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173.罰ゲームを決めます 

まりりん、"また"ということはハチの巣を踏んだのか。で、みんなで走って退避したのか。それは恐ろしい。


ボクならば、怪我だらけ…いや、死ぬな。


「僕らは逃げ切れないですねー。」


「置いてかれるの前提…?」


あははーと笑うムラムラと、顔を青くし眉をひそめるガミガミ。


ムラムラはなぜ、この話の流れで笑えるんだ。いや、しっきーが冗談で言っていて本気でやるわけないとは、ボクだって分かる。しかし、笑いどこではないだろう。


「ハチから逃げる体力は2人はないかなぁ。ユキやゆずるんも…足遅そうだね?」


「あぁ!体育は3だった!」


真面目に授業を受け、筆記の点数を稼ぐからこその3だ。実技は散々である。


先ほどチビ君が話していたハチが、ボクらが進むべく先にいるならば、ボクは逃げきれない自信がある。


確実に逃げられないからこそ、この場でしっきー達を待っていたわけだしな!


「僕は2です!」


ボクに続き、ムラムラもまた、どぉーんと胸を張って成績を披露する。小学生が何かを自慢するときのような様子で可愛らしく、見ている方は微笑ましく感じてしまう。


しかし。ムラムラ、胸を張るとこではないぞ?予想通りではあるが。胸を張れる成績ではない。


やはり、この面々でハチの巣の上を通るのは無理だな。


「ハハハッ予想通りで何より〜。となると、昼ごはん食べるかなぁ。ちょうど温まってるようだし。」


その結論は無理があると思うんだが、しっきー??いや、君にそんな事を言っても、なんて事なく笑っているだけだろうがな。


君はボクがブレーキをかけて、慎重に進むか、あるいは迂回するような有事に対して、笑いながらアクセルを踏切り、進んでいくタイプだ。


いや、ボクらを巻き込む事はない。


しかし、1人で勝手に危険に突っ込んでいきそうでハラハラする。


「食べてる場合なの?!」


案の定、まりりんからツッコミが入る。しっきーの軽いノリで浮かべられた笑みに、納得できるはずがない。


ちゃんとなにをする気か、何を考えているかを明らかにしておかねば危険だ。


「ここは安全だから大丈夫。安全地帯をさっきのハチ達みたいな危険地帯で囲った場所になってるねー。変態野郎達は性格が悪いねー。」


やになっちゃうと言いながら、しっきーは座った。


さっき、チビ君がボクらがここに飛ばされたのはウサ君達が仕込んだ事だろうと言っていた。


しっきーもまた、同じ見解らしい。


「桜花ちゃんたちがばら撒いてたアレは何だったんだぃ?」


しっきーの横に座りつつ、カイさんはしっきーの顔を覗き込み、問いかけた。


ばら撒いた?何かを撒いてきたのか。


「撒き餌かなー。」


ん?


ハチへの毒を撒いたということか?


ならば。今は待ち時間か。そうならそうと言って欲しいんだが。そういうことでいいのか?


「えっ?あ、知らなかったんですね。すみません…。虫系の魔物を引き寄せるものです。毒も練り込んでありますから食べたら死にます。死んだ魔物は身体から毒ガスを撒き散らすようになり、さらに他の魔物を次々と死に至らしめます。今、近づいたら私たちも危ないです。」


皆の後ろで静かに話の流れを見守っていたもりりんが話出す。なぜ、もめているかを彼女は分かっていなかったらしい。


これで状況が少し分かった。


しっきーたちはここに来るまでにハチ達に対する毒をまいてきたらしい。それも生きているハチ達の巣を突っ切ってきながら、まいてきたのだろう。危険だと身を持って理解したからこそ、帰りをどうするか、まりりんやあべべは心配したのだろう。


毒の存在は知らされていなかったらしい。知っているだろうと説明を省いたのかもしれないな。


「ちいとばかり待ってから行けばハチが転がる地帯の出来上がりぃ。持続はないから少し待てばよろし!毒を出す習性使って人間同士の殺しも起きてたんだから。気ぃつけなよ?」


ハチに毒をもると、簡単に死ぬ。ハチに毒を盛ることも難しくはなく、容易い。しかし、なにも問題がないわけではない。ハチは毒で死ぬと、死ぬ瞬間に強い毒ガスを発生させるのだ。それは時間と共にマシになるから永劫的に有効なわけではないが、強い毒には違いなく危険である。


後から仲間が来ると分かった上でハチに毒を盛り、仲間を毒ガスで死なせた、仲間からお宝を奪う。そんな事件が過去にあったと聞いた事がある。


ハチの毒ガスは自然発生する事すらあるから、おそろしい。戦闘員ならハチの毒ガスは察知して回避すべし。そうも言われている。


知らなかったんですぅで死ぬなんてたまったもんじゃないだろう。


「毒ガス系はチビが感知するの。」


チビ君を撫でながら、しっきーはふと、あべべに話し出した。明らかにあべべを見ている。


何が言いたいのかと、あべべは怪訝そうな顔でしっきーを見つめている。


人の悪そうな笑みを浮かべているしっきー。確実にロクな事を言わないだろう。そんな気がする。


「で?」


「私には効かないからやっても意味ないからね?毒は危ないから触っちゃダメよ?お金に困ってもダメよ?」


「やらねーよ!クズにはなりさがらねぇ!」


ブラックジョークが過ぎる。やるわけがないだろうに。


「だろうねぇ。さすがは阿部っち。さ、ご飯ごはーん。」


分かってましたと言わんばかりに笑いながら、しっきーはご飯を食べ始める。


あべべはそれを気に入らないと言う顔をしながら、見つめていたが、何を言っても無駄と思ったのか、しっきーの横にどかっと腰を下ろす。


「チィッ!つか、毒の話、前もって説明しろや。」


毒づき、吐き捨てるように言うと、あべべは乱暴な動作で食事を始める。チンピラのような見た目に、手のつけられぬ獣のような目。乱暴な動作は彼の見た目を悪い方へと印象を強めるアクセサリーのような役割を果たす。


見慣れれば、あべべに他意がないのが分かるんだがな。だとはいえ、未だに迫力溢れる眼光で見られれば、ボクは一瞬固まってしまうぞ。


そんなあべべの様子をしっきーはあまり気にする様子もなく、あべべ同様に食事を食べ進めている。彼女の心臓はさぞ、丈夫な事だろう。


しっきーやあべべが食べ始めたことで、皆もそれぞれが座り、昼食を食べ始めた。うん、美味い。


「テヘペロ〜。どっちみち、みんな単体では戻ろうとしないだろうから大丈夫って思ったん〜。つか知らないなんて思わなーい!」


悪びれた様子はしっきーにはない。勝手な行動をしない限りは大丈夫だろう。しかし、説明なしは危険だ。知らない可能性があるからな。


必須知識とはいえ、知っているかは確認すべきだったとは思うのだが。


「どちらにしろ、桜花ちゃんのタイミングでしか行かないから、問題はねぇだろ。」


「とはいえ、ホウレンソウは必要よ?」


「ごめんごめん。さっきのハチのこと、阿部、マリ、お兄さんは知らなかったんだねぇ。知ってないと痛い目見るよー?」


次からは気をつけるけど、知識はつけてねーとしっきーは笑う。


確かに知らなきゃ、危ない知識であるからな。一度、どういうものであるか、確認しとかねばならんな。


「ハチは巣の周りの決まった範囲でしか活動しません。巣の周りにあった木の実は穴だらけでした。ハチの活動範囲だと判断できます。」


もりりんが、食べながら説明を始める。これはみんなでハチについての確認になるか。ありがたい。


「確か…葉っぱをすりつぶしたものを蜜に混ぜたものでおびき寄せれるんだよね?」


「適当な木に塗ったり、木の実に塗ってまくと、ハチたちをおびき寄せるんでござるよ。葉っぱはハチからすると猛毒であるにも関わらず、蜜に混ぜるとハチはおびき寄せられるから不思議でござる。」


実際、作った事も見た事もござらんが。と、さっくんは言う。


確かにボクもない。………葉を積んでおいて、後から作るか。


チラッとゆずるんを見れば、コクリとゆずるんが頷いた。


後から作る練習を共にするということだな。1人でやるより安心だ。もりりんあたりを巻き込んでやるか。


「ま、人にとっての麻薬的なもんよな。ハチにしか効かないけど。」


「恐ろしい事にあのハチはこれで毒殺すると毒ガスを放ちます。1時間くらいで毒ガスは消えますが、敵も味方も死に至らしめます。」


キリッと真剣な顔でもりりんは言う。毒ガス。1時間で消える。それを彼女は強調する。

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