141.ハロウィンですね④
「ま、そんじょそこらの魔忌具ではチビ達には敵わんよね。うちの子、可愛い!」
話は終了!
若干、うちのチビさんも私をじとーっと見ているからね。雲行きあやしいのはさっさと終わらせないと!
「にゅっ!」
チビを撫でればチビはご機嫌に鳴く。この子は単純だから助かる。
なんだかんだで私の希望を通してくれるしね。
「あぁ、そういえば。前にマリに見せたナイフが魔忌具だよ。あれはぁ〜…闘魔隊を恨んだ奴が作ったから、操られれば闘魔隊の人間を無差別に襲うらしい。」
みんなには前、見せたことがあるんだよね。触らせる気はなかったけど、こんなのもあるよぉと。
魔忌具を見つけた際に無闇に触らないように何となくな雰囲気を知っといた方がいいかなぁと思って見せようとしたんだった。変態野郎に怒られたけど。
「こわっ。」
谷上君や、君の今の姿のが怖いぜ?ゾンビだもん。死体なんだもん。顔色最悪でゾッとくるメイクがされているんだぜ?
「チビがナイフに威嚇してたのはそういう理由があったんだな。」
「嫌な雰囲気のナイフでしたね。背筋がぞわりとしました!」
ヤンキーコンビの仲の良い姿は絵になる。
写真撮りたくなるね。
「術式の中に入れておいて危険はないの?術式内でも、そういうのって効果はあるっていうよね?だから術式内に入れるのは禁忌だって聞いたことある。」
心配そうに谷上は私に視線を向けてくる。
優しいんだけど、今の顔色悪いメイクがあると何だか不気味。ちょい不気味。
「そだねぇ。術式内に入れておくと操られた際に他者から武器への干渉は出来なくなる。取り出せるのは当人だけだから。当人を殺せば武器は永遠に出てこれなくなる。ある意味、封印だねぇ。」
「危険じゃない!!」
マリさん、目をカッと開いて怒鳴らないでおくれ?
今まで大丈夫だったんだから、リスクはあるけど大丈夫だって。今更な話なんだから。
「しっきーはあれを入れ物に入れていただろう?あれは魔忌具を封じるために作られた入れ物だ。人が扱えない魔忌具はどこかに封じ込めるんが、扱える者のいる魔忌具は専用の入れ物を作るんだ。それに入れておくことで簡易的な封印状態と出来る。」
「じゃあ、危険はないってことか。」
取り上げようとかはせず、静かに話の流れを見ていたお兄さん。ホッと息を吐いている。
お兄さんにも心配させちゃったようだね。
「リスクはどちらにもあるがな。だが、何かがあれば蝕まれる前にチビが察知するのだろう。」
腕を組み難しい顔をするユキ。
安易に没収できないと知っているようだね?術式の中だし奪うこともできないけどね。
「でも、寝てる間の隙がある時、あるいは心が弱ったときにつけいられるリスクがあるわ。」
私が持っていることについては置いておいて、術式に入れておくのはどうかと苦言を言いたいのかな?ゆずるんもゆずるんで眼光は鋭いけど、私を心配しての言葉なのだろうねぇ。優しいおかんだ。
「変態が言ったようにチビや童子の根底にあるのは私を守りたいって思いだからね。チビが出てればチビは童子を喚べるんだよね。蝕もうとすれば即座にチビたちが対処する。下手にどっかにしまっといて誰かに触られるよりはリスクが少ない。だから、私が扱える魔忌具は基本、私の術式の中なんだよ。」
みんなが心配なのはわかるけど、1番リスクが低いのが術式の中なのだよ。
私は平気だけど、他の子が万が一にも触れちゃったら危ないからね。
私が操られさえしなければ術式の中で良い。外に出しとくと不特定多数の人が触れれる。みんなのが操られる可能性は高いからね。危ない危ない。
「……………魔忌具を術式に持てます方は空様によって認定を受けております。可能な方々が持ち、安全を確保しているのでございます。さ、それはそれとしまして!皆様、授業をはじめますよ。もう半分以上の時が経っておるますゆえ、飛ばして参りますよ!」
変態野郎は無理くり話を終わらせ、授業の準場を始めた。たっぷり開いた間には不満が詰まっていそう。私が持つことにはじめちゃんは最後まで異議を唱えていたから。子供にやらすことじゃないとか何だとか。師匠が許可出したと知って渋々黙ったけど。
にしても、みんなにつけられたハロウィンシールやらマントやらはそのままにして授業をするらしい。そのままの格好で教壇に立った。
みんなも素直に席に座り始め、本日の授業が開始された。
◇◇◇ウサside◇◇◇
ウサギの仮面、燕尾服といったチグハグな姿を常日頃からしているウサであるが、今日はそこにハロウィンを思わすシールやら何やらがつけられ、100均などで売っていそうなドラキュラのマントのような物を肩につけていた。
子ども達からつけられたそれらをつけたままにしていた。
その上からエプロンなんてものをつけているのだから、不審者以外の何者にも見えなかった。
「ぃッ!!」
周りに子供達がいないためか。普段のウサならば見せぬ言動であった。痛みがあるのだと示すうめき声をウサは作業中につい上げてしまう。
とはいえ。
小さな小さな声だった。普通ならば気づかないくらいに小さな声。
「あん?どうしたんだっぺ?どっか痛ぇのか?…ちょ見せて見ろ。腕捻ったのか。」
近くで共に作業をしていたにゃんこ先生が即座に反応し、近寄ってくる。鈍感そうでありつつも、怪我には敏感であった。
にゃんこ先生はスーツ姿ではあるものの、仮面は息苦しさもあるため、取り外していた。
心配そうにウサを見上げつつ、ウサが痛めたであろう腕を掴んでいた。
「にゃんこ先生、大丈夫ですから。」
ウサは自分の腕を掴むにゃんこ先生に声をかける。こうしてウサが治療を遠慮するであろうことをにゃんこ先生は予想していたのかもしれない。
逃がさないためにガシッとしっかり掴んでいた。
掴まれている手を払い除けるほどの行動をウサは取らない。そこまでお見通しだからこそ、ガッシリ掴んでいた。
袖を捲ると、腕をあらわにさせた。
「大人しくしてるっぺ。」
ウサの言葉をまるっと無視して、にゃんこ先生は動くなとウサに指示を出す。
そして、赤く変化している腕に軟膏を塗り、ガーゼや包帯にて固定していく。動かしづらくなった腕。否。無理に動かして腕に負担とならないように固定したのだ。
そうでもしなければ彼は無理をする。にゃんこ先生はそう確信していた。
「あはは?彼らから手厚いハロウィンのイタズラをもらったときのかな?」
わんこ先生はいつも通りに笑顔を顔に張り付けていた。こちらもこちらで、仮面は机の上に置かれている。
何を考えているかは読み取らせぬ笑顔であるが、声は楽しげだ。
「アイツら。やりすぎだっぺ。わんこ先生は怪我ねぇか?」
全くと軽く怒りつつ、にゃんこ先生はわんこ先生を見上げた。
今のにゃんこ先生やわんこ先生はスーツ姿。それにプラスして、かぼちゃやおばけのシールを身体中にはられ、ウサとおそろいのマントが付けられていた。
その飾り付けを施した犯人は言わずもがな、だ。
「大丈夫かな?僕は全面降伏したから?ウサ先生みたいに床に押さえつけられたりはしないよ?」
わんこ先生は両手を上げ、降伏を告げるような動作をしつつにゃんこ先生に答えた。
自分に迫ってきた生徒たちにも同様の動作を取り、難を逃れた事を示す。大人しく、生徒たちに飾り付けをされたらしい。
「オレは両腕掴まれたっぺ。他の先生方も同じくなはずだべ。まったく。」
ぷくーっと頬を膨らまし、にゃんこ先生は憤る。
可愛い部類に入る行動ではある。問題を起こす彼らの行動はもっとハラハラさせられる時がある。だが、今回も今回で中々にタチが悪い。
「ハロウィンではしゃぎたいのでしょう。」
仮面の下に苦笑を浮かべながら、ウサは言う。
お疲れ様です
時間、ハロウィンですね⑤で間話終了いたします
お付き合い頂き、ありがとございます♡




