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262.寒くなってきました


「志貴様のその格好は…?」


教室に入って早々に変態野郎は私を見て、動きを止めた。


ワクワク学園にやってきて、だいぶ経ったこの頃。授業やら何やらに慣れて久しいこの頃だよ。


予想だにしないことを変態野郎は発見したんだろうね。


正確には私の行動が変態野郎には予想のしてなかったもので、かつ、それをあらためて欲しいとか思ってるんだろうね。


だからって、暗に非難するあたりがいやらしい。やだやだ。


ま、ハッキリ言ったとこでやめないけど。だって寒いんだもん。


意外と学生生活は問題なく送れている。


二学期開始早々に月にぃが見学したり、お兄さんがこけに飲み込まれたりしたけど、あとはトラブルも何にもない。


と言ったって。


自然がよこす問題は毎年の事で、必ず起きるんだよ。寒さは。辛たんだよ、全く。


寒さってやばいよね。何がやばいってやる気が一切なくなるんだよ。動きたくない。なんなら、布団から出たくない。冬眠したい。


だってぇのに。


桜花さんは哀れにお兄さんに布団から引っ張り出されたんだよね。仕方ないから、教室までは来た。けど、寒い。


暖を取るしかなくなるわけよ。


チビをいい感じに大きくして、椅子を術式の中にないないする。で、丸くなる。これしかない。


「志貴様?」


「うるさい。」


「桜花さん、椅子に座りましょう?」


かなちゃんがこちらを見て困ったような表情をしている。


「寒いからってその格好はないでしょ。」


マリまで呆れたように格好をなおせとか言ってくるぅー!


「チビ、あったかいんだもん。」


ま、だからって桜花さんが素直にいうこと聞くかって言われたら聞かないんだけどね!


チビに埋もれるようにして、顔を隠す。誰も見なきゃ問題ない。そう、見ざる聞かざるだよ!


「もんじゃない。ほら、さっさと立ちなさい。今からそんなんじゃ、冬なんか越せないわよ。」


ゆずるん、おかんモードでわざわざ目の前まで来た。


桜花さん、冬越さない。冬眠するんだ、桜花さんは。


にしても、ゆずるん、立たせる気満々らしく、手を差し出してきてるけど…


とりあえず、無神武器を一つ手に乗せてみる。


「違うでしょ?」


ギロリと睨みながら武器は懐にしまうのね。


ごまかしは効かせてくれないのに武器は回収するとか、ひどい。


「しっきーの椅子は?」


「術式内にしまってたぞ。」


阿部は簡単に情報を流しやがる。ひでぇ奴だ。


「さっさと出す。」


ゆずるんの有無を言わさない命令出ました。マジ鬼ですな。


「寒いのにぃー。じゃあこれでぇー。」


仕方ないから火をあちこちに出現させる。維持は大変だけど、寒さには敵わないから仕方ない。


「志貴様、術式を乱発しないでくださいまし。」


………下手っぴが術式打ち消しやがった。


正確には打ち消そうと動いたから消した。危ないからね。


「全く。さて、授業を始めましょうか。」


あー寒い。











◇◇◇


「それ、どうにかならないわけ?」


寒い以外は特に問題が起きることもなく迎えた休み時間。


休み時間くらいは良いだろうと私はチビにまるまる。寒いもの。


「これが一番あったかいんだよん。」


チビの首元に抱きつくように顔を埋めればチビも擦り寄ってきてくれる。


うん、あたたかい。


「……武器をそのように扱うのはしっきーくらいだろうな。」


「カイロじゃないのよ、チビは。」


なんか、武器師たちが言ってらー。


チビが良いと言ってて、持ち主である私が正解だと言うならば、その使用方法に間違いはないって言うのに。


「使い方、間違ってないもんなー?」


「にゅー?」


なぁー?とチビは相槌を打ってくれる。


ほらな?私に間違いはない。チビと私が良ければ良いんだよん。


「いや、護獣として何か間違ってるから。」


「変わってますよね。」


すかさず入るマリのツッコミとカナちゃんの謎のフォロー。


むむ。


解せぬ。


本人らが良ければそれで良いだろうに。


「これで武器の状態は良いんだから怒れないんだよな。」


「…武器自体は大切にしてるみたいだものね。」


武器師2人の評価、ひどくね?私は武器を大事にする子だって言うのに。


「私は所有する武器は大切にするし、しっかり管理してますぅー!」


「………にゅ〜??」


半眼になって私を睨みあげるチビ。


え、なんで?


このタイミングで掌返しするだなんて、チビったらひどい。


チビは何か不服らしい。ちゃんと、管理してるつもりだけど。


何が不服だというんだろう〜?


「んん?…………あ、この前に拾った武器が不服〜?チビ達出してる時にしか使わないからだいじょーぶ!」


あー…思い出した。


というか、思い出すのを強要された。チビの凶暴な視線が恐ろしいぜ。


ギロリと睨む姿は般若的。可愛いけども。よし、撫でてやろう。


「にゅぅ〜。にゅ、にゅぅにゅにゅ?」


師匠たちを普段ならば無視するチビ。なのに、こう言う時は師匠達を出すんだよねぇ。


報告してなくない?って、もうちょい早く言って欲しかったなぁ。完全に忘れてたぁー。撫でたら少し態度が軟化したけど、それでもピリついてるなぁ。


何度か機会はあったのに、すっかり忘れてた私がいけないんだけどさぁ〜。


「んー。あ。………たしかに師匠への報告忘れてたわ。あはは。けどさ?今、ワクワク学園にいるわけじゃん?師匠がそばにいないわけじゃん?じゃあ、師匠からの許可は得られないね。しゃーなし!」


もう後の祭りだからね。どうしようもない。後から師匠に連絡するかな。


………忘れないように注意しよぉ〜っと。


「お待ちください、志貴様?!」


あ、やべ。


変態野郎が反応した。今の会話だけで状況把握したらしい。教室に入ってきたばかりなのに会話を聞いてたとかどんな地獄耳?つか、まだ授業時間まであるのに来るの早すぎ。


「叫ばないでよ。口調は変態だけど、素が出てるんじゃないかなぁ。」


キャラ剥がれちまってるよー。うざったらしいキャラを被るだけの理由があるんでしょ?


最近、キャラがブレブレすぎるんじゃないかな。気を引き締めなきゃ。


「それより!!今の話はどういうことにございましょうか?!貴女様がワクワク学園から出る場合、私どもがッ!なのにーー前に私達とはぐれた時にございますか?10分ほどで合流いたしましたよね??」


変態野郎は凄い勢いで迫ってきた。ずいっと顔を近づけてきて口早に捲し立ててくる。


これは"この前に拾った武器"から聞いてたやつか。この前なんて、いつの話か分からないだろうに、ワクワク学園にきてからの話だってカンで察するんだからタチが悪い。いやはや、厄介だ。


しかも、いつの事か即座に当てるんだから怖い。他に機会がないと分かっているらしい。把握してる真面目なやつ。言い方悪くすればストーカー的なやつ。


いやはや。


しかも、拾ったのは結構前だっていうのに、言い当てる執着性。こわいこわい。


「…………えへへ。」


これは何を言っても逆効果。口答えをしてはいけない。


笑って誤魔化す!!押し通す!


「桜花ちゃん!!誤魔化そうとせずに真面目に話せ!チビが桜花ちゃんのお師匠様に報告しろって言うような武器だなんて…ッ!危ないだろうが!」


て。


キャラをどっかに吹き飛ばしちゃったよ。


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