114.印付けを試します
ツバサが晒した芸術的センスにマリも樹里もコメントに困っていた。
それはもう、半端ないくらいに困っていた。
魔物と対峙するのと同じくらいに緊迫していたわけである。
「同じのを、描くのは難しいから、印の役はツバサにお願いして良いかしら?」
なんとか。
なんとかマリは言葉を紡ぐ。
コメントは控えて。
下手にコメントして傷つけたくはない。ゆえに何とか頭をフル回転させて、言葉を紡いだ。
「ん。」
同じように描こうとしても別のものを描いてしまう気がする。
印…記号とかそういう言い方にしなかった過去の自分が悔やまれる。他に真似できないマークという意味では良いのかもしれないが。
とは言え、印を付けつつの探索が始まった。
◇◇◇
印はツバサによって至る所につけられた。
一つ一つ丁寧に調べながら進んでいた中で、印をつけるのは対した手間にはならなかった。しかし、印を探しながらの探索はやや疲労感の募るものではあった。
とはいえ、大差あるほどの苦痛ではなかった。
「ん。やっぱり、何度も通ってた、か。」
マリの言っていた違和感はすぐに正しかったと証明された。
歩き始めてすぐにツバサの描いた印を見つけたためである。
同じ場所をグルグル回っていたらしい。
「あれ?またこの場所なんですね…。ここを通るの、3回目です。」
ツバサが見つけた印を見て樹里はつぶやく。
ツバサが印を見つけた際に、下に正の字を書くようにしていたため、何回目かがわかった。
3回も同じ場所に来てしまったらしい。
他の道を選択して歩くようにしているにもかかわらず、だ。
印を付けずに探索している間も同様に同じ場所をグルグルしていたのだろう。
「迷路のようになってるのかしら?」
周りをキョロキョロみつつ、マリは呟く。
彷徨うように設計された階なのかもしれない。
「ループするように何かが仕込まれてる、のかも。」
「それって…マジックアイテムが仕込まれてる、ってこと?」
ハッとしてマリはツバサをみる。
マジックアイテムの中にはそのような事を可能にするものもあるかもしれない。
「これだけ歩いて、私達の降りてきた階段、見つからない。」
「あ、確かに。」
だいぶ至る所を通っているはずなのに同じ場所に来てしまっている。その上、階段が見つからない。
マジックアイテムが使われていてもおかしくはないだろう。
「まだ、通ってない場所ありますから、そこも行ってみましょう?それでもダメなら考えましょ!!」
さぁ進もうと、樹里は道を指さしながら言った。
「通ってない場所?」
樹里の言ったことにマリは頭を傾げる。
そんな道、あっただろうか。
「こっちの道、確か二つ道がありました!片方を選んで進んだから、ここに戻ってきたはずです。だから、もう片方に階段があるかもですよ?」
まりの時かけに、樹里は笑みを浮かべて答える。
もしかしたらあるかもしれない。
楽観的なような気もしなくもないことを言う。
だが、その発言でまりやツバサはやや元気になる。
「あ、そうね。」
「行ってみよう。」
善は急げ。
とにかく、可能性をつぶしてから次を考える。
愚鈍なやり方かもしれないが、1番確実でもある。
何より、ひらめきに溢れた回答などできる者はこの場にはいない。
ゆえに反対意見はなかった。
したがって、相談した通りに3人は進んだ。
先ほど選択しなかった方の道を選択し、慎重に進む。
道に置かれた段ボールやら何やらも一つ一つ確認していく。
「ちょっと待って!進んじゃダメ!」
道に入ってすぐ。
ちょい進んだあたりで、マリは言う。
切迫感のある声が出た。
1番先頭をあるいていたため、両手を広げ後方を進んでいた2人を止めた。力がこもってしまったため、2人から小さな悲鳴が上がったが、気にする余裕はない。
せわしなく、周りを見渡している。
「………こっちに印があるから、次はこっち。そう話して来たばかり。」
強引に止められ、ツバサは明らかにむすっとした様子であった。
進むのを止められたのもあるが、強い力で進むのを止められ、痛かったのもムスッとする要因かもしれない。
「だから、待って!そっちはダメなの!なんか、嫌!!!」
痛かった。いきなり止められびっくりした。ツバサがやや不機嫌になりながら、マリを見るが、マリはそれを気にする余裕はないらしい。
「なんか嫌って何?」
騒いでないでさっさと進め。そうツバサはマリに対して口外に告げていた。そうは言っていないが、そう言われているような感がヒシヒシと伝わってきた。
それに対して、マリは進まなきゃと慌ててしまう反面、胸騒ぎがしてしまう。真逆な思いがマリの中で戦争を起こしている。両者ともに引かず、全力で戦っているのだ。
なんだろうか?何でなのだろうか。
何にこうも不安になっているのだろうか?
この道を通ろうと話し合いで決めた。そして来た。来たわけなのだが。この道に来てからどうも胸騒ぎがするのだ。
ここを通っては危険だと感じてしまう。何が危険なのか。何に不安になっているのか、マリ自身も上手く説明することはできないでいるが、とにかく危険な気がするのだ。
「顔色悪いですよ?もうちょっと進んだら、休憩しましょうか。休憩できる場所、見つけましょ!」
朗らかな笑みを浮かべて樹里は言うとマリの横を笑顔のまま進んでーーー
「ダメっ!!!」
進んでいたのだが、マリが手首を掴み引き、それを止めた。
それによって、樹里はよろめき、手に持っていたライトを落としてしまった。
「マ《カチリ ガキンッ ガガガッ ボッ》
良い加減にしろと言いたげにマリの名を呼ぼうとしたツバサは結果から言うとマリの名は呼べなかった。
呼ぼうとしたのだが、言葉を飲み込んだ。
飲み込まざるえない事が、起きた。
それはマリ達が一度起きたのを見た現象である。
まず、姿を表したのはトラバサミ。
トラバサミにかかった樹里のライトに容赦なく弓矢が天井より降り注ぎ、そして、トドメと言わんばかりにトラバサミ周辺から炎が噴射された。
大きな魔物の身体を覆うに対しても十分な量の炎。一瞬にして、薄暗かったその場が明るくなる。
これまた、見覚えのある光景である。
見覚えがあるがゆえに、先ほど以上にゾッとする。
《しゅー》
仕掛けを鎮火するための装置が出す音が虚しくその場に響き渡った。これまた、聞き覚えのある音だ。先ほどもこの音にすら、恐怖を感じてしまった。
しばし、沈黙がその場に居座る。
しゅーという音がした。すでに罠は作動し終わった。それはわかってはいたものの、すぐに言葉を出せずにいた。
「………僕のライト、ダメになっちゃいましたね。」
呆然とするマリやツバサに樹里はハハッと引き攣ったような笑みを浮かべつつ、言う。
その声は心なしか弱々しく聞こえた。
「…あ、んた…に、怪我がないなら良いじゃない。て、あ…ごめん、私ったら強く掴みすぎちゃったわね。」
マリは咄嗟に樹里の手首を引っ張って、自分の背後に来るように誘導していた。
ゆえに、火傷をするといったことはなかったが、力いっぱい引いたため、手首が赤くなってしまっている。
しかも、声をかけられるまで掴みっぱなしでいた。
「いえ、大丈夫です。マリさんのおかげで助かりました。今頃…樹里の丸焼きが出来上がってたとこです。マリさん達の晩餐…樹里はマリさん達の腕となり役立つんですね…」
「嫌よ、そんな腹を壊しそうな晩餐。ひ弱になっても嫌だわ。言うこと聞かない腕になりそうじゃない。」
「僕は隅々までぷりぷりで美味しいかもですよ?栄養満点です!弱くはなるかもしれませんが…。」
一も二もなく拒否したマリに樹里は主張した。
お腹を壊しそうなど不名誉だと言わんばかりに胸を張って主張する。
「何で自信満々なのよ…。」
それにマリは呆れを隠せない。
なぜ、そんな主張をするか、理解できない。
「………これ、見て。」
話す2人を横目にあたりをくまなく調べていたツバサが声を上げ、2人に自身の見つけたものを見るように指し示した。
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それが月姫の活力になりまする^^
夏ですなぁ
男性フォルモン多めな月姫は毛深い…
薄手はなかなか隠せないのですよ
頑張って処理続けなきゃ…
脱毛は痛いからなぁ…




