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112.作動した物にガクブルです

魔物がマリに走り寄ってきた。マリを攻撃するためだ。


そして、走る中で何かを踏み抜いた。カチリと音が響いたのだ。床にあった何かを踏み抜いたのだろう。


音が響いたその瞬間。事は起こった。


まず、姿を表したのはトラバサミ。罠にかかった動物を思い浮かべてみよと何人かに聞けば必ず、出てくるだろう罠。よくあるやつ。


動物の足にトラバサミがかかっているのを見つけ、その罠をはずして逃がしてやることから始まる恩返しの話。よくあるそんな話にも登場するトラバサミが出現した。


薄暗い中だから気づきにくかったのもあるが、そんな罠があるなど気づかなかった。それはマリ達にも魔物達にも言える。


廊下にも物が多くあったのはこのためか。罠を気づかせにくくする意図もあったのかもしれない。


トラバサミにまんまとかかった魔物に追撃のように弓矢が天井より降り注ぎ、そして、トドメと言わんばかりにトラバサミ周辺から炎が噴射された。


大きな魔物の身体を覆うには十分な量の炎。一瞬にして、薄暗かったその場が明るくなる。だが、マリ達の心は一向に明るくなりそうにはない。


魔物は手も足も出ずにその場で炎に包まれ、絶命する姿に顔を引きつらせてしまう。絶命に至るまでにわずか数秒しかかからなかっただろう。それほどまでに怒涛の攻撃が作動していた。


誰によって仕掛けられたか分からない。そこに仕掛けがあっただなんて知らない。ゆえに、発動は衝撃的であり、恐怖心を誘う。


《しゅー》


仕掛けを鎮火するための装置までもが設置されていたらしく、遅れて作動した。用意周到な罠である。


それをマリは呆然と見つめていた。


自分たちがセットしたわけでもない。ましては魔物が準備するはずもない。明らかに他人がセットしただろうそれは魔物相手に準備したのか、それともーー。


背筋に嫌な汗が流れ落ちる。




《パーンッ》




呆然と突っ立っていたマリの耳に銃声が届く。


ぼーっとしてしまっていたマリには一瞬何の音だか理解できなかった。音に遅れて、マリ同様に突っ立っていた魔物がゆっくりと倒れていくのが見えてから何の音だか理解した。


あ、樹里が撃ったんだ。


魔物が倒れる姿を見て、そんなことを思っていた。


「マリさん、大丈夫ですか?」


魔物が倒れた後、物陰から樹里が姿を表す。


それに続いてツバサもあらわれた。周りを警戒した様子で見渡し、魔物がいないか、他に罠がないかどうかを確認している。


「え、えぇ。ありがとう。さ、さっきのって…。」


「罠、ですね。」


「人的な、もの…」


先ほど発動したものについて、戸惑いながらマリがツバサや樹里に声をかければ、2人もまた戸惑いながら言った。


樹里の顔色さえ悪い。


3人は顔を見合わせる。


「魔物の仕業には見えなかったわ。」


マリはいう。 


あんなものを仕掛ける魔物など聞いたことがない。


人が仕掛けたものだろう。


「僕らが進む先でしたね。魔物がかかってくれて助かりました。ぼくたち、運がいいです。」


やや能天気とも言えることを笑みを浮かべつつ言ったのは元気つけるためか、本心なのか。


樹里の言葉にマリはゾッとしてしまう。


先ほど自分たちを追ってきた魔物たちや自分達が踏み抜かなかったが、それは運が良かっただけ。


もしかしたら罠にかかっていたかもしれない。


下手したら死んでいたかもしれない。ーーー先ほどの魔物のように。


命を落としてもおかしくないような罠。そのような罠まで仕掛けられているなんて言う事実に恐怖が一気に大きくなる。


進むにしても戻るにしても、薄暗い道すらも未知の魔物のように感じてしまう。


どこに罠が仕掛けられているかなんて分からないのだから。


そこを歩くのは恐ろしくてたまらない。


「にしても、まさか、ナイフ折れるとは思わなかったわ。アイツに掴まれるなんて。」


マリは恐怖をごまかすかのように自身のナイフを見ながら言った。


壊れてしまった自分のナイフは即座に投げ捨てていた。


それが近くにあるのを見つけたため、マリは拾い上げる。


「手入れ、してなかったの?」


折れたナイフを見て、ツバサは聞く。


「え?!い、いや…してたんだけど…」


手入れをサボっていたつもりはない。


しっかりやっていたはずだ。


しかし、折れてしまったのも事実のため、自信もなく視線を彷徨わせてしまう。


「………ナイフ、予備ない。」


ツバサのため息混じりの言葉にマリはビクッとしてしまう。


自分が一番前衛にいる。


倒すときにナイフがあった方がいい魔物もいる。圧倒的な攻撃力があればあるいは良いかもしれないが、マリにできるのは思いっきり殴ること。ナイフが必須となることは多々ある。


「僕のを使ってください。」


狼狽えるマリに樹里は自分のナイフを差し出す。


マリが使っていたものより小ぶりなナイフ。


ないよりはマシだろう。


「けど。それじゃあ樹里が…」


「大丈夫です。僕、接近戦はからっきしダメですので、必要な時はほとんどないんです。先ほどの大根魔物を切るくらいにしか使ってません。必要な時、言いますね。」


受け取るのを渋るマリの手にしっかりと握らせつつ、樹里は笑みを浮かべて言った。


たしかに樹里はあまりナイフを使う場面がない。ナイフを使う場面では樹里ではなく、マリがナイフを握っている。


ならば、マリが持った方が良いか。


「そう…ありがとう。………あ、ねぇ…どっちから進んできたっけ?」


マリはありがたく、樹里からナイフを受け取ると来た道を振り返った。


そして頭をかしげる。


「あっちから。そっちは罠があったし、危険。」


マリの問いにツバサは罠が作動していないほうの廊下を指さしつつ、何を言っているんだとマリに問いかけるような目をしていた。


魔物の襲撃で疲れすぎたかと。その視線はあまりにも痛い。


痛い子を見る眼はやめてほしい。


「そ、それは分かるんだけど、あの曲がり角から…右、だったかしら?」


痛い視線に耐えつつ、マリは聞く。


分からないのはその先だ。


必死に走りすぎて、どっちだったか、記憶が曖昧になっている。


罠が作動した方へ行くのも嫌となると、来た道を戻り、再度この階を散策する必要があるわけだが、どちらから来たんだったか。


「左じゃなかったですか?」


「……みぎ…だった気がする。」


樹里が言ったのちに、自信なさげにだがツバサも口を開く。


2人はどちらもはっきりとは答えられなかった。


記憶が曖昧であるが故である。ではあるのだが、それでも記憶を頼りに答えたわけだが、逆の方向を答えた2人。


そして、マリは記憶が曖昧であるが故にどちらとも言えない。


「「「……。」」」


嫌な沈黙が広がった。


3人とも、逃げるのに懸命になりすぎた。


はたして、どちらから来たんだったか。


「えっとー…。」


空気に耐えられなくなり、マリはあたりに注意しながら、左右の道をキョロキョロ見る。


樹里もマリについてきて、マリ同様に道を見つめた。


「どっちも怪しく感じてしまいますね。」


どちらも進んできたような気がしてしまっていた。だからこそ、樹里に聞こうとしたら、先に言われてしまった。


「あ、あの箱。来るとき、見なかった?」


「あそこにありましたっけ?あっちのあの箱、見覚えが。」


「……どっちも、定かじゃない。」


マリと樹里が道に置かれたものを指差しながら言うが、やはりはっきりとはしなかった。どちらも見覚えがあるように感じてしまう。


箱やら何やらいろいろ雑多に置かれているのは同じ。どちらもあまり特徴のない道となっていた。


追ってきた魔物は何とかやり過ごせた。やり過ごせなかった魔物も撃退に成功した。


しかし、またもや。


問題が発生していたわけである。


いわゆる、迷子だ。


いや、ハナから分からぬ場にいたわけなんだが。どこをどう通ったかは分からない状況になってしまった。



読んでいただき、ありがとうございました(*´-`)

楽しんでもらえますと嬉しいです!


夏ですねぇ

冷やし中華始めましたの文字を見ると実感できますね


そして、汗疹が出来ました


胸と腹の間…そう、鳩尾くらいに…


かゆいです

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