113.迷子になりました
どことなぁく、嫌な雰囲気が場に顔を出す。
果たして僕たち私たちは、どちらからきたのか、どちらに行けばいいのか。
はてはて、どう決めようか。
「んー?どっちに行きましょうか?」
左右を忙しなく見ながら樹里は2人に聞いた。
とりあえず、あっち行きますかと行こうとしているが、それはマリが止める。
「……どうしようか。」
具体例を挙げられないマリは質問に質問で返した。
樹里は止めておくが、案を求める。
「とりあえず、あっちに行ってみて…順々に見ていくしか、ない。」
ツバサだけが案を挙げるのであった。
とりあえず、どっちかに進んでみる他ないと。
「そうね。1から探索するしかないわよね。」
「呑気に言わないで。さっきの鳥、絶命したら魔物を呼び寄せる習性がある奴。朝もマリが倒して魔物を誘き寄せてた。」
ツバサの案を繰り返せば、ツバサからは注意が飛んできた。
無表情で感情少なめに言う様子は怒っていることはしっかりと伝えてくるから恐ろしい。
「え?あ…そ、そういえば…!」
ツバサに言われて思い出す。
そうだ。
みんなで行動していたときにも出会っていたのだ。止める桜花の声で止まれず、倒した。
そして、囲まれたのだ。
先ほどのように即座に逃げずにいたため、簡単に囲まれてしまった。
あーぁって顔して苦笑しながらあたりを桜花が見渡していたのをみんなで不思議そうに見ていた。何が起きたか分からないと説明を求めていた。
そうこうしている間に、いつの間にか、あたり一面に魔物があふれていた。すっかりちゃっかり囲まれてしまっていた。
次から次に魔物が寄ってきた。
何が起きるかも分かっていただろうに、逃げろとも言わずに辺りを見ていた桜花。皆が慌てる中、桜花だけが落ち着いていた。
いや、桜花の武器も落ち着いていたか。自分も動けると期待し、ソワソワと桜花を見てはいたが、慌ててはいなかった。
目を輝かすチビに桜花が行っていいよって許可した。そこからチビの独占場。魁斗や秋明が頑張って応戦していたが、ほぼほぼチビが倒した。
楽しそうに集まってきた魔物達を傷一つおう事なく倒して見せた。
そう。
魔物をおもちゃを見るような目で見て、実際おもちゃのように扱ったのだ。魔物達は手も足も出ず、皆地に伏せていった。それは衝撃的な映像だった。
その時、チビの実力にばかり印象がいき、魔物に対する記憶は少なかった。記憶していなかったのだ。
だが、指摘されて思い出す。
「考えなしに動かないで。」
ムスッとした様子から、無表情でありながらも不機嫌である事は明らか。
しかも、自分が悪いのも明らかである。
「ゔ…ごめん…!」
マリは顔を青くする。謝罪して何とかなるわけではないが、とにかく謝る。
次。
次こそは気をつけよう。繰り返さないように気をつけねばとマリは泣きそうになりながらも頭に叩き込んだ。
あの魔物は他の魔物を呼ぶのだ、突っ込んで行ってはいけない。
次は同じ事をしないように要注意。
「まぁまぁ、起きたことは仕方ありませんよ。次、気をつけましょ!とりあえず、今はあっちに行きましょう?」
「て、樹里!先に行かないで!危ないじゃない!」
2人に笑みを浮かべつつ、さぁ行こうと先に歩き出す樹里。
接近戦は明らかなまでに誰よりも弱い。
だというのに思い切りだけは誰よりも優れていた。
マリによって腕を掴まれ止められてしまったが。
「マリ、大声出さないで。」
次こそと思った矢先であるというのに。
ツバサに注意される。
「ゔ。」
今のは樹里が悪い!
などと他者に責任を逃れたくもなるが、自己が悪いのも事実のため、言葉を詰まらせてしまう。
「まぁまぁ、とりあえず、進みましょう?落ち着いてからまた、みんなで振り返りをしましょう。」
樹里は悪びれた様子もなく、穏やかに微笑みながら言った。
今は進むのが先。
それもそうであるため、ツバサもマリも大人しく従う。
とりあえず、進む方向を決め、3人で探索を再開したのであった。
◇◇◇
「ね、ねぇ。何か変じゃない?」
散策を再開してからしばらくしてから、マリは2人に声をかける。
自信はない。
だが、おかしいのは事実。
2人も違和感を感じていないだろうか。
2人も何か感じていて共感してほしい。あ、わかるーっとでも言って欲しい。
「何がですか?」
「…?」
2人も違和感を感じていることを期待したが、期待は淡くも砕かれた。
頭を傾げられてしまった。
「この階、前の階より広くないかしら?随分歩いているはずなのに、階段が見つからないわ。」
チラッと時計を確認しつつ、やっぱりおかしいとマリは口を開く。
2人が何を感じていないならば自分の思い過ごしかもしれない。
だが、不安で不安でたまらない。
ゆえに主張はとまらない。
「え?そんなに歩きましたかね?」
体力はないくせに、ワクワクしながら進むからか、疲れをあまり感じていない様子の樹里。走るならばすぐに息が切れるのであろうが、まだまだ元気な様子だ。
「マリ、疲れたの?」
ツバサは休む?と問いかけてくる。
疲れているからそう感じているのではないかと気遣いを見せてくれる。
が。
そうではない。
休みたいわけではない。
「この階を探索はじめてからだいぶ経つわ。鳥の魔物に出会う前から探索してるから…前の階より倍くらい歩いてるわ。それに…似たような光景には見えるけど。ここを何度も通った気がするのよ。」
マリは時計を指し示しつつ、あたりを見渡す。
やはり、見覚えがある。
一度は確実に通っているはずだ。
「………時間、気にしてなかった。」
マリに言われ、自身の時計を見て、ツバサは呟く。
いつからこの階を歩きはじめたんだったか。
他のメンバーと別れた時間すら曖昧だ。
「僕もです。ん〜、通りましたかね、ここ。」
「どう、しようか。」
「あ、僕、迷路の必勝法知ってます!目印を置いていくんです!あるいは糸を伸ばしていく!」
はいはーいと元気に手を挙げつつ、樹里は主張する。
「糸なんてないでしょ。」
ばっさりと樹里の必勝法をマリは切り捨てた。
「じゃあ、目印?何を目印にする?何かに目印をつける…何に…。」
ツバサは何か方法がないだろうかとあたりを見渡しつつ、つぶやく。
「………あ、ここにある箱に目印をつけるのはどう?」
マリはあたりにある段ボールを指し示した。
廊下にも部屋の中にも乱雑に置かれている段ボール。あちこちにあるため、目印にするにもちょうど良いだろう。
「箱に?」
「そう!段ボールだったらペンとかで印付けれるじゃない?何か印を付けましょ!それならあまり音が出ないわよね?」
「………何、書く?」
なるほど…と、ツバサはマリの案を受け入れたものの、ペンを取り出し、書こうとして固まる。
何を書けば良いかを迷い、ツバサはマリや樹里に視線を向けた。
「好きなマークでいいわ。それに統一するから。」
「……………じゃあ…これで。」
黙々と作業をしたと思ったら、ツバサは自分の付けた印を見せる。
あまり時間もかからずにやれたため、散策しながら行うにもなんら問題はないだろう。
が。
マリは困ったように樹里を見る。
コメントに困る。
これは一体何なんだろうか?
頭からシースでも被ったかのような状況で死足だけが晒されている。いや、横向きでその状態でありながら手をバタバタさせている?
目と口の間には突起のようなものがある。鋭利な三角形の真ん中には筋のようなものがあるが…一体なんだというのだろうか?
横になったお化け役…だろうか?
いや、にしてはにこやかすぎるだろう。なんだろうか、これは。
「可愛いですね!これは…人ですか?」
「鳥。」
樹里の問いかけに迷いなくツバサは答えた。
それに流石の樹里も言葉を失ったようだ。
マリもマリでやはり、なんと言えば良いか分からなかった。
美的センスが研ぎ澄まされ過ぎていて理解できないだけかもしれない。
しかしながら、失礼を承知で言うならば、ツバサには一切というほどに絵のスキルはないように感じられた。
端的に言うならば驚異的に絵が下手だった。
読んでいただき、ありがとうございました(*´-`)
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ジンにコーラを入れて飲むの、好きなんです
ブラックニッカにコーラを入れるのも好きです
この前、ジンにコーラを入れようとしてブラックニッカを入れた事があります
仕方がないのでそこにコーラを入れて飲みました
それなりに美味いです
よしよし、これもあり




