33.ツバサのお話ですよ②
みんながみんな、別々のリクエストをしてくるから、頑張っちゃったよ。つっても3種だけど。3種でもよう作ったほうでしょ?
リクエストがあったから作ったけど、和風餡掛けとかオムライスには邪道ではないですかね、ユキさんや。
ケチャップで味付けした鳥ライスに薄ーい卵、そこにケチャップで描かれた歪な絵。それが王道よ?
「間違いなしじゃないっ!!」
ユキの皿を見つつ、マリはよだれが今にも吹き出しそうな顔をしている。全く持ってしまりのない顔。嬉しそうで何よりだけど。
オムライスって言うには邪道だけど、美味いことは美味いだろう。マリはテンション高く、ユキからも一口もらっていた。
よく食べるねぇ。よく動いていたし良いとは思うけど。太っちゃうよ?ただでさえ、カロリー高いオムライスを作ったのになぁ。
まぁそれはそれとして。
みんなの食べる姿を見て、湧き上がる既視感。懐かしく感じ、そしてこみ上げる思いがある。
これはーーー……
「………注文が多いなぁとは思ったけど、喜んでもらえるなら何よりだねぇ。」
ため息まじりにつぶやく。
で、やっと、自分の分を食べ始めた。……ん、美味い。忘れてたけど、お腹空いてたんだった。
お腹空いてたけど、やっと満たされるね。そうそう、私はお腹が空いてたんだよ。みんなの分作ってて忘れかけてた。
味見しながらだったから多少腹も満ちてたしね。
「料理、上手なんだね。」
「とても美味でございますぞ!」
谷上と桜井は自分の分を静かに食べ進めていた。美味しそうに食べてくれる姿は嬉しいし、騒がないのは好感が持てるね。
私がやっと落ち着いて食べ始めたとこで、2人が笑いかけてくる。
谷上と桜井は特にこだわりがないとか言ったから、ユキと同じもの。餡がいっぱい出来ちゃったんだもの。
人数いるから、いろいろな種類が作りやすくて助かるよ。
「昔、教わったからねぇ。普段の料理からサバイバルまで、一通り。料理は私の役割になってたから。」
基本的に作れる時は私が作っていた。
まぁ作ってくれる時もあったけど。基本的には主に準備するのは私だったんだよねぇ。ゆえに数作るのも慣れてたりする。
「作り慣れてたからこそ、手際が良かったんですね?またお願いします!」
「楽しみが増えたな!」
バクバク食べていたムラくんやユキがいい笑顔で言った。
ハッキリと言い切った。
2人は私の了承は聞くつもりもないらしく言い切った。
今後も作っていくことになると未来が勝手に決まった瞬間だった。なぜか私には拒否権はなさそうだ。
拒否するつもりもないから良いけども。
拒否するか、大人しく作るかなら、前者の方が労力がかかりそうよね。だったら作った方が楽だし早い。面倒なのは嫌。作るのは嫌いじゃないから良い。
戦闘終わりとか作らずに適当なもの食べたいとかは思うけど。
「うん。まぁ、良いけど。遠慮なしだねぇ。」
ハァ……と呆れたという気持ちをしっかり吐き出すようにして、吐き出す息とともに話す。
つまりはため息まじりに言ったって言うことだね。
空気が読めるならば、遠慮するとこなわけだよ。ま、空気を読めるならばそもそも、遠慮なく言ったりしないわけだけど。
「ボクらの仲だからな!遠慮は無用だ!」
うん。
ユキさんや、少しは遠慮してくれ。キミには遠慮は無用のものではないはずだ。まだ私達は出会ったばかりのはずだよ。ボクらの仲ってどんな仲だよ。
幼馴染だとか生き別れの兄弟だとか、旧知の親友だとか。あるいはあの戦地を共に戦った戦友だとか。切ってもきれない深い仲があるわけではなく。
お互いをあまり知らない会って間もない吹けば消えてしまいそうな縁しか私達にはないのだよ?分かるかね?
あぁ、もぅ〜。ため息まじりに言った私の心境をまるっと無視して笑顔で押し切ろうとせんでくれ。
「皆さんで食べるの、私好きです。」
ほんわかぁ。
ついつい顔をしかめて大きなため息を吐きそうになっていた私に、つい笑みを浮かべたくなるような、ほんわかとした癒される雰囲気を身にまとい、カナちゃんはやや頬を赤らめて言った。
こんなふうに可愛い女の子に言われたら、またみんなで食べようってなるじゃない。可愛いなぁ、カナちゃんは。
しかも、料理が好きらしく、進んで一緒に作ってくれた良い子だし。ひたすら、周りで騒がしくしていたユキ達とは違う。
料理する母親の周りではしゃぐ子供みたいな反応はせず、カナちゃんは何も言わなくても、手伝ってくれるし、使い終えたものもすぐに片付けるなり洗うなりしてくれて助かった。
しょうがない、遠慮がないユキやムラくんにはやや引っ掛かりを覚えなくはないけど。またご飯くらい作っちゃうよ。カナちゃんも望んでいるようだし。
カナちゃんなら手伝ってくれるし、何なら代わりに作ってくれたりもしそうだしね。
◇◇◇
「その、あの…すまなかった。」
みんなでオムライスをワイワイ食べ終わったところで、気まずそ〜うにヤンキー君が口を開いた。
ゆっくりと気まず気にこちらの様子を伺いつつ近づいてきたかと思えば、頭を下げるヤンキーくん。ほんわかとしかけた雰囲気が一気に緊張状態に戻った。
食べている間、ずっと無言で難しそうな顔をしていた。
大きなこえではないものの、声はしっかりと響き、みんなが口を閉じたため、しーんとした空気となった。
ヤンキー君はそんな中、どんな顔をしているかも見えないくらいに深々と頭を下げている。
ヤンキーくんにどう対応しようかと見ていたら、ツバサがヤンキー君の横にトトトッと駆け寄り、意を決したような面立ちで私を見つめてきた。
「その、ごめんなさい。自分が何ができるかも考えずにみんなに甘えようとしてた。…怖くて動けずにいた。迷惑かけて、ごめん。」
ツバサもツバサで深々と頭を下げてきた。
これ、どうすりゃあ、良いんかな?
ヤンキーくんにはユキやユズルが付き添ってきて、ツバサにはツバサでカナちゃんが付き添っている。
私は珍獣か何かか。
同級生ぞ?我同級生ぞ?
「術、コントロールが付かなくて…それで周りを巻き込んで傷つけちゃいそうで、怖い。守りたい。戦いたい。けど…。」
「とりあえず、みんなでツバサさんの術式を見てみませんか?そしたら、何かできることがあるかもしれません。」
援護射撃しますっていった感じにカナちゃんは私に言う。
「お願い…っ!!」
やっと頭をあげたかと思ったツバサが再度、ガバッと私に向かってツバサは頭を下げてくる。何回頭を下げる気なのでしょうか。
「俺からも頼む。弱いから守らねーとって…安全なとこにいさせて俺が守ってやらねぇとって思ってたけど。それはソイツの覚悟を無碍にするだけだよな。さっきは悪かった。志貴、頼む。力を貸してくれ。」
頭を下げるツバサを見て、ヤンキーくんも何か語っている。そして、ツバサ同様に頭を下げてくる。
「ーーーなんで2人は私に謝罪をし、私に頭を下げて懇願するのかな?変態野郎に頼めば教えてくれると思うよ?あれの術式の腕は中々に高いし、おすすめだよ〜?」
ここはワクワク学園で、教員達がいる。
何かを教わりたいならばレベルの高い使い手である教員達に教われば良い。
私達の担任である変態野郎とかな。みんなより遥かに術式に精通しているし、教えるのもうまいはずだ。
「まったく、しっきーは。2人がしっきーを怒らせたから2人はこうして謝りにきたんだろ?」
私がいえば、ヤンキーくんやツバサは言葉をつまらせたが、ユキがすぐに呆れた様子で口を開いた。
それに続き、マリもこちらを向いた。
「変態に頭を下げるのだって嫌に決まっているでしょ!!良いじゃない、みんなで術式の練習しましょ!谷上やカナちゃんも得意よね?」
「はいっ!」
マリの言葉にカナちゃんが嬉しそうに顔を輝かせてうなずいた。
これは…練習をしていくっていう流れだね?谷上は拒否なんてしないだろうし、そういう流れだね?
「……まぁ。」
ご飯を食べ進めつつ、谷上もうなずく。
あぁー!やっぱり〜。
谷上が拒否なんてできないとは思っていたけど!嫌そうにするでもなく、無表情でうなづくだけとか!嫌そうにすれば拒否だってできるのにぃ。
「じゃあ、ご飯を食べたら修練の場にいくでござる!!」
谷上は参加方向で話が進んでるし。桜井も来るわな。結構、乗り気な様子だ。
「………俺ァ、パスでぇ。術式はあんま得意じゃねェからな。またにしてくんな。」
お兄さんはひらひら手を振る。
「私もパス。部屋で過ごすわ。」
お兄さんの言葉にゆずるんも乗っかっていく。ズルイ、2人とも。私もサボりたい。サボるっていう選択肢ありなの?
私には用意されてない選択肢じゃないかしら?くすん。
なぜ、私は強制参加なのかしらん?術式は苦手じゃないけど。まぁみんなよりは優れているけども。基本的な術式の練習なら私じゃなくとも良いはずなんだけど。
「僕はご一緒します!!術式と一緒にゲームの振り返りをしたいです。ウサさんの言うことがわからなくて…皆さんの知恵をお借りしたいですッ!」
うん、ムラくんが参加しないなんて考えてないよ。ビシッと楽しそうに手をあげて参加宣言しなくても分かってる。当然、来ると思ってた。
先程の変態野郎の言葉も考えるって言う課題が増えてるから、より面倒になっているな。
そんでいて、私は強制参加なのな。
あー…お兄さんについて行きたい限りです。
読んでいただきありがとうございます^ ^
オムライスから話が少し進みました!
ちょちょいと進みましたね
楽しんでいただけると嬉しいです!




