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27.入学式をやるそうですよ⑤

全ての花々が倒れていく姿を見て、マリはぺたんとその場に座り込んだ。


頑張ってたからねぇ。疲れちゃったか。


「疲れたぁあ。これだけのをナイフ1つで相手しようとするとか、馬鹿じゃないの!?」


ギロっと睨むようにマリに見られた。ハァハァと肩で息していながらも般若の如く怒りをあらわにしている。


あれー?


矛先が私に向かってきた。


とりま、お兄さんの近くに避難しつつ。


「だって、出来るんだもーん。」


仕方ないじゃーん。出来るんだもーん。


茶化すように言いつつ、お兄さんに隠れてみた。


「ハァ?!」


ありゃ。予想通り、さらに睨まれました。ま、そりゃそうだ。


その眼力といったら。


うらわかき女の子のそれじゃあないね。


まるで悪鬼のような視線。眼力。迫力。女子高校生がする顔じゃない。


言ったら阿修羅のような顔になりそうだし言わんけど。


「ほら、私もチビも強いから。バケモン染みた戦闘力、舐めちゃあいけない。」


おちゃらけた様子で言ってみると、谷上がスッと表情を消したのが見えた。マリは顔を歪めただけだったんだけど、谷上の何かがキレた。


あ、ヤバい。


本能が警報を鳴らす。怒らせた、さぁ逃げろと警報が鳴り響く。


とはいえ、逃げ出す事はできないけど。


「志貴さんは確かに強いみたいだけど。強いからって無理するのはどうかと思う。強いから1人で突っ走っていいわけじゃなくない?チートキャラの悪いとこってこうやって周りの心配を気にせずに、無理するとこだよね。志貴さんにもそういうとこあるよね。強いからって我が身を顧みず周りを優先するんだよね。前もそうだった。自分は怪我して良いわけ?良いわけないじゃん。何なの?志貴さんはバケモンとか迫害された傷でもあるとかいう設定持ち?バケモンって迫害されて受け入れてくれる人がいなかったから自分が大切に出来ない的な?バケモンの自分が傷ついてもどうでもいいでしょ的な?どうでもいいわけないじゃん。心配したんだけど。」


う、うん。


設定とか言われても困るかな。ヤンキーくんが嫌いそうな早口ボソボソ喋りが出ているよ谷上くんや。


谷上とは読むマンガやラノベの趣味が合いそうだね。テンプレ的なやつ、読むでしょう。落ちこぼれが実はとか、悪役令嬢は前世の記憶をとか。


言ったら言ったで怒られそうだけど。


「谷上氏のおっしゃる通り!志貴氏?もしものことがあったら大変でござろう。無理は禁物。イラつきに身を任せて動いては我が身を滅ぼす。志貴氏は1人ではござらん。無茶をせず、皆で対処致したい。今後は我らと共に動くようにしてほしいのでござる。」


谷上の早口に全くひるまない桜井はさすがだね。


穏やかな口調で赤子に言い聞かすように話してくる。これは谷上への援護射撃だ。私、追い込まれとります。


1人で動いた事を桜井にも怒られとる。


「……………バケモン設定っつーなら、谷上や桜井のキャラ的にバケモンだって怖がるキャラだろうに。突っかかるってぇのはキャラ崩壊してないのー?」


谷上は妄想まで付け加えて言いがかり的に言いまくったわけじゃん。化け物役の私を谷上や桜井は怖がる役でしょう?怖がる立ち位置の2人に怒られても、素直に謝れん。


谷上も桜井も、チートキャラに震えながら化け物ぉって叫ぶキャラですよ、明らかに。キャラ守りましょうや。説教やめようぜ?


「なぜ、恐れればならんのでござるか?志貴氏が先ほど教室で怒ったのは坂崎氏のためでござろう?人のために怒れるのは優しき証拠。どんなに強かろうと、志貴氏は優しい人でござるのは知ってるから恐るに足らんでござる。」


不思議そうに頭を傾げ、話しつつ、最後には微笑む桜井。これがイケメンでかつ、ここが物語なら惚れるパターンだね。私が乙ゲーの攻略対象で桜井がヒロインだったら確実に惚れるやつだ。


で、私は孤高の戦士とかそんな攻略対象だね。


化け物じみた圧倒的な戦力を持っているが故に周りに化け物扱いされ、過去に心に傷を負った戦士。うんうん、私ってばかっこいいキャラになっちゃうじゃない。


ーーーっと、いけない。


谷上に思考を引っ張られてるね。変な方向に思考がいっていた。


「バケモンっていう風に思ってるわけじゃないよ。力に善悪はないし。どう使うかが重要なわけで。どんなに強くても志貴さんは志貴さんだから、危険はないだろうし。てか、そんなこと言いたいわけじゃない。無茶をするってことに対して怒ってるの。」


話をすり替えないで。って、谷上はぷりぷり怒っている。


う、うん。


当たり前のように言うけど。


2人の考えって特殊よね。怖がる人も少なくないから闘魔隊のトップである空は尊敬されつつも畏怖の対象となっているのだし。


ただまぁ…嫌いじゃあないな。


「高い戦闘能力があるってぇたって、桜花ちゃんは女の子だろ?じゃじゃ馬がすぎるんじゃないのかぃ?」


うげっ


ポンポンと頭を撫でながらお兄さんまで攻めてくる。お兄さんだって飛び出してったくせに。


ま、分かってはいたけど味方がいないのは辛いなぁ。


「む。4体1はずるい。お兄さんくらいは味方でいて。」


お兄さんが1番、崩しやすそうだ。


振り返りつつ、私を撫でるお兄さんを上目遣いで見つつ言う。


あ、上目遣いは可愛こぶってるわけではなく、身長的にお兄さんのが上だからそうなっただけだよ?


「………みんな、味方でぇ。桜花ちゃんを心配して来たんだろ。」


苦笑するお兄さん。お兄さんみたいに好きに動きたい系の人も皆仲間だ的なこと言うんだ?いや、まぁ、みんなを思いやる優しい人だけども。


ゔ…

お兄さんも簡単には崩せんかったか。これは部が悪い。


「……とにかく、片付いて良かった。」


「そうでござるな!志貴氏がいてくれて助かりましたぞ。谷上氏の術も素晴らしい!!拙者の武器、攻撃力が飛躍致したのは谷上氏のご活躍でござろう?!」


「大したことはできてないよ。僕1人じゃどうにもならないし。僕、雑魚だし。」


「谷上氏、おまっ…自分のサポートスキルのレベルっ…どんだけ見誤って…ワロwww」


「そこで何で笑うのよ。谷上、確かにアンタには助けられたわ。アンタがいたから私達は無事なの!自信持ちなさい!」


わぁ。ブルブル震えて言葉が出ない桜井に対して、マリはビシッと谷上を指さして言った。


なぜ、マリがえらそうなのか。


不思議だねぇ。


「はぁ…?まぁ助けになれたなら良かった。」


はにかむ谷上、純粋だねぇ。


集められた10人の子。みんながみんな、良い子ばかりだ。ヤンキーくんも含め、みんな悪意のない良い子だねぇ。


まぁともかくとして。


説教が長引かなくて良かった!


それに。戦闘も終わってなごやかに話をする時間。1人だったらなかった時間だ。


中々楽しいもんだね。本来なら一人でひたすら任務を受けるつもりだったけど。ワクワク学園に来たこと、まだ納得はできないけども。ここに来て、良かったかも。


なごやかに過ごす時間はやはり楽しい。好きだった時間だ。


ここにいるのは変わり者ばっかりだけど。嫌じゃない。くだらない時間が楽しい。もともとは周りにたくさん人がいたし、私は人といるのは嫌いじゃないんだなぁ。


それはそれとして。


「ーーー腹減ったなぁ。何か食べたい。」


腹がなりそう。


乙女にあるまじき事態ですな。


盛大に腹がなりそう。


「お?桜花ちゃんが作ってくれるのかィ?」


ん?私は何か食べたいと呟いただけだけど。


私の顔を覗き込んでお兄さん、なにを企んでいるの?

イケメンの上目遣いとか困るんだけど。惚れちゃったらどうするの!


「……作れはするけど、ここ出来合いのもんがあるんだし、それを食べれば良くない?」


「桜花ちゃんの手作りが食べたいんでぇ。」


いや、何でよ。


イケメンお兄さん相手だったら新婚さんよろしく、あーんまでしちゃうぞ、コラ。


「て、桜花、作れるの?」


マリ、あからさまに狼狽てますね?料理は苦手ですかな?


うどんとかパンとか。


マリさんにお誂え向きな料理いっぱいありますぞ?


いや、馬鹿力って言ってるわけじゃないからね?


腰のある美味しいうどん作れそうとか良い意味で言ってるだけよ?


「人並みにはね。マリは料理、苦手?」


「ゔ…っ!最低限はできる、わ…っ!」


やっぱり苦手なのか。


「ヘェ〜?」


にんまり笑って覗き込めばマリは面白いリアクションを取りつつ、こちらを睨むように見る。


良いリアクションをするから、まりをからかうことはやめれないよね。


「家事炊事ができると言うのは点数高いでござるよ!!ね、谷上氏!!」


「何で僕に話を振るの?できないよりはいいんじゃない?」


みんなで駄弁っていると、チビが魔物の本体を加えて姿を表す。


「あ、チビ、お疲れ様。魔石、ありがとうね。」


「にゅーーぃ。」


全速力で魔物を狩ったチビ。さすがにお疲れの様子だ。


「疲れたね。ゆっくり休んで。」


魔石を受け取るとチビの頭を撫で、そしてしまう。


普段なら離れたがらないけど、今は素直にしまわれていくチビ。疲れちゃったんだねぇ。


猛スピードで狩ってたからなぁ。


「とりあえず、教室に戻る?」


魔石回収も出来たし、みんなに問いかける。本当なら飯食いに行きたいけど。


「そうでござるなぁ…。」


「また変態に会わなきゃいけないって気が重いわ。」


わぁ、だいぶ嫌われてんなぁ、変態野郎。


教室出る前は気分悪かったけど、嫌な気分もなくなった。ま、変態野郎の相手くらいしますか。
















◇◇◇


「はい!質問ですっ!」


教室に戻った私達の前に村くんは立ち、ビシッと手をあげている。その目は真っ直ぐに私を見ている。


間違いなく私に話しかけているようだ。真剣な表情で真っ直ぐ私をみつめてるから間違えようがないんだけど。


「…….何?」


面倒な気がしなくとないけど、聞くしかない。仕方ないよね。

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