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175.みんなで戦ります

なるほど。


ボクらが飛ばされた事に対して、チビくん自身も思うところがあるらしい。チラチラ、みんなの様子を伺いつつ歩いている。


ボクらが変なものに下手に触らないように見張っているようだ。


「実際、触ってしまった前科があるからな。あぁして注意してくれるのはありがたいか。」


おそらくはボクが知らないものもあるだろう。教えてもらえるならばありがたい。


「もう触らないでよ?」


じとーっとボクを睨むゆずるん。また飛ばされたら溜まったもんじゃないと目が語りかけてくる。


ボクとて、飛ばされたりはしたくないさ。


「あぁ、分かっている。」


さすがに2度は繰り返さない。気になるものがあっても触って大丈夫かは確認する。


あの時、なんであぁも気を抜いていたかが分からない。


「チビ、注意するだけじゃなくて、それが何かを聞きなよ。もし、間違ってたら、尻尾でパーン。」


「いや、それ死ぬから!」


しっきーの恐ろしい提案に、即座にガミガミがツッコミをいれる。


先々に見たチビくんの戦闘力からして、ボクらは簡単に死ぬだろう。パーンの威力が強すぎるだろう。しっきーはチビ君に、なんて提案をするんだ。


朗らかに提案するから、なんて事もない事を言ったのかと、耳を疑ってしまった。


チビ君はしっきー第一だから、しっきーの言葉があれば確実にやってくるだろう。危険すぎる。


「避ければよし。」


ガミガミのツッコミに対し、しっきーは言い切った。いや、それが容易に出来るのはしっきーだけだと思うんだが。


ボクらはできないから簡単に死ぬんだぞ?自慢では無いが、死ぬぞ?


「え…。」


「つか、チビはこれが何かとか知ってんのかよ。これは食人植物で、触ると喰われる。あってんか?」


あべべはチビ君の知識を確かめるためか、火炎草を指差しながら、チビ君に聞いた。


あれは衝撃を与えると火が出る草だ。食人植物ではない。あべべは分かっていて試しているのだろう。


「ケッ。」


チビ君はマスコットキャラとしてあるまじき顔をしていた。いや、チビ君はマスコットキャラではないんだがな。


唾を吐き出しそうな表情はあまりにも人間じみている。あべべからの試すための問いかけはよほど、気に入らなかったようだ。


正解か否かの回答はしないが態度で示してはいる。


「衝撃を与えると火が噴き出る草だよ〜。チビが火おこしにたまに使ってるね?」


「にゅー。」


あべべの問いかけに代わりにしっきーが返事をする。返事しながらチビ君をしっきーが撫でれば、チビ君の機嫌は即座に変動する。扱いやすい。


しかし、なぜ、チビ君が火おこしに使うんだ。


いや、チビ君が火を起こして鍋を見ている姿は見たことがある。あるが。君は武器だろう。武器がなぜ、火を起こすんだ。


「私と同等レベルに知識を持っとる可愛い可愛い私の武器だよ〜。私が知ってることは全部分かるよ。」


一連の流れを静観していたしっきーは、凄いでしょ〜と我が子を自慢する親バカかのような様子で話し出す。


チビ君は自慢したくなるくらいに優秀だ。しかし、頭が良すぎるだろう。しっきーの知識量はボクらの中じゃトップレベルだ。


……チビ君はボクらより賢いということか。


「へぇ。じゃあ、違ったら尻尾で頼む。」


にぃっと勝気な笑みを浮かべて、カイさんはチビ君に殴られる事を強請った。


なんて事だ。カイさんは意外と、人に殴られるのが好きなのか!?実はそういう趣味か??被虐趣味があったのか?!


「にゅぅー?」


「避けても良いんだろ?」


「にゅぁん?」


殴って良いのかと聞いたであろうチビくんに、挑発的な笑みを浮かべるカイさん。


なるほどな。避ける訓練のための発言か。びっくりさせられる。


下手に殴られたいのかなどと聞かなくてよかった。


「そだねー。間違ってたら攻撃。防御あり。攻撃は一回ぽっきり。」


チビ君は避けさせてはくれなさそうだが。避けて良いと聞いたカイさんに、チビ君は気に入らないと顔を歪めているが、カイさんは自信満々だな。


避けると宣言し、チビ君を煽るとは。


「私も!よろしくお願いします!」


はいっ!と元気よく手を挙げ、自分もともりりんがチビ君を見つめる。


て、もりりん?君は救護班だろ?チビ君からの攻撃だなんて、危ないと思うんだが。怪我じゃ済まないぞ?


「チビ、カナちゃんにはちゃんと手加減ね。」


「……にゅ。」


さすがにしっきーもチビ君に声をかけるが、チビ君はチラッともりりんを見て尻尾を揺らしている。大丈夫だろうか?


「大丈夫です!」


ふんっ!と気合いを入れて、断言するが。胸あたりで両手を握り気合いを入れる動作は可愛らしいんだが。可愛い妹的な存在にしか見えないんだ。


チビくんからの攻撃など、大丈夫なわけがない。


「いやいや!大丈夫じゃないわ!カイさんとチビの手合わせ見た事ある?尋常じゃないわ!」


ツッコミ担当からも、即座にツッコミが入る。当たり前だ。


「それに対処できるように、頑張ります!」


ガッツポーズをし、意思表示をする彼女は妹キャラというイメージ。可愛らしい。ほっこりしてしまうが、大丈夫だろうか?


「チビ。私も手加減、なしで。」


「俺も!」


もりりんの意思表示に続き、ざっきーやあべべまでチビ君に手加減なしを強請っている。


皆、なぜそんな危険なおねだりをするんだ。殴られたいのか?


「………間違えないように気をつける。志貴さん、怪我しない範囲でお願い。」


「で、ござるな。」


あ。良かった。


ガミガミやさっくんはボク同様に殴られる事を嫌がっている。本気で殴られる方向で話を全員が進めていったらどうしようかと思った。


「おけおけ。チビが怪我させようとしたら、強制的にしまい込んで1ヶ月出さない。これで良き。んじゃ。頑張ってね?」


にぃ〜と笑うしっきーに邪気はない。ないからこそ、少しだけ怖く感じるのはなぜなのだろうか。


何より、チビ君をしまうこともできるのか。チビ君の全身がビシッと反応して、氷のように凍って…いやいやとしっきーに泣きついている………可能だということか。


しっきーは聞き入れる気はないらしい。チビ君の哀れな声が響いていた。











◇◇◇


「つ、疲れた…!」


「とりあえず、ここで休憩、だ。もう時期、目的地につく。」


目的地まであと少しというとこまで来た。


あれから、チビ君はしっきーに言われた通り、あれは何だこれは何だと聞いてきた。それは草木だけではなく、魔物についても問いかけてきた。


誰が聞かれるかはランダム。


ボクは一回、腕をバシッといかれた。間違えてしまった。


今はもう大丈夫であるし、傷もないが。しかし、痛かった。涙が出そうな勢いでやられた。手加減してくれているのは分かるが、痛い位置をピンポイントで狙いに来ている節がある。あべべやカイさんに対しては顔面狙いであるが。


恐ろしい武器だ。


「とりあえず、アツミノハナを採取する。その後、コグマを討伐する。その流れで良いか?」


「…………今、コグマが近くにいるから、先にコグマから行こっかー。」


みんなに流れを確認すると、しっきーだけがうなずかなかった。いや、それ以上に驚きの事実を告げられた。


気配、するか?当たり前のように把握しているが、何で察知しているんだろうか。


「何?」


「アツミノハナの群生地がここじゃん?近くにコグマが5体いるよ⭐︎2体は私がやるよー。他は……ツバサも射るよね?」


ボクが確認のために出していた地図を指差しながら、軽いノリでしっきーは言う。


5体もいる。


その事実は頭がクラクラしてしまいそうなんだが。怖くてたまらないんだが。


「ん。」


「はい!僕もやります!」


「おけー。みんなでやってみよー。」


ノリが軽いな。急所を一打ちすれば良いにしても、緊張感があまりない。ざっきーやムラムラが撃ち損じれば、ボクらが危険になるというのに。


ざっきーは緊張もあるのか、指が白くなるくらい、手を握りしめている。大丈夫だろうか。


「にゅーにゅぅにゅー?」


「チビ、ズタボロにするの好むじゃんか。」


「……にゅぅー。にゅにゅ、にゅうにゅ?」


「だぁめ。魔石も回収するから。攻撃はなしで防御。」


「にゅん。………にゅぅ〜。」


今回は、自分は戦えない。そう言われたチビ君はやや不服そうにしていたが、しっきーに撫でられ、すぐに機嫌を直す。


最悪はチビ君がコグマ達を始末するか。


「さ、そろそろ行くか。」


行かずして得られるものはない。自分1人では敵わない敵がいる。ボクらを見れば無条件で襲いくる魔物。自ら近づきたいと思うような奴ではない。


しかし、ボクらは戦闘員。怖いが行かねばならないんだ。

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