表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

160/314

159.ユキの想いがあります

ユキの目線に変わります

◇◇◇ユキ◇◇◇


コグマという魔物は中々に役に立つ。全身使える上に急所を一撃で倒せるから倒しやすいとされている。


だが、素早い上に賢く、力が強い。その上、怪我をさせると悪臭を放つ。怪我をすればするほど臭いはひどくなる。その匂いが中々取れないという。悪臭が酷すぎれば倒したのちに身体を使いたくても使えなくなる。


怪我をさせての討伐では肉や皮は臭くてたまらないため使えず、骨やら牙やらもボロッボロのカスカスとなるため使えたものじゃない。


傷つければ傷つけるほど使えたもんじゃなくなるっていうのは魔物側からの嫌がらせでしかない。魔石は辛うじて使えるくらいだ。それでもやはり傷つけない方が質の良い魔石がとれる。


ということは、だ。


討伐しても、倒した魔物自体が臭くなったらせっかくの素材がダメになってしまうため、一撃必殺が基本だ。ま、ボクには到底出来ないがな。


怪我をさせないように注意して囲いつつ、スナイパーが撃つのも可。コグマに負けないくらい素早くコグマに近づいて頭をぶち抜くのも可。攻撃の隙を与えずに急所を一撃すれば良い。


方法はいくらでもあるわけだが、ボクは武器を作れても扱う才能がからきしだ。的に当てるなんて難しくてできない。


コグマのランクはE。弱くはない。一般人なら敵わないくらいに実力はある。これはコグマ単体での話。


コグマは名前の通り小さい熊のような姿をしている。大体中型犬くらいの大きさしかなく、ソイツらは少なくとも5〜6匹でグループを作って行動するらしい。


熊なら単独で動くべきだろう。グループワークをするような動物でもなかろうに。だが、クマっていう名は付いてもいてもコグマは魔物なわけだ。数匹いるのが当たり前な奴なんだ。


見かけた瞬間、向こうに攻撃の隙を与えず、いる個体全てを撃ち倒すって言う早撃ちが出来るというならどうにでもなる。そんな優れた能力があれば1人で出会っても平気なのだろう。


コグマが手に入れたいなら、姿を隠してひたすら待って、姿を現したところを撃つってのもありではある。3発しか撃てないムラムラには厳しいだろうが。


少なくとも、ボクらが欲しいと言ったのに対し、気軽に取ってくるよ〜と言えるような魔物ではない。1人で取りに行ってくるとは言えないはずだ。下級の戦闘員にとっては、だが。


「……桜花。弓、練習がしたい。」


ススッとしっきーに近付きつつ、ざっきーは上目遣いをしつつ、おねだりをしている。


ざっきーはしっきーに心を開いた様子で、何かがあればしっきーを頼っている。


今回もまた、実践で弓の練習をしたいということだろう。罠にかけられ、ウサくんたちが準備した建物で過ごした時間の中で思うところがあったということか。


ざっきーのそのような頼みを聞けるのはしっきーくらいだろう。コグマ相手に武器の練習をするには何かがあった時対応できる実力者が必要となる。


しっきー以外はコグマ相手に余裕などないはずだ。討伐すらしたことがない相手だ。練習などする余裕もなく、討伐を全員ですることだけに集中せねば怪我をしかねない。


素材の採取など二の次でひたすら倒すことのみ、生き延びることのみに集中する他ない。


「じゃあ、薬草とりつつコグマを待って…来たらうってみようかー。」


「ん。」


しっきーはなんて事もなくざっきーに笑いかけるが、これは普通ではないんだと、しっきーは自覚していないと言うのだから面白い。


同世代の中でも、ここに集められたもの達はしっきー以外は戦闘経験が少ない。ゆえに同世代の戦闘員の中でも弱い部類に含まれているだろう。


対してしっきーは同世代の中でも、おそらくは強者。何だったら、ボクらを引率できるほどの実力がある。教わる側ではなく、ウサくん達側に立つだけの実力があるはずだ。


ボクらは実力不足だからゆえに、ワクワク学園という場を準備されているんだろう。対して、しっきーはなぜここにいるのか。


気になるとこだ。


「ユキやゆずるんは何体欲しいの〜?」


しっきーは自分の実力をひけらかす事なく、ボクらに普通に接してくれている。凄い事だ。


驕っていたって何らおかしくないほどに優れているっていうのに。


「出来るだけ多くあるとありがたいな。」


「持って帰るにしても1〜2体しか無理でしょう?」


ボクやゆずるんがいえば、しっきーは自身の護獣に無言で視線を向けていた。


「じゃあ2匹は身ごとで、他は魔石のみの回収といたしましょ。」


ゆずるんの言ったことに対して思うところがあるんだろうが、しっきーは何かを言うでもなく、ボクらの言葉に合わせて来た。


術式に優れていたり、マジックアイテムを持っていれば、大きな魔物も持ち帰れる。基本、戦闘員はどちらかの方法で魔物達を持ち帰ってくる。


しっきーも同じはず。


しっきーは術式が使え、数多くのものを保持している。また、マジックアイテムがある。コグマをいくつも持って帰るすべがあるんだな。


あるいは護獣に乗せるつもりか。護獣に乗せたまま移動では魔物の素材が傷むと思うが、いや、本気で護獣に乗せたりはないだろうが少しは護獣に乗せることも考えたかもしれない。


しっきーの護獣が気に入らないというように声を上げているのが見えた。しっきーは護獣の抗議を気にするでもなく、ボクに何かを差し出して来た。


「ユキさんや、これをあげよう。」


なんて事もなく、しっきーが渡してきたため、ボクはついつい無防備に受け取ってしまった。


ゆるーいノリで渡されたりしたら、誰だってついつい受け取ってしまうだろう?いやはや、仕方ないことだ。


だが。


受け取った後にそれが何なのかを確かめ…確かめた後になってから目を見開いてしまう。後悔先に立たず。後悔後を立たず。いやはや……いくらボクでも固まってしまう。


ゆずるんに視線を送れば、ゆずるんは即座にそばに寄ってきて、手元を覗いてきた。


「………………………ありがたく借りておく。」


マジックアイテムは魔物を倒せばドロップするものもあるため、一概に金がなければ手に入らないとは言わない。


とはいえ、ドロップする魔物は強い。実力がなければ手に入れることはできない。


優れた戦闘員か、しっかり金を持っているか。いずれかでなければ手に入らないため、戦闘員でしっかりアイテムを持っているのは金持ちのボンボンか実力派のベテランかということになる。


しっきーの家は金持ちなんだろうか。いや、しっきーは実力がある。現場経験が少ないボクでも分かるからな。しっきーは将来、ボクらの上に立つ存在になるはずだ。


「あり?ユキって遠慮なしに貰う系かと思ってた。」


「いや、欲しくはあるんだが、これは流石にな。」


ついつい苦笑が浮かんでしまう。欲しくはある。物は良いし、これはドロップしたものではなく、製作されたものだろう。


ならば尚更、よくよく見てみたい。なんなら、解体してみたい。


だが、一つ当たりの値段も知っているがゆえに、思い切った行動はできない。さすがに出来るわけがない。


「アンタね。マジックアイテムたくさん持っているからって気軽に渡すもんじゃないわ。一つ一つ高価なのよ?」


しっきーに呆れたようにゆずるんが言うが、しっきーは笑っているのみだった。


しっきーはボクやゆずるんに何かを言われても、改善はする気がないらしい。


「へぇ?いくらくらいするんだぃ?」


皆、興味があるようでボクの手中にあるカバンに視線を向けていた。


「容量によるが…」


「それはそんなにじゃないよー。中だからね。」


小、中、大、特大、スペシャルに分けられる。1番優れた性能のものがスペシャルだ。


確かにマジックバックの中では大したことないかもしれない。しかし、マジックバック自体が優れた物なんだ。


「小だって、数万するって分かっているのかしら?」


半眼になってゆずるんはしっきーを見た。呆れているな、あれは。


中であれば物が多少悪くても十万とかするぞ。粗悪品でもそんなものなんだ。


「これは質がいいから数十万はくだらないだろう。」


ボクはマジマジと渡されたマジックアイテムを眺めながらいった。


しっきーは質の悪いものは使わない。というより、質の良いものしか持っていないのではないだろうか。


「数十万?!」


「高価ですね!」


「こんな肩掛けがかよ?」


ボクの言葉に皆がざわつく。


しっきーが持つマジックアイテムは基本、高額だ。なんなら、前にざっきーが受け取っていた武器だって簡単に貰えるくらいの値段ではない。目が飛び出るくらいに高いはずなんだぞ?


今回の遠足中にしっきーは高級な物を何個もボクらのために使っている。その総額を考えると中々恐ろしいぞ?


しっきーが持つものは全てが質がいいからな。ボクやゆずるんが作ったものと、比べるのもおこがましいくらいに質がいい。


ボクの従兄弟の1年分の給料くらいの金額は軽くいく。今手渡されたカバンだけでも二ヶ月、三ヶ月分の給料が飛ぶからな。


ボクでは買うことも難しい。ドロップするものを手にすることはもっと難しい。ボクはそんな強い魔物なんて倒せないからな。

ゆきのみんなに対する呼び名はあだ名です

ユキの独断で付けられます




志貴桜花 ーシキ オウカー

しっきー


喜藤魁斗 ーキトウ カイトー

カイさん


村山樹里 ームラヤマ シュリー

ムラムラ


稲盛佳那子 ーイナモリ カナコー

もりりん


阿部秋明 ーアベ シュウメイー

あべべ


御崎真里 ーミサキ マリー

まりりん


谷上悠真 ータニガミ ユウマー

ガミガミ


桜井司 ーサクライ ツカサー

さっくん


佐々木結弦 ーササキ ユズルー

ゆずるん


坂崎翼 ーサカザキ ツバサー

ざっきー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ