55.勉強もしないといけないようです
いつになくテンションの高い変態野郎。今日の変態野郎はとてつもなくテンションが高い。
ちょっとした変化なわけだけど、警戒するに越したことはない。越したことはないわけだよ。
ほら。石橋は叩いて渡らなきゃいけないわけで。ささいな変化が後々の悲劇に繋がったりするわけだから。
ゆえに、みんな、いつでも動けるように身構えていた。
「さぁさぁ!皆様方、こちらワクワク学園に入園して1月が経ちました!!1ヶ月前に比べ、着実に成長されています皆様の姿にウサは涙が止まりません!ズビーーーっ!」
んん。
これはゲームやら何やらが始まる可能性もありきか。武器は常備してるし、対応できなくもない。
ここ1か月、朝晩はお兄さんと筋トレしつつ、お兄さんはチビと組手を続けている。時々、みんなで集まって術式の練習をしたり、武器の扱いを練習したりしてる。
ツバサの術式のコントロールは少しはマシになってきた。谷上も武器での移動に慣れてきた。ユキやゆずるんが谷上に使いやすいように武器を改良していたし、良い感じの形になってきたんだよね。
ツバサや谷上もやっと渡した武器に慣れてきたところだから、そろそろ実践を試したいとこだよね。ゲームだったらゲームで嬉しいタイミングかも。
「………きたねェなぁ。」
ボソリ。
相手に聞かせるためではなく、ただただ吐き出された言葉。
目はまるで汚物でも見るかのよう。
お兄さんにあんな目で見られ、ボソッとつぶやかれたら、私は立ち直れないなぁ。変態野郎にとっては日常だから驚きだよね。
「さぁ!皆様方?1月の成長をこのウサにお見せくださいまし。」
変態野郎は私たちを見て朗らかに言った。そう、朗らかに。
が。
ーーーぞわぁ。
身体の毛という毛が逆立つような嫌な気配を感じた。気配というか、雰囲気。殺気。発生源は変態野郎。皆が瞬間的に身構える。
イベント、開始ってか?今度は何をやらされるんだか。
「パンパカパンパーーーーン!!第1回小テストにございまぁああす!!」
「は?」
うん。
脱力。脱力だよ、変態野郎。間抜けな声を誰かがつい漏らすくらいに脱力しちゃったじゃないか。
小テストってさっきのざわつくような雰囲気は何だったんだろうねぇ。小テストのために一々殺気立つなよ、うぜぇなぁ。
テストってなんだよ、テストって。ゲームであった方が嬉しいや。あー…ゲームであって欲しかった。人喰い花相手にしてた方が絶対楽しい〜。
「優秀者にはお小遣いがございますゆえ、張り切っていきましょう!!」
ここで点数化されるものは全て、上位3名に臨時収入が入ってくる。1位が5千円、2位が3千円、3位が2千円。ま、お小遣いよな。
お小遣いがもらえるがゆえに、みんなが浮き足立つ。ソワソワする。
その辺は皆さん素直なのです。
◇◇◇
1位
志貴様 95点
2位
蚊ヶ瀬様 92点
3位
佐々木様 90点
4位
喜藤様 84点
5位
稲盛様 82点
6位
谷上様 76点
7位
桜井様 72点
8位
坂崎様 65点
9位
御崎様 58点
10位
村山様 41点
11位
阿部様 3点
テストの結果はすぐに張り出された。点数と共に張り出す理由は分からんのだけれども。迅速に張り出されていた。
あれか?
下位の子達に危機感を持たせたいとかか?勉強がんばらせるためか?そのために点数まで張り出すのか?
「テストするなんて聞いてないわよ。聞いてたら勉強くらいしたわよ。えぇ、したわ。だからだから。」
ぐちぐち言いながら、キノコを生やしている。
いや、実際は生えてないけど。ジメジメしているイメージがあるキノコを落ち込んだときにすみに体育座りして生成するような場面、漫画とかにあるじゃん?
いまのマリはそんなイメージ。
テストの結果が出ると悲壮感に溢れる子、いるよね。マリはテスト前にがっつり勉強するタイプなのかな?一夜漬けタイプ的な。
しかも、点数を気にする上に若干、完璧主義的な?あんまり点数は気にしなくても良い気がするけど。
「まぁまぁ。マリさん。罰則があるわけでもないですし。良いじゃないですか。」
「よくないわよ!アンタだってこんな順位のくせに呑気過ぎるのよっ!」
「今回は中々点数取れました!」
にこやかに声をかけた村くんにマリは怒るけど、それに対してキラキラした良い笑顔で村くんは言った。
あの結果はどうやら、村くんにとって上出来らしい。
「は?!あんな点数で満足なわけっ!?」
あ、マリが吠えた。完璧主義は他者にも適応されるらしい。
ま、2人は置いといて。
「へぇ?お兄さんって授業聞いてないように見えてまじめに勉強するタイプなんだねぇ?」
お兄さん、点数がいいだろうなとは予想はしてたけど、普段から勉強するタイプではないよね。いつ部屋に行っても勉強はしてないし。
授業聞けばそこそこできるタイプかな。器用貧乏ってやつだ。
「俺がまじめに聞いてっと意外なのかぃ?桜花ちゃんこそ、流石でぇ。」
「ま、一問落としたけどねぇ。」
「ーーーぁあ、ふざけた問題があったから仕方ねぇ
。」
肩を竦めて見せると、お兄さんはスッと目を細めた。気に食わないって言う態度だね。そんな表情も素敵だぜ⭐︎
出てきたふざけた問題を思い出しているのだろう。
最後の最後に出てきた問題。
「変態野郎の好きなとこなんてあるわけないじゃないよぉおお。」
私らの会話を聞いてたらしいマリが叫ぶ。適当に書けば点数もらえただろうに、マリは真面目だねぇ。
ま、私も書いてないけど。
何を書くか迷って、面倒になってやめた。
「なぁに書かせたかったんだか。」
「ふふふふふ。皆様に愛されてますウサは皆様方の愛を感じたかったのでございます!!村山様、稲盛様のみが素敵なお答えをくださりました!皆様恥ずかしがり屋さんにございますねぇ。そんな皆様もウサはお慕いしておりますよ!!」
お兄さんが呆れたように呟けば、変態野郎がテンション高く言う。
てか、ムラ君、カナちゃん。解答したんだ。なんて書いたんやら。
「うぜぇ。」
「…ぁ、阿部様におきましては…その、もう少し頑張りましょう。何でしたらこのウサ、阿部様のために人肌脱ぎまして特別授業をさせていただきますよ?ウサ、頑張っちゃいますでございますよ?」
変態野郎が妙に気をつかった様子でヤンキーくんに付き纏う。
あーれま。
ありゃあ、キレるぞ。火に油なんて注ぐもんじゃない。
「うるせーーーー!!!」
がったーーんと大きな音を立ててヤンキーくんは教室から出て行った。
そんなヤンキーくんを心配して村くんが後を追う。なんだかんだで2人はいいコンビだ。多分、ヤンキーくんのフォローは村くんがするだろう。
「あららぁ…変態は火に油を注ぐの、得意だよねぇ〜。」
「だねェ。とはいえ、阿部じゃなくても、あれはうざいとしか思えないんじゃないのかぃ?」
肩を竦めるお兄さん。
もしもお兄さんがあれをやられてたら怒りそうだよね。
「ま、確かに。殴りたくなるよねぇー。」
「いやぁ?あんな絡まれ方したら俺ぁ殴るぜ。手ぇ出さないで我慢したんでぇ。阿部も頑張った方だろ。」
「お兄さん、優しい顔して、その実、手ぇ出すの早いよねぇ。先に手ぇだしたらダメなんだよ〜?向こうからやらせて、過剰防衛取るの。」
「まどろっこしいのは嫌でぇ。先にやろうが向こうに自分が悪いって言わせりゃあー良いわけだろ?」
先にやっちゃダメって注意したのは自衛のため。
それに対するお兄さんの回答。
ふむふむ、なるほど。脅すのか。確かにそっちの方が早くて楽か。
「2人はなんて物騒な話をしてんのよ。こんな2人が上位だなんて、気に入らないっ!……武器だって…私だけが名前もわかってないのにっ!!あぁっ!もうっ!」
ぶーたれてるねぇ。マリは。
「上位っつっても4位でぇ。臨時収入が入ってこねぇんじゃあなぁ。」
マリの言葉にお兄さんは肩を竦める。
たしかに上位に入るなら臨時収入があった方がいいよねぇ。あまり使ってないから貯まる一方だけど。
「お兄さんも阿部みたく金欠なの〜?ちゃんと計画的に使いなよ。」
阿部は無計画に使うからあっという間に金欠になったんだよね。
お金なくても生活できるから困りはしないんだけど。
「金欠ではねぇよ。桜花ちゃんはあまり欲しがらねぇな?買いもんも全然しねぇじゃねぇか。」
「本はお兄さんが買ったものや図書館のもので足りるし。」
「服とか買わないのかぃ?」
「最低限はあるしなぁ。」
「可愛いんだから、おしゃれしたらどうでぇ。可愛い服着た、桜花ちゃん見てみてぇなぁ?」
「興味ないな〜。」
「そぉかい。残念でぇ。」
ゆったり過ぎる昼下がり。
戦闘員として戦う力を養いつつも、勉強もまた、しっかりやらされるのでした。
一応、高校生だからね。
読んでいただき、ありがとうございます♡




