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197.お出かけしてます⑤

うちの子達(武器達)が勢揃いして、それぞれに私の手のうちにある銃に威嚇して、私にそれを捨てろと声をかけ続ける中。


私は銃を離さず、銃の手入れを始める。分解し,一つ一つ丁寧に綺麗にしていくと、元の形へと戻していく。


"離せ。さっさと捨てろ。そんなものに構うな。うちでそんな子は飼えません。ないないしなさい。"


武器達からいろんな言葉がひびきつづける。けど、拾った銃の手入れを続けた。ボロボロでかわいそうだもの。


〈……ご主人様。今日のご主人様は辛そうじゃない。僕、壊すものはない?〉


作業が終わった頃に声が響いた。これは銃から届いた声。可愛い少年の声。心優しい子だ。


こちらを気遣う様子がすごい伝わってくる。優しくて可愛い子だ。


「ないよ。何もない。大丈夫だから。今はゆっくり、おやすみ。」


私はゆったりと笑いかけながら銃に言う。すると、銃はおとなしくなった。ずっと私を手中に入れようとしてきてたけど、それが収まった。


私を主人と定めたというか、勘違いしたらしい。作り主を見間違えるとか、やはり半端者なんだろうねぇ。


幼児を見ている気分になる。


「にゅう!!」


チビがお叱りの声を上げる。当然か。私に危害を加える奴は、チビが好むはずがない。


私を操ろうとした奴が、私を持ち主として認識するなんて、チビにとってはふざけるなと言いたい事態だろう。


「んー。でもさ?この子は有心武器のなりそこないなわけだよ。上手く魂を持てず、作り手の強い意志に引っ張られちゃった…なんて言うか、発達障害?を、起こしちゃっただけ。なだめたら落ち着いたわけだし、さ?」


私はもう、決めている。


この()はもう、私の子なの。だから捨てない。手放さない。


決定事項を覆す気はない。


「にゅー…。」


諦めきれないと言うように、チビは私を見上げる。不満を全面に押し出し、今すぐに銃を捨てて欲しいと主張していた。


「壊すのが難しいから、封印するわけじゃん?封印はキツイじゃん?休息を与えれるなら、そうしたほうが良いって。」


変に強い感情がこもった、言わば呪具みたいなもんで。中々壊せないんだよね。


まぁ、それは有心武器も同じだけど。破壊するのって大変なのさ。


封印するか、誰かが持つかだったら、後者の方が安全だったりする。


「主人の安全が1番だよー?」


「主人第1〜!」


童子がメッと可愛く注意してくる。


もう!と怒りながらも、私が危険にさらされなければ、持つことを許してくれそう。なんだかんだで私に甘々だから。


「分かってる。無理はしないし、みんながいなきゃ出さないって。」


童子が無茶しないように釘を刺してきたけど、無理はしないから大丈夫。


乗っ取られて身体を好き勝手されるなんて嫌だし。


にぃーっと笑いながら童子を撫でれば、童子は仕方ないなぁと呆れたような顔をする。けど、撫でられるのはまんざらでもないらしい。手に擦り付いてきた。


可愛い。うちの童子、可愛い。


「約束だからな?」


双帝も双帝で、反対することなく、私の顔を覗き込んで、無理はダメだと念を押してくる。


双帝は双銃だ。2個の対になる銃。


擬人化してみると、スーツ姿の成人男性2人になる。野性味あふれたイケメンと、物腰柔らかなイケメン。


うちの子たち、見目麗しいの。どや!


「にゅっ!」


私を止めろよとチビは童子や双帝に鳴き声をあげていた。やっぱり諦めきれていないらしい。


「主人は言っても聞きませんよ。すでに彼を自分の子として受け入れている。ならば、我々にできることは制限を設ける事です。」


騒ぐチビに双帝は肩をすくませる。あらあら、双帝ったら、分かってるぅ!


チビさんは諦めが悪いんだから。


「…………にゅぅ。」


「みんな、わかってるぅー!………んじゃ、君はゆっくり、おやすみ。」


新たに私の子となった銃を私は術式内にしまい込む。


チビは気に入らないとジトーと見ているけど、口に出して反対しないから良き良き。


私の手に余る子ならば、何が何でも私から奪おうとするはずだからね。


チビに喚び出された子達も嫌そうに見ていたけど同様だ。文句が出るより先に、行動に出る子達だからね。


何もしない、何も言わないは嫌々ながらもok出したってことだ。


「桜花ちゃん!!桜花ちゃん!!どこにいる?!返事をしなさい!!」


武器達が納得したところで、ヤバいくらいに響く声が聞こえてきた。錯乱状態ってわかる声。


やっばいなぁ。余裕がない声は聞き覚えがある。明らかに私の名前呼んでるし知らない声のはずがない。無関係っていって他人のフリとかできないなぁ。


それしたら後から恨まれそうだし。絶対犬は執念深い。10年経ってもネチネチ覚えているタイプだ。


「ちょちょっ?!ウサ先生、落ち着いてって!!志貴さんが簡単にやられるタマじゃないでしょ??落ち着いてくれなきゃ、ウサ先生が怪我するから!!」


止めようとする声もまた、慌てやら困りやら、戸惑いやらの感情がありありと込められている。


珍しいなぁ。いつも悠然と構えて、人を馬鹿にしているようなキャラなのに。


あんなに声を張り上げたり出来るんだ。


「俺は良い!わんこ先生だって、俺が気に入らんのでしょう!!なら、ほっといてくださって大丈夫です!!」


うっわ。


普段ならば絶対に言わないはじめちゃんの本音キタァアアアアアアア。レアだけど、遭遇したくない系のレアだ。


はじめちゃんも嫌われてるって感じてたんだ。まぁはじめちゃんに当たりが強いからね。ただ、純粋に嫌いなだけではない気もするけど。そんな事はどうでも良いよね。


「………あーもー!そうだよ?僕は君が嫌いだよ?頭硬すぎて嫌になってるよ!?けど、だからって、んな取り乱した君を放っておくわけにはいかないって分かるよね??分からないならやばいというか??とにかく、止まってくれる?何かがいたらどうするの??今、うまく術式が使えないってわかってる??」


あ、キレた。わんこがキレた。こっちもこっちで珍しい。普段は感情を露わにしないのに。


はじめちゃんの言う通り、わんこがあからさまにはじめちゃんに対して毒が強いのは事実。


好いてはいないはず。


はじめちゃんな純粋に嫌いなら、わんこははじめちゃんが勝手に暴走したとかで見捨てれば良い。


今の状況なら聞く耳持たずに動くはじめちゃんを構い続ければ、自分だって危険な目に遭う可能性があるわけで。見捨てなきゃ行けない場面にだってなりうる。


そうならないために、はじめちゃんに落ち着くように怒るあたりが何を考えているのやら。


笑顔で見捨てればーーいや、見捨てるような人を教員に選ぶような師匠達じゃないか。


本気ではじめちゃんを心配するあたり、心底嫌いってはわけじゃなさそう。単なるツンデレなのかな。どうでもいいけど。


「何とかするから大丈夫です!嫌いな奴に時間さかず、わんこ先生は他の人達呼んで来てください!」


うわぁー…これは全然ダメなやつだ。


はじめちゃん、何も考えずに物言ってるよ。あとから後悔するやつだよ。謝るかどうかは置いといて。


普段から溜まってる鬱憤が爆発しちまってる。やべぇな。


「大丈夫じゃないよね??命を無駄にしようとするとかやめてくれるかな??」


「無駄にしたりしませんよ!しかし、また!!!目の前で!!!!桜花ちゃん!!」


はじめちゃんの比ではないけど、あのわんこが声を荒げている。けど、意味がないね。まったく、意味がないね。わんことはじめちゃんの会話は平行線。ほっとけと落ち着け止まれの言い合いにしかなってない。


とりあえず。


チビ以外の武器たちををしまって、声のする方へ歩いていく。姿を見せて安心させなきゃ。声があれだけしっかり聞こえてきてたからね。すぐに2人の姿はみえてくる。


「2人ともうるさいよ?」


「桜花ちゃん!!!無事か?怪我はないか?いや、念のために身体を調べっ!!わんこ先生!!わんこ先生、桜花ちゃんを診て下さい!」


私の姿を見て、はじめちゃんは肩をガシッと掴むと頭から足まで何度もジロジロ見たかと思ったら、後ろを振り返り、わんこを呼ぶ。


呼ばれたわんこは半笑いだ。さっきまでどっか行けとかほっとけとか怒鳴ってたのに、変わり身が早いなぁ。


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