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52.休み時間のお話です①


昼休み。


まぁ毎日ある何気ない時間。毎日あると日常となって、特に特別感もなく過ぎていく。何の意味もない時間になったりするんだよねぇ。


それぞれが昼飯を終え、各々くつろいでいた。のんびりとした雰囲気に包まれている。はいはい、のんびりしまくっとりますよ。


といっても。


私の近くにはチビがいるし、みんな、それぞれの武器を近くに装備している。くつろいではいても、何かがあれば、すぐに対処できる状態ではあるんだよね。


ま、戦闘員だからね。しかも、いつ何が起きるかも分からない状態だし。


今私たちがいるここはワクワク学園だからね。


周りに魔物もいたりするんだよね。さすがに校舎には入ってこないだろうけど。


結界はられているって話だからね。中にも入れない外にも出れないという結界。閉じ込められているんすよ、私ら。


とはいえ、絶対ではないけど。絶対に入ってこないって馬鹿みたいに信頼してたら、魔物に襲われましたじゃ成仏できない。いや、浮遊霊なんかになりたくないし、みんなを置いてでも私は成仏するけど。そこじゃない。警戒心は大切。


そんな中。


私は自分の席で図書室にあったマンガを読んでいた。自分の席をちょいと動かし、私が読むマンガを覗き込むようにして一緒に読んでいるのはお兄さん。


何だったら、私の肩にお兄さんの頬が乗っている。軽く乗ってますよ、はい。私の肩に乗っていたチビを押し除け机に置いてまでしてお兄さんは私の肩に自分の頬を乗せている。


チビがうなるのを無視してでもこの位置を勝ち取ってましたよ。いや、うん。大人気ないよね。唸り声を上げる子を押し除けたんだよ。唸り声を上げるチビもチビだけど。


恋人か親友か。


てなくらい近い距離にいるのが当たり前になりつつあるんだよね、このイケメン。


お兄さんは距離の感覚がややおかしいのかも。いや、おかしいよね。桜花さんのか弱い心臓はバックバクと音を立てているよ。ヤバイくらいに鳴り響いちゃうよ。


お兄さんとは大抵は一緒にいるし。年頃の男女がこの距離でほぼ一緒にいるわけですよ。


とはいえ、色恋沙汰は一切ございません。


フラグのふの字も立っておりませんとも。おい、そこ。鼻で笑うなよ。笑ってくれるなよ?恋愛のれの字も知らない桜花さんにはお兄さん的イケメンはハードルが高すぎるんだよ、仕方ないだろ?全く。


はじめての恋愛で高嶺の花を選択するとか桜花さんにはできません。はじめのハードルは低くなきゃ困る。あまり高いと飛び越えられないでしょーが。


「カイさんってほんと、桜花にべったりよね。」


こちらを見てぽつりとつぶやくマリ。なんだか呆れすら含んでいるね。なぜだろう?もう日常とかした風景なのに。


いや、分かるよ?分かるよ?


確かにお兄さんは距離が近い。近すぎるってくらいに近い。アニメとかで見る双子のようにぴったりそばにいるし、近しい距離で接するわけよ。


私はお兄さんはよく一緒にいるし、というか、お兄さんと他の誰よりも一緒にいるし、お兄さんは中々に距離が近い。誰にでも近いかと言うとそうではない。私との距離は馬鹿みたいに詰めてくる。


……え?これはもうあれだね?


私、女としてみられてないやつだね?男友達的立場だね?まぁ女の子としての魅力が足りないのは自覚済みだから良いんだけどさ。


私も私でお兄さんの部屋で寝たりとか色々甘えさせてもらってるから文句はない。ないわけだよ。


にしても。私、お兄さんに気に入られる何かでもあったかな。記憶にないけど。ま、会った当初からこんな感じだった気がするから気にはならないんだけど。


「ん〜?嫉妬かぃ?……俺ぁ、桜花ちゃん一筋なんでぇ。残念だが、マリちゃんの気持ちには応えられねぇなぁ。」


お兄さんは嫣然と笑いながらマリを見ていた。いやぁ、絵になるねぇ。て、んん?マリはお兄さんに気があるのかな?


いや、まぁないか。お兄さんの表情はからかいの色が強いねぇ。からかってますってマジックで顔に描かれているかってくらい分かりやすい。いやまぁ、実際書いてはないんだけど。表情にはからかいの色しかないんだよ。


色恋沙汰は一切ないんだよ、もったいない。


マリは気が強そうな印象を受けるとはいえ、可愛い顔立ちだし、お兄さんはイケメンなんだよ?整った顔立ちが揃ってるのに青春の甘酸っぱさがない。ないんだよ!


「違うわよ。私だってカイさんじゃなくて、桜花のほうが好きよ。桜花の方がかっこいいもの。」


からかわれたマリは面白い反応をするでもなく、普通に返事をする。面白い反応がマリの持ち味なのにつまらない。


てか、あれま。


私、マリに告白されちった。きゃ。人生初の告白だわ。告白なんてされた事ないわけだけど。初の告白が女の子って複雑な気分。


私、モテ期?モテ期到来なのね??……はい、すみません。調子こきました。マリの場合はチビを近くに置いときたいってのもあるんでしょう。


怖がりさんだからね。マリはうちらの中で一番のビビリだから。チビは気配に敏感だから、そばにいると安心なのね。


「あれまぁ。イケメンがフられちゃったねぇ?私のがかっこいいって。お兄さんに勝てちゃうなんて、私、凄くない?好きだって告白されちゃった。誰かに告白されるの、初めてだよー?」


「辛辣だねぇ。ま、桜花ちゃんが凄いってぇのは確かでぇ。だが、そういう事なら尚更聞けねぇよ?桜花ちゃんは渡せねぇ。俺のでぇ。」


肩につくかつかないかくらいだったお兄さんの顔がしっかりと私の肩に乗り、左手は私の腰に回る。


うん、横から抱きつかれておりますな。


冗談にしては距離近くないかなぁ。イケメンがほいほいこんな事してたら、いつかは刺されちゃいそう。サスペンスドラマがはじまりそう。


お兄さんの場合、その辺、見極めて行動しそうだけど。


とはいえ、お兄さんや。距離を積める速さがおかしくはありませんかぃ?まぁ、良いけども。


人肌は嫌いじゃぁない。ユキほど見境なく抱きつくのはどうかと思うけど仲良い人物であればこれくらいの距離は全然OKだったりする。人肌って落ち着きますもの。


「アンタ達、ほんと仲良いわよね。ここにくる前からの知り合いじゃないのよね?」


「一目惚れなんでぇ。一途な恋に茶々ぁ入れちゃあいけねぇよ?桜花ちゃん?マリちゃんなんか気にしちゃいけねぇ。俺の方が桜花ちゃんが大好きなんでぇ。」


若干呆れるマリにお兄さんはおどけて見せる。そのままのノリでギュゥ〜っと抱きついてくる。


うん、会ってから数日しか経ってないけど、みんな、仲良くなったよねぇ。


冗談を言えるくらいには肩の力も抜けてきたし。はじめのように緊迫し続けるのはエグいから良きとしましょ。


「ふむ。つまりはこういうことかな?マリもお兄さんも私が大好きだと。つまりは私を巡っての三角関係とな!……照れちゃうねぇ、チビ?どちらに私をゆずる?」


とりあえず。


チビさんに聞いてみた。


「にゅ?にゅにゅにゅっ!」


"は?どっちも嫌。" だ、そうですよ。


チビさん、さすがです。


ゆずる気はありませんね。私の事大好きすぎるもんね。はい、知ってました。わかりきっていましたよ。


じとーっとお兄さんを睨みつけている。今もなお抱きつくお兄さんが気に入らない様子。


「ざーんねん。チビはどちらにもゆずらないってさ。チビの勝ちぃ〜。」


そう言って、マンガを机に置き、チビを抱き上げれば、チビは嬉しそうに尻尾を振った。可愛いねぇ。


「にゅっ♪」


「なんでぇ。チビは桜花ちゃんとずっと一緒だったんだろ?少しくらい、ゆずってくんな。」


ご機嫌に頬擦りしてきたチビにあろうことか、お兄さんはデコピンを喰らわす。私の可愛らしいチビになんたる事。


「にゅぅっ?!」


デコピンを喰らったチビはお兄さんを瞬時に威嚇態勢をとった。


「こらこら、やめなさい。2人とも喧嘩しないの。仲良くしな。」


チビがギロッとお兄さんを睨んで、私の腰に回されているお兄さんの手をげしげし蹴っ飛ばしている。


お兄さんはそんなのお構いなしに私の腰に回した手の力を強め、肩に顔を埋めてきた。


「俺もチビみてぇにギュってされてぇ。」


肩から覗き込むようにしてチビを見る。


何という破壊力かっ!


イケメンが物欲しそうな顔してそんなこと言ってきたら勘違いしそうになるでしょうが。わきまえてる私は勘違いしないけども。勘違いなんてしちゃったら大変でしょうが。



読んでいただき、ありがとうございます♡


寒い季節は冬眠したいと毎年思います月姫にございます。

手の感覚、なくなりますよね。死体かっ!ってくらいに両手が冷たくなる今日この頃。

頑張って、本日も生息しております。

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