞ!かまってくれて良いんだよ?


「んん?これは桜花はみんなでシェアするぞ的な?だってさ、チビ?私、モテ期到来よ?チビが独り占めできないねぇ?」


「にゅッ!」


冗談半分で言えばチビに鼻で笑われた。


分かってますよ、冗談じゃんか。鼻で笑わなくてもぉ。2人がなんの話をしてるか分からないもん。いきなり蚊帳の外なんだよ?寂しいじゃんね?


相手してくれても良くない?チビくらい相手してくれて良くない?君の主人の相手をしておくれよ。


お兄さんの机の上にいたチビの頬を持ちムニムニする。するとチビはしっぽでじゃれついてきた。可愛い。


うちの子、今日も今日とて、可愛らしい。癒されちゃうね。私の可愛いいとしの武器は触り心地も最高なの。


「チビはいつだって一緒なんだから、遠慮してくんな。」


チビとじゃれていると、お兄さんがチビを首根っこを掴んで持ち上げた。


猫を持つような持ち方。いや、猫をそんな持ち方するのはどうかと思うな。あれだよ、あれ。幼い獣が成獣に持たれる感じ。首根っこをしっかり保持され持ち上げられると暴れられなく、大人しく捕まってますっていうあの持ち方。


「ゔーーーー!」


暴れはしないものの、即座に抗議のためにうなり声を上げるけど、お兄さんには効果がない。鼻で笑い飛ばすのみ。


暴れたりしないから問題ないけど。獣と違って首根っこをしっかり保持してもチビは戦闘時ならば構わず暴れるからね?戦意を持ったら一瞬だよ?慣れまくってるお兄さん、凄いよね。


「ハッ。今日こそのしてやらぁ。」


「にゅっ。にゅぅーにゅにゅ。」


「調子こいてっと足元すくわれるんでぇ。」


「にゅッ。」


今度はチビとお兄さんがじゃれあいをはじめた。ここ最近はずっと夕方にはチビを貸し出してるから、仲良くなっているみたい。


会話が成り立つなんて、チビが気を許している証拠だね!じゃれつく相手を失って私としては寂しいけど。


「仲が良いねぇ。」


お兄さんにチビを取られ、少しだけ寂しい気分になりつつ、お兄さんやチビを見ればなぜか、呆れられた。


なぜ?


「どこがでぇ?……桜花ちゃんはコグマ討伐もすんだろ?俺もついて行って良いかぃ?」


「ん〜?まぁ構わないけど。危ないよ?」


武器師達と3人で行くのはキツいからパスだけど、お兄さんと2人も危ないっちゃ危ない。チビにそばにつかせるけど。安全ではないわけだよ。


「多少あぶなくても桜花ちゃんのそばにいたいんでぇ。」


「えー?」


にっこりと笑う姿はイケメンだけれども。


危ないって言っているのは通じているのかな?大丈夫かな?多少ではなく、普通に気を抜いてモロに攻撃を受けたらヤバいからね?


「魔物狩りに慣れたい。場の雰囲気に慣れたい。動きを学びたい。絶対学んで血肉にするから一緒に行かせて。」


「こっちもまた、情熱的だねぇ。」


ここまで情熱的に言われると後退りしたくなっちゃうね。


だって人間だもの。


気遅れくらいしちゃうのさ。しちゃうでしょう。どんなイメージか知らないけどここまで期待されたら困っちゃうもの。


ツバサ、私を神聖化しすぎじゃあないかぃ?


キラキラした目でこっちを見るツバサ。目には熱々とした熱がこもっているし、私としては重圧だね?情熱的に迫られても中々困るよね?私に何を期待しているのかな?


ここまで期待されていると緊張しちゃうね?


人って三回書いて飲み込んでから挑まなきゃいけない事態になっちゃっているよ。


私のか弱い心臓は強くはやく脈打っちゃうよ。


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