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105.1周年記念ですよ⑤


皆に注目される中、桜花はのんびりと話し続ける。


「変態野郎は試験をクリアする事は出来る。君たちより強いからね?けど、それが出来なかった。それはーーー…ほじくりかえすべきじゃあないよね?大切な仲間を傷つけちゃあいけない。変態野郎だから怒らないし、問題にならないけどね。他の人にはやっちゃダメよ?」


桜花が含みを持たせて言葉を切った先にどんな言葉が待っていたかは想像もつかない。


想像もつかないが、桜花が有無を言わさぬ圧をほじくり返すなという言葉にかけてきた。これ以上、彼を詮索してはいけないと。


圧をかけられ、むくれていた面々は一文字に口を閉じていた。


「……私になら良いのでございますか?」


「ん〜嫌なら嫌だと本気で拒否したらみんなやめてくれるって。………あー、ごめんね?」


嫌なら本気で嫌がりなよって言う桜花。


それに対して無言であったウサを見て、気まずそうに頬をかき、謝罪をする。


情報を漏らしてしまったのは申し訳ない。ポロッとついつい口を滑らせてしまっていた。ワクワク学園内で自分達が面識があると変態野郎自身が口にしていたし、変態野郎が戦闘員であったと察することができる状況であるとはいえ、口を滑らせたのはいただけない。


「いえいえ。私が戦闘員であった事実は察している方々は察しておいででございましたから構いませんよ。志貴様に怒ってはおりませんから、ご安心くださいませ。志貴様と育んだ愛はこの程度では傷一つついたり致しませんからご安心くださいましっ!!!」


とか言いつつ、熱い抱擁をすべく手を広げ桜花に飛び付こうとするウサ。


魁斗が回し蹴りをし、抱擁を回避させた。


桜花の前にはマリやツバサが立ち憚り、肩には毛を逆立てるチビの姿がある。


「気色悪ぃ、桜花ちゃんに寄るんじゃねぇよ。……腹ぁ探ったのは確かに悪かったかもしれねぇ。チッ!とはいえ、コイツは気に食わねぇんでぇ。」


桜花に近づいたウサに何度目かの攻撃を仕掛けたが、やはり回避された魁斗は吐き捨てるように言う。親の仇を見るかのようにウサを睨みつけていた。


ウサの情報について探ろうとしたのは確かに自分達にも非はあったかもしれない。


しかし、魁斗は謝る気にはなれなかった。魁斗だけでなく、探ろうとしていた面々は皆、謝る気にはなれなかった。


「はいはい。お兄さん、落ち着いて。変態の戯言は聞き流しなさいな。」


今にも追撃を行いそうな様子を見て、桜花は苦笑するほか無い。


「マリ、あれ、殴り倒して。逃げ道は私、塞ぐ。」


「了解。」


桜花が魁斗をなだめていると、それをよそにツバサとマリが戦闘モードとなっていた。


ささ、攻撃しかけまっせとストレッチしていた。


「ふふふふふ。皆様方、元気がよろしいようで。出来るものならやってみなさい。」


ぶわぁあああと溢れ出す殺気。


画面のうちからでもヒシヒシと伝わってくる射殺さんばかりの鋭い視線。


一気にその場を緊張感が支配した。


ウサに対し警戒していなかったわけではないが、談話モードになっていた皆が身体を硬くし、武器を掴む。


「本日の1限目の授業は"鬼ごっこ"。ウサに攻撃を入れる事が課題にございます。いつもでございましたら、ウサへの攻撃は禁止でございますが、此度は攻撃を許可致しましょう。皆様方、ぜひぜひ攻撃を入れてみてくださいませ。まぁ、もっとも、出来るものならば、ですが?」


あくまでも。


あくまでも、ウサは煽りにかかる。


できるもんなら、攻撃しても良いと。


武器を掴み、いつでも戦闘ができる状態で待機している11名がいるにもかかわらず、最大限に挑発してくる。余裕かっ!って言いたくなるとこだ。余裕だからこそなのだろうが。


「挑発するねぇ〜。全員がかりでやれば貴方1人殺せるよ?」


軽いノリで桜花は言う。


なだめにかかっているのに、それを無駄にするなんて何たることか。流石に煽りすぎだろうと半眼でウサを見ている。


「志貴様?やりすぎはメッでございますよ!逃げる私を探して見つけて、攻撃をしてくださいませ。攻撃手段は何でも良いこととします。また、此度はグループ戦ではなく、個人戦と致します。よろしいですか?各々で私に向かってきてくださいまし。」


生徒たちを見渡しながらウサは言う。


言い聞かせるように言う。


それに皆、反応しない。返事をしなかった。不満そうな顔をして、ウサを見ていた。


「チビぃ、始まったら早々に喰らえ。」


桜花だけが口を開き、準備を整えた。


なだめ続けたのを無駄にされたからか、危険な方向に桜花は話を進める。


「にゅい。」


桜花が命じれば、チビは準備態勢となる。そこに迷いなどはない。むしろ進んで動いているようにさえ感じる。


ウサはいつでも喰らいつける状況にいた。


目をギラッギラに光らせている。


明らかに獰猛な肉食獣である。先程、唸り声を上げ威嚇しただけで襲い掛かれていない分、鬱憤が溜まっているのか。獰猛さが増しているようにも見える。


「チビ様、お手柔らかにお願いしますね?」


「にゅにゅ?」


「ダメ。死なない程度に。」


ウサに声をかけられたチビはウサに返事をするでなく、桜花に何かを聞いた。


いったいなにを聞いたかは桜花にしか分からない。


だが、桜花の回答を聞く限り、ろくなことは聞いていないようだ。


「にゅぅ〜……。」


桜花の返答にあからさまにチビは不満であると主張していた。


その様子に大袈裟にビクゥッと反応し、チビを見た人物が1人。


「なぜ残念そうなのでございますか?!チビ様、私に私怨でも…ハッ!?私と志貴様との仲に嫉妬でございますね?チビ様ったらぁっ!」


ウサである。


ウサしかいない。


大袈裟に動き、おびえたような反応をしたかと思えば、今度はクネクネと動き、嫉妬するなんて器が小さいんだからぁとか何だとか言っている。


「にゅ゛あ゛ッ?!」


沸点の低い武器はこんな声が出るのかと言うほどに野太い声を出した。


桜花はそれを見て、こんな声出るんだぁとのんきにつぶやいていた。一触即発な雰囲気であるにもかかわらず、のんきである。


「あら、私、まじめにピンチ。志貴様は武器の使用をき、ん、し♡致しますね⭐︎」


チビが地獄の番犬すらもビビって立ち去りそうなくらいに険悪な顔をしてウサを睨めば、ウサはおちゃらけた様子で言った。


人差し指を立て、禁止を一字ずつ唱える姿は今すぐにでも飛びかかりたくなるくらいに他に不快感を与えるものであった。


アイドルがやる動きを真似るような動作。


あれは可愛らしい子達がやるから許されるものだ。ウサがやっても殺意が倍増するだけ。


「にゅ゛??」


チビは不愉快だと牙を鳴らす。


自分をあれだけ挑発してきたくせに、自分の参加を認めないとは気に入らない。


「凄んでも無駄にございます⭐︎私がルールでございますから⭐︎」


「職権濫用。」


「独裁政権も甚だしいわッ!」


「ちっせー野郎だなあッおい!煽ったんは、てめぇだろうが!」


ルールを決めるのはウサ。とはいえ、こんな唐突なルール変更は気に食わない。不服を唱えるのはチビだけではなかった。


直接、変更されたルールに関わりのあるはずの桜花は何も言わずに文句を言っている面々を笑いながら見ていたが。


「罵倒の嵐にございますね。このウサ、震える思いにございます!!!ーーーでは、始めましょうッ!かッ!!………と、容赦ない一撃にございますね。」


ウサによる唐突な開始の合図だった。


皆、唐突すぎて反応できずにいたわけだが、その中、容赦ない音が響いた。


人が人に攻撃をなした際に発する音。


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