39.眠れない夜もあります①
暗い話が続きますね
次は桜花のお話です
ソファだったり床だったり。そこに申し訳程度にシーツを引いて。枕を置いて、さ、簡易の寝る場所完成。そんな感じで自分たちの寝る場所を作って、ざっとみんなで雑魚寝。
ここ、ワクワク学園に来て数日はそれをしてた。警戒心あらわにしてそんなことをしていたわけよ。あの凶暴顔な阿部でさえも抵抗せずにみんなで行動していたわけよ。
寝るスペースでもない場所でのおねんねのため、スペースはバラバラでみんながみんな、適当な向きで寝ていた。北枕とかは一切気にせず、適当に寝ていた。
床は硬く、寝にくいわけで。慣れない人の気配まであるとなってはますます寝にくい。時折聞こえる寝返りを打つ音やトイレに立つ音。その一つ一つに反応してしまう。反応しちゃう多感なお年頃。
部屋で寝たほうが身体も休まり寝やすい。当然よね。自分の部屋で周りに気配ない状態でベッドで寝たほうが休まるに決まってる。
それは事実なんだけど。
部屋でも寝れないんだよなあ。あー…眠いのに眠れない。目ぇつぶってても眠れる気配はない。全くもってこれっぽっちも睡魔が私を眠りに誘う気配がないんだよー。
ツバサの部屋にいた時は眠さもあったのに。夜遅くなっても寝れやしない。困っちゃったなぁ。
どちらも寝れないならばみんなで雑魚寝の方が居心地が良いっていう。雑魚寝は雑魚寝で嫌だって言うのにわがままだよなぁ。
誰かのベッドに潜り込むわけにもいかないし。気がついたら横にいて食事を一緒に食べちゃうぬらりひょんみたいな特技……さすがにないなぁ。暗殺するならできるけど。
多分、お兄さんとかベッドに入れてくれそうだけど。
いや、まぁ…マリとかカナちゃんとかツバサとか、ユキだってゆずるんだって。みんな、一緒に寝てくれって言えば寝てくれるんだろうけど。
何だったら気づかれずに布団に潜り込むまでなら出来る気がするけど。
今日明日の問題でもないし。
何て言うか。会ったばかりの関係だし、言いづらいじゃない。1人じゃあ寝れないから一緒に寝てとか。うん、言いたくないよね。どんな幼子だっての。
昔ながらの幼なじみにだって言いづらいのに。会って数日ばかりしか経ってない子達に言えないわぁ。
昼にツバサに厳しいこと言ったりしたからなぁ。根掘り葉掘り聞かれそうだし。それは面倒だし。何も聞かずにそばにいてくれそうなのはお兄さんだけど。それもなぁ……
てなわけで。
ただいま、私は中庭におります。て、なんでやねん!!なーんてツッコミは募集しとりませんから!
たまにあるじゃん?なーんか、部屋にいたくないな⭐︎ってこと!夜に風に当たりたくなることあるよね⭐︎多感なお年頃だもん!!あるある!てなわけで、お散歩中にございます!
夜風が涼しいっすわぁ。
草木の香りに癒されます。夜ってまた違う香りがするから不思議よね。
薄暗い中、月の光に照らされる花々も昼間とはまた違う綺麗さがある。なんていうか…夜の木々って夜の雰囲気の中にあると色っぽさがあるよね。
そんな雰囲気を楽しみつつ、お散歩〜。
お散歩なんかしてたら眠れないだろとか言わないの。気分転換って大切なの。
だっていうのに。
「志貴様。良い子は寝る時間ですよ?」
うん。部屋から出て少しした辺りから気配してたけども。お散歩を楽しむ少女に変態野郎が声かけるなんて雰囲気ぶち壊しだよ?
燕尾服着て変なウサギのお面を付けた野郎が薄暗い中で話しかけて見てみ?殴りたくなるだろう?なるでしょ!なるべきさっ!
殴りたくならなきゃキミは人間じゃないとさえ言えるわけよ!
にしても、わざわざ寝ろって言いにくるとは。まぁ学園だし、消灯時間も確か決まってたから当たり前っちゃ当たり前か。
近くには変態野郎以外の教員の気配もあるから逃走は難しいよね。
「良い子じゃないんで。今は私の時間なわけですね。良い子な経歴は持たないって知っているからこそ貴方は私達と任務を共にしていたのでしょう?」
まぁだからと言って。
素直に従う理由はないのだけど。ないない。ナイナイナイナイナイチンゲール。従うわけがなーい。なっしんぐー!
肩を竦めて変態野郎に視線を向けた。私が良い子でないことなんて変態野郎が1番知っているはずだ。知ってんだから見逃してくれなきゃでしょー。
こうして変な演技に合わせた口調をしてやるくらいの優しさしかないよーん。
「何のことやら。志貴様が素敵な良い方であることならウサは存じ上げております。心よりお慕い申し上げておりますよ?」
普段のわざとらしいキャラをかぶって、変態野郎はうざったらしく言う。
素敵な良い子があんな事にはならないし、いまの貴方を放置などしないっての。
するはずがない。
何とかしてあげようと奮闘するはずだ。それをしないでただただ見ているだけって。放置するだけって。素敵でも何でもない。
何もしてあげられないなんて、なんて不甲斐ないことか。んなのを良い子って言うなら、んな良い子なんて爆破してやるーーー!
「………。」
何かを言おうとして、言葉が出ず、口だけが鯉のようにパクパク動いてしまう。
私は何を言う気だったのか。
どちらの事も触れちゃダメだ。まだ触れられるほど私だって回復していない。今の私には触れることができるほどの強さはない。
私の様子を見て、変態野郎は頭をかしげた。表情は見えないけど、不思議そうにこちらを見ていることだろう。
まぁ頭を傾げるよねぇ。
いつもならば、ズバズバっと切り捨てていくらでも酷いことを言ったりするわけだし。
「志貴様?」
「………いえ。」
名前を呼ばれても、やはり、言葉は見つからず。
何が言いたいかも私自身分からず、視線を彷徨わせてしまう。
「………眠れないんですよね。変態野郎も寝るのでしょう?一緒に寝ていただけますか?」
話を変えとくかな。話を続けてもどうにもならない。不毛なのだよ。
適当に雑談して適当に部屋に戻ろっと。
「ほぅ?私が、でございますか。志貴様を抱擁し寝るというのは魅惑でございますが。しかしながら志貴様?志貴様がそれを頼むべき相手は私ではないかと。」
体をクネクネさせていたかと思いきや、コテンと頭を傾げてこちらを見てくる。忙しいな、おい。落ち着いて話してくれて良いんだぞ。良いんだぞってか、落ち着いて話せ。
人と話すときは落ち着いて話しましょうって習っただろ。義務教育からやり直せや。
普通に座るなりなんなりして落ち着いて話してくれた方が訴えがこちらだって聞きやすいっての。最近は慣れてきたとはいえ、一個一個の大袈裟な動作は鬱陶しい。
「一番古くからの知り合いであり、一番私を知るのは貴方なんですけどね。」
変態野郎の動きについてなんて言及したとこでどうにもならないから、触れずに話を続けるけどさ。
マジで視界内でせわしなく動かれるのは勘弁願いたい。
「はてはて。志貴様はお疲れのご様子。こんな時こそ、仲間を頼るのが美しき姿かとウサは思う所存でございます。美しくあれ。よく貴女方が口にしておりましたよね。」
とぼける気がないのか。
昔の話をしてきた。まぁ私が変態野郎の正体を確信しているってわかっている以上、隠しても無駄だものね。
キャラは被ったままだけど、多少動作は大袈裟であるものの、それでもいつものハイテンションさは形を潜めている。
さっきまではいつも通りに動いていたのに多少落ち着いている。多少。
それは私と2人だからか。あるいはたまたまか。
「……………仲間、ね。師匠はそんなものを作らすためにここに追いやったのかなぁ。あるいは貴方の現在を見せたかった、か。大切な仲間の今の姿を。」
ん〜と伸びをしながらつぶやいてみる。チラリと視線を向けるけども、何も言わない。
静かにこちらを見ている。仮面を付けているから何を考えているかはさっぱり分からない。
「私はここに来なかったら毎日、魔物に囲まれる予定だったんだよなぁ。戦い続ける気でいた。実際、来る直前まではそうしてたし。仲間の全てを失った気でいた私のヤケだよ。ヤケも起こしたくなったんだものー。考える時間を与えられたかぁ〜。師匠達すら見えてなかったからなぁ〜。ブレーキ役達が死んじゃったから。みんながいないんじゃ、仕方ないじゃんねぇ。」
変態野郎はやはり黙りこくったまま。
うなずくこともせず、ただただ静かに聴いている。そんな対応だからこそ、ついつい愚痴を続けちゃう。続けてしまう。
相槌もないんじゃ聴いているか分からないとこだけど。彼の性格上、話事態は聞いてくれているだろう。
彼の負った傷を癒して今の現状を打破することは私にはできない。事情も何があったかも何となく知ってはいたりするけども。どうにかしてあげる力は私にはないのよね。
だから何かをするでもなく、放置していた。何事もなかったように普通に接していた。
私の愚痴を言う気もなかったんだけどなぁ。
あー……かっこ悪い桜花さんですよー。
みんないつだってかっこわるーーーい!
ミスもすれば失敗もする
だって人間だもの
適度に忘れて失敗から学んで成長して
そんでもって生きなきゃなの
だって人間だもの
てなわけに
慰めつつ頑張っとりますよー
月姫にございます
眠れない夜ってありますよね
寝ないとと分かっていながらも新しい本を開いてしまった0時過ぎ
結局4時近くまで目が覚めていたりします
8時出勤中々えぐい…
ショートスリーパーになりたい今日この頃です
読んでくださりありがとうございます^_^




