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25.入学式をやるそうですよ③


「にゅっ!」


声をかければすぐにチビは答えてくれる。ま、チビとやれば簡単に人喰い花は倒せるからね。迷いはそこにはあるはずがない。2人で行くことにチビに異論があるはずがない。


みんなを連れてくほうが危ないからね。みんなで行くってほうがチビは不満に思うだろう。


「おいっ!」


ただ。


ヤンキーくんは私とチビで行くことが気に入らないらしい。


声を荒げてこちらに近づいてきた。1人でやれるってぇなら勝手に1人で行けば良いだろうに。私の言動を気にする必要もないんだよね。


自分は1人で行くって言ったのに私が行くのはダメっていうのはおかしいだろ。おかしいよねぇ?


危ないから俺1人で行く!それを他の奴らがやるのは危険だからダメだ!的な?


甘いよ甘すぎるよ、ヤンキーくん。ヒーロー気取りたいなら魔物のいない安全地帯でやれってな。ここは魔物のいる戦闘地。甘いことなんざ言ってらんないんだよ。


「"動くんじゃない、足手まといは来るな"」


戦闘力の高さで言うならばヤンキーくんだって低い部類に入る。弱いくせにいきってんじゃねー。だなんて言いたくなっちゃうよ、本当。


話すのも無駄。


術式使って動けなくしとく。


「なっ!」


《パンパン パン パンパンパン パパン》


ヤンキーくんが、動けなくなっているのを確認して、さっき使った2つの銃を両手に持つと、私は弾を打ちまくる。


《パパパン パン パンパン パン》


射程範囲にいたのは残念ながら3体。邪魔な花をどかして本体を打つ。


ん。とりあえず、3体。


「チビ。魔石の回収は後でいい。私が引きつけるから、本体をお願い。」


「にゅぃッ?!」


「むしゃくしゃするときは暴れるのが1番でしょう?」


チビに指示を出せばチビから抗議が来る。私が囮役をするのがお気に召さないらしい。が、抗議は聞く気はない。


「ん。桜花ちゃんが好きに動くってぇなら、各々好きに動くってぇことで良いよな?」


私がチビに笑いかけていると、状況を静観していたお兄さんも自分の好きに動くと決めたらしく、動き出していた。


お兄さんはガタンと席から立ちあがり、歩き出しながら話していた。言い終わる頃にはお兄さんは部屋の外。手には番傘が握られていたから、戦う気満々だねぇ。


ゆずるんやユキが止めようかと動きかけていたけど、止める隙もなくお兄さんは行っちゃった。嵐の如く去っていった。


ま、お兄さんなら大丈夫でしょ。


とりあえず、私は使っていない銃を机に置くと、果物ナイフを取り出す。残りは4体。


花々はそれほど強い敵じゃあない。武器すらいらんくらいだ。お兄さんもいるし。


「"術式66 魅惑の香"」


「にゅぅ〜。」


術式を使う私をなおも気に入らないと睨むチビ。


チビが囮役をして、私に安全なとこから魔物を撃たせたいらしい。危険な役は自分にって私の武器はなんて男前なのでしょう。


今は私が囮役がやりたいからチビの意見は聞けないけども。


「お前に引き付けてもらうより私が引き付けたほうが確実でしょ?……所詮は口のついたただの花。果物ナイフで十分だよ。制服の性能も見ておきたいし?おそらくは…四肢を失うくらいなら大丈夫なんじゃないかなぁ。」


「にゅっ?!にゅにゅっ!!!」


「嫌ならさっさと本体を倒してくれる〜?魔石を集めたんだ。本体の匂い、覚えたでしょ?」


挑発するように笑って見せればチビはこれでもかと言うくらいに目を見開き、その後、背にはまるで般若がいるかの如く禍々しい怒りを見に纏った。


「にゅっ?!…にゅぅ〜ッ!」


あ、

怒ったチビに置いていかれた。


仕方ないか。

んじゃ、私も行くかな。


「志貴氏ッ?!」


「ちょっと?!何で浮いているのよっ!?」


窓から降りた私の背に桜井やマリの声が響く。


いやいや。マリさんや、私は術式もそれなりに使えるから。術式を使えばそれくらいはできまっせ。


「志貴様は術式も得意でございますからね。あれくらい、志貴様にかかれば造作もないでしょう。」


あ。

変態野郎が説明している。


つか、当たり前のように説明してるけど。術式をどの程度扱えるか、変態野郎に知られてるって嫌な気分。いや、まぁ知ってて当然なんだけどさ。


「待ちなさいよッ!もうっ!」


マリは説明する変態野郎なんかいないかのように変態野郎を無視して走り出した様子。走りゆく音が聞こえてくる。


「ちょっ!御崎氏まで?!ちょちょッ!無闇に動いては危なかろう!?待つでござるよ!!」


「桜井氏ッ!!待って!!」


走り出したマリを追いかける音も続いて聞こえてくる。


桜井や谷上の2人も来るのか。ヤバイな、谷上にはまた怒られるかも。無理すんなって。


まぁ、いいか。


私はとりあえず、自分に迫りくる花の相手をしよう。


大した武器は持ってないんだ。せいぜい、楽しませてよ?クソ花。
















◇◇◇


ドタバタと騒がしく出て行ったのは6人。魁斗、桜花、真里、悠真、司の6人は人喰い花の元へと向かって行った。


残されたのはウサを含め、7人。


7人いるにも関わらず、部屋の中は静かなものだった。


「"解術"」


気まずい空気となった部屋にウサの声が響く。


発動している術式を解くための術だ。容易くできるものではない。容易くやってみせたウサの実力の高さがここからも伺える。


桜花の術式により動けずにいた秋明はウサの解術により動けるようになった。


動けるようになったことに驚きつつも秋明は自分の身体をあちこち動かし確認している。


よし、動ける。ならば追いかけるか。そう考えているのは明らかだった。


「さて、阿部様。動けるようになったでしょうが、今回はお留守番でございますよ。志貴様に足手まとい宣言をされた今、行くのは得策ではございません。」


明らかだったからこそ。ウサは秋明に声をかける。

此度は留守番だと。


「あぁぁん?!」


ただ、当然それが気に入らない秋明はウサにガンを飛ばす。


「貴方様に比べ坂崎様は戦闘能力が低くいらっしゃる。だから、心配してご自身だけで行こうとされたのでしょう?お優しいことで。」


睨み付けてくる秋明にウサは怯む事もなく穏やかに話しかける。


だが、その声色は秋明にしてみたら馬鹿にされているようにしか聞こえず。険しい顔をより一層険しくしている。


その様子に佳那子はビビリ、顔を青くしている。翼は無表情のまま、秋明を見つめている。表情からは何を考えているかは分からない。


「バカにしてんのか?!」


「いえいえ。その優しさは眩しい限りでございます。ーーーしかしながら。毎度、坂崎様を守る気なのでございますか?甘い事を抜かし続け、最終的に困るのは坂崎様です。戦えないというならば戦闘員を辞めるべきなのですよ。非戦闘員として、守られる空間にいれば良い。坂崎様は戦闘員となるとご自身で決め、戦闘員となったのですよ?」


ウサは落ち着いた声で続ける。


秋明のイラつきなどお構いなしだ。


「我々、闘魔隊の目的は人々の安全な生活を守ること。そのために我々を脅かす魔物を倒すのでございます。目標は人々が笑顔で過ごせる日々を継続させることにございます。そのために日々、切磋琢磨しているのでございますよ。」


穏やかであり落ち着いた声。だが、厳しくもあり、有無を言わせない。


闘魔隊に属する者とし、なぁなぁにしてはならぬとこだからこそ、ふざけた態度は一切表に出さず、ウサは静かに語る。


「出来ない出来ないと過小評価し何もせずにいるでは成長できません。過大評価もせず、過小評価もせず、等身大の自身を見なさい。自身ができる事をやっていく。自身に何ができるかを必死で考え、そしてそれを成す。貴方方がすべきことにございます。」


ウサは真っ直ぐに秋明を見つめていた。


秋明は顔を歪ませ、ウサを睨みつけているが、ウサの圧に逆らえず発言できずにいる。


そこにウサは言葉を重ねていく。


「貴方様は志貴様が出来たから自分もできると言った。それは正しく自分に何ができるかを思慮した上での判断だったでしょうか?無謀な行動は貴女様だけでなく、周りの方々まで危険に晒します。プライドが許さない?実にくだらない。はたして、貴方様や皆様方を危険にさらすようなくだらないプライドになんの意味がありましょうか?」


自分の言動を見直せ。そして間違いを正せ。自分を、そして周りを危険にさらさないために。


ウサは秋明に語る。


もしも秋明が1人で出来るということを押し切り飛び出していたならば、その尻拭いは他の戦闘員達がやっていただろう。


ここにいる戦闘員達は優しい。馬鹿を見捨てることはせず助けるだろう。


それは正しい判断とは言えない。

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