28.入学式をやるそうですよ⑥
めんどくせぇなぁと思いつつ、仕方ないと腹をくくり、手をあげているムラくんに声をかけました桜花さんですよー。
純粋純白培養のおしとやかな桜花さんは無視するなんてことは致しません。はい、致しませんとも!
だって桜花さんは良い子だもん!食事の席ではみんなのお茶を入れたり、箸を率先してみんなに配ったり気配りしちゃう系の良い子なわけですよ!空気も呼んじゃう系の可憐な少女なわけです。
集団行動は得意じゃないけど、決して人が嫌いというわけではなく、むしろ人が大好きっす!
逆にひとりぼっちのほうが好きじゃない。人といるほうが好き。人好きなんですよ、はい。なのに人見知りもしちゃう複雑性を持ってたりする。はい、そこめんどくせぇとか言わない!
ただねぇ〜。
面倒なのは嫌いでねぇ。怒られるのも嫌いな性分なのさ!まぁ大抵の人がそうなんだろうけど。私に特殊な性壁はないのだよ、分かるかねワトソンくん。面倒ごとは嫌だなぁ、あぁ嫌だ!
………あぁ、ほんと。めんどうそうだなぁ、ムラくん。
「桜花さんは何に怒ったのでしょうか?」
私の心情など全く知らないだろう曇りなき眼で真っ直ぐに私の目を見つめ、悪意もなく邪な感情を一切浮かべず、純粋に質問してきた。
まるで幼い子供が「なんでパパはお城みたいなキラキラした建物に知らない女の人と行ってたのー?私も行ってみたーい。お姫様になるー!」と母親の前で言ってきたかの如く感覚に陥る。
悪意はない。それは分かる。分かるんだけれども、そんなことは聞いて欲しくない。聞いて欲しくなければ、問いに答えたくない。無邪気に空気を凍らせ、その対処は周りがしなければならないとか修羅場いらない。
いや、まぁ……
私は浮気をしたとかそんな悪いことをしたわけじゃあないし、邪なことは何もないのだけど。いや、でも、空気読めよとか思うわけじゃん?気を遣って話題に出さないとかあるじゃん?
あぁ……やはり面倒なだけだったわけだ。
手を上げたムラ君に嫌な気しかしなかったもん。嫌な予感しかしなかったもん。分かってたよ?分かってはいたよ。大抵そういう予感って当たるんだもん。
ほら?私、これでも戦闘員だし、危険があるとか身に不利なことが起きるときには勘が働くわけだよ。あ、やばいって。ムラ君見てピーンときちゃったんだよ。
質問してきた瞬間のあの顔、質問の内容から嫌な予感はムクムクと成長中だよ。麻の如く成長しちゃうよ。
え?麻って毎日飛び越える事でジャンプ力を鍛える忍者が用いるアレだよアレ。忍者に必須の素敵アイテムだよ。
毎日飛ぶ事でジャンプ力を上げていくっていうけど、本当にできるんかしら?いつ出来なくなるか不安になっちゃうよね。最初は楽々だったのが、時期に飛べないんじゃないかっていうドキドキに変わる。忍者の摩訶不思議な特訓方法って、話がそれたね。それちゃったね。現実逃避はよくないね。
よしよし。ちゃんと現実を見ますとも。現実と向き合っちゃいますとも。よし、がんばって行こう!現実を見て何かリアクションしなきゃと私は口を開く。
「は?」
あ、失敗した。
失敗しちゃいましたね、盛大に。こりゃ誰の目から見ても明らかなくらいに失敗したよ。ダメなリアクションのお手本になれちゃうよ。
何かを言うつもりだったのに「は?」の一文字ってなしだろ、なし!何やっちゃってんの、私!!ヤンキーか。
単刀直入な質問についつい、眉間にシワを寄せつつ、ムラくんを見てしまった。やばいよ。ついつい、眉間に力が入ってしまった。メンチを切るかのように。ヤンキーかっての。
あぁ、顔にあからさまに感情なんて乗せるなんて淑女としてあるまじき失態!でも、そんなことは言っていられない。それくらいに感情が動いたんだもの。
向こうが悪意を持ってきたならば、こちらだって感情コントロールして叩き潰してやるってぇのに、悪意のあの字も持たないというより、そんなもの、存在も知りませんでした!とでもいうかの如き様子での質問!悪意がないことがなお苛立ちを募らせるわけだよ!
怪訝そうな顔。
表すならばそう書かれるであろう顔を私は今しているはず。しますとも。しますよ。背後には禍々しいトーンでも貼ってくれて構いませんとも。
いや、チビさんこの場面であくびなんてしないで。うなるとかして雰囲気だそうぜ。首にすりつきつつ、目を閉じるとか、自分は関係ないもーんって話?まあ関係ないわけだけどさ。
私は怒った勢いのままで同級生に術式をかけ、しかも教室を飛び出して行ったわけですよ。そんな奴に対して、教室に戻ってきたとこにあの時、なんで怒ったんですか?って聞くかね?
いやいや、聞かないでしょう。聞くわけがないとも。
ガクガク青い顔しながらこちらを伺い見て、目があったらサッと目を逸らす。そういう反応をしてくれて良いんだよ?いや、良くないけど。それもそれで傷つくけど。面倒な子だって自覚はあっても、いやなものは嫌だもの。
でも、普通の反応は『ガクガク青い顔しながらこちらを伺い見て、目があったらサッと目を逸らす。』ってもんでしょう?
いきなり、同級生に術式をかけるんだよ?その様子から分かるじゃない。ムラ君もヤンキー君も私より弱いって。圧倒的に弱いって。
私の術式に対抗できないで簡単に術式にかかった。つまりは術式の腕は私の方が上。その上の実力を持った私が迷わず術式を使ったんだよ?怒らせたら攻撃される可能性を考えないのかね?
まぁお兄さんやマリ達にも言えることだけれども。誰一人ビビる事なく私のとこに来たのだけども!
普通は警戒しないかね?君たち弱いんだよ?全員がかりで襲ってきたとこで私は戦うまでもなく、みんなを叩きのめせるんだよ?
なんなら、チビだけで十分。チビにやらせなくても、武器なんかいらない。素手とちょっとした術式だけで全員を地に伏せさせれる。
ムラくん達ってそれくらい弱いんだよ?戦闘員だったら底辺にいるのよ。ちょっとした戦力を持ってる戦闘員との実力差でさえ、天地の差を感じちゃうくらい弱いのよ。
弱い草食動物は警戒心が強い。強いはずなのだよ。なのに、ムラくん!君の警戒心は弱すぎる!警戒したまえ!
「好きなマンガにありました。その人を知りたければその人が何に怒るかを知れ。好きな言葉なんです。……桜花さんにとって大切なものがあるから怒ったわけですよね。」
にっこりと微笑みながらも、真っ直ぐこっちを見つめる。あー、純粋に言ってやがる。悪意のない言葉だって分かる。本当に警戒することもびびることもなく、私を普通の人として扱って接してきてる。
いや、悪くはないんだけど。わるくないんだけどねぇ。
あからさまに不愉快っていうかのような反応を、ていうか気に入らないって明らかに顔に書かれているってぇのに、気にせず質問を続けるか?続けないだろう。
ムラ君の考えが聞きたいわけでもないし。
おとなしく、草食動物のようにブルブルしててくれた方が楽だね、いやマジで。不快ではあっても面倒ではないもの。
お互いの精神のためにもビビらせないように戦えるの隠していたけど。まだ実力を見せ切ってもないし、たいして暴れたりしてないけども。けど、怒って同級生に術式使ったし、今だって明らかに不快感をあらわにしてメンチを切ったよ?ヤンキーみたいに。
びびれよ、おい。
アレか、アレなのか?お前はレンジャー物の、レンジャーに敵わないというのが明らかなのにビビる事なく上の指示に従って前説のように客を良い感じに盛り上げるためだけのたくさんいる雑魚キャラ的なノリか?
あれ、弱いくせにビビることもなくレンジャーに向かっていく勇気っていうの?すごいよね。あの無謀な勇気。
変態野郎を相手しなきゃと怠い気分だったけど、それ以上な相手がいたとは。変態野郎なら最悪、空気が読めてはいるから、こちらがマジでキレて暴れれば黙る。踏み込んではならないとこは弁える。逆に神経を逆撫することはする可能性はあるけれど。とはいっても、根っこから悪い人ってわけじゃない。
ムラ君には悪意がない。上に鈍感なのか我が道をひたすらいくタイプなのか、空気読めよって思う場面がある。空気を読まず、それでいて悪意もなく、先程のヤンキーくんやツバサに向けた怒りを蒸し返してきてやがる。あぁ、タチが悪い。天然物が1番タチが悪い。
計算で何かをやる人からしたら、天然の威力の強さってどうしても敵わないのよね。計算したボケより、素の天然物のボケのが強くてクるものがある。やっぱり天然が1番なのよ。ボケの面白さも、恋路のトキメキも。
自覚なく、トキメキを与えるような動作を計算一つなくイケメンがやったならば、ドキッとするわけだよ。何の駆け引きもなく天然なイケメンが、花束を手渡し、ありがとうって一言言ったならば。顔真っ赤になってときめいちゃう。
イケメンだって自覚してて、計算でやってくるよりも、予測が立たないとこで自然な動作でやるからこその半端ない攻撃力よ!しかも見返りを何か期待しているわけでもない純粋培養!半端ない!って何の話だ、これ。
とにかく、天然者はタチの悪さにしたって半端ないわけよ。
「ウサさんはこれから苦労を共にすると言いました。せっかくこのメンバーで集まったんです。みんな揃ってが良いです。誰かがのけものになるのも、誰かだけが頑張るのも僕は嫌です。」
ハッキリと。キッパリと。一切の迷いのない言葉をこれでもかってくらいに真っ直ぐに。
村くんは口にする。めっちゃ意見を真っ直ぐいう子だねぇ。いやぁ地平線くらい真っ直ぐだねぇ。星は丸いんだし、もう少し歪めば良いのにねぇ。
「ハァ…足手まといという言葉が嫌いなだけ〜。出来ることできないことなんてみんな違う。違うのが当たり前で、誰が優れているなんてことはない。足手まといっていうんは自分の力で立とうとしない他力本願な奴のことだと思うんだよね。」
答えるしかないみたいだし、諦めて素直に答えた。答え始めた。
答えるしかないもの。
読んでいただき、ありがとうございます^ ^
寒くなってきた今日この頃
昨日、信号を渡ろうとしたところ、
左折してきたパトカーが止まってくれました
ただ、止まった瞬間に信号が点滅しました
ゆえに、連れが立ち止まったんです
走り出そうとしたことを告げると、
「で、道路交通法違反で捕まったらどうするの?」
との事。
考え方って人それぞれですねぇ
ムラ君もひたすら、桜花にぶつかっていきます
言葉にしなければ伝わらないですからね
望む反応を獲るためには、こちらからひたすら働きかけていく必要があります
言葉はしつこいくらいに尽くしていかなきゃなと最近思ったりしました




