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104.1周年記念ですよ④

桜花はウサが言うように、ウサのことを話してくれそうにない。困ったような顔をしてツバサや魁斗、秋明を見ていた。


その上、ユキや結弦にまでこれ以上腹を探るのは良くないと、たしなめられてしまった。


「むぅ…」


気に入らないとツバサは大いにむくれる。むくれた状態で桜花を見つめる。


「むくれないの。」


「お前らはコイツの正体、気にならねぇのかよ。」


秋明は自分達をたしなめたユキや結弦に気に入らないと言うような視線を向けた。


むっすぅーっと明らかに拗ねた様子である。


「闘魔隊に所属する非戦闘員だって言ってたじゃない。」


結弦は拗ねる秋明やツバサを気にした様子もなく、言った。


「そうじゃねぇよ。」


結弦の言ったことに秋明はすぐに噛み付いた。


聞きたいことはそうじゃない。


自分達が知らない情報を桜花は知っている。それを話そうとしない。何を知っているのか。普段から気に食わない奴の情報、気になるだろう。


秋明の目は口よりよほど雄弁に秋明の心中を語っていた。いやぁ、本当に分かりやすい。


「あべべは闘魔隊に所属している非戦闘員がどの程度か知っているか?あるいはなぜ、非戦闘員でありながら闘魔隊に属するか、知っているか?」


秋明の心中を察した上で、ユキはガシガシと頭を掻きながら質問する。


いつも浮かべている、にへらぁとした笑みは消し去られ、やや面倒だとでもいうような表情をしている。


「あ?」


何が聞きたいんだか分からない秋明としては顔面を歪めてしまう。


ユキが聞いてきた質問の答えも持ち合わせぬため、答えることはできない。答えられずに言葉を詰まらすあたりは根が真面目なのだろう。


「闘魔隊に非戦闘員は滅多にはいない。それが答えにございます。なぜ、非戦闘員が闘魔隊にいるか。十中八九が戦闘員であったのが何らかの理由で戦えなくなり、非戦闘員に成り下がったがゆえに非戦闘員でありながら、闘魔隊に所属するということになるのでございます。」


ユキの質問に答えたのはウサであった。


強弱なく、淡々とウサは述べていく。


機械が説明をするようである。


「不快な説明の仕方だな、ウサくん?」


自身の問いかけに答えたウサにユキは鋭い視線を向けていた。いつもならば反抗などせず、静観しているだろうに、珍しく強い視線をウサに向けていた。


美人が表情を消し去り、強い視線を持って射るように視線を向ける様は迫力がある。


ウサの言葉を遮るようにユキは口を開いていた。


「キミが何を思い何を感じて今に至るかはボクの知るとこじゃない。今の状態に対し何を思っているかも知らない。探るべきではないことだろう。だが、仲間に対して成り下がったという言い方はいかがだろうか?仲間を見下すべきではない。闘魔隊に所属する者達は全てが尊い存在だ。それを否定するのはキミ自身だろうが、ボクは許さない。」


美人の無表情。芯まで冷え切った鋭い眼光。どちらも大迫力。


強く怒鳴りつけるではなく言い聞かせるように言われると叱られているのだとありありと分かり、ついつい萎縮してしまいたくなる。


それこそ、怒られる子供のように。


「……………そう、でございますね。これは、失礼いたしました。」


ユキの怒りを受け、ウサは言葉を飲み込み、そして恭しく頭を下げた。


深々と頭を下げ謝罪する。


「ま、それはそれとして。闘魔隊に属する非戦闘員って、怪我とか様々な理由で戦闘員であれなかった人たちなのね。いろんな事情持ちなの。根掘り葉掘りしちゃだめ。気に食わなくても大切な仲間よー。というか、お互いの事情は聞かない。これは戦闘員のマナーだよ。」


微妙な空気となったその場を桜花はそれはそれとしての一言で切り捨てた。切り替えた。


マナー違反だからダメだよーと軽く注意する。注意が軽い。


「気に食わない、でございますか。」


桜花が軽く言ったことに聞く。


いつも言われているであろうことだったが、どんな心中か、聞き流さずにウサは桜花に視線を向け食らいついてきた。


「みんなが貴方を気に入らないのは貴方の日頃の態度が理由でしょう。貴方らしくもない。」


食いついてきたウサを桜花は肩を竦め、容赦なくバッサリと言い切った。


シュン…と落ち込んだ雰囲気を纏うウサに桜花は優しい言葉をかけるでなく、肩を竦めただけ。慈悲をかけるつもりはない。


「……………志貴様もまた、辛辣にございますね。このウサがお気に召しませんか?」


自身に優しくしてくれない桜花にウサは聞く。


ウサである時、優しくされた事は一回もないわけだが。


ショックを受けたようにウサの声は弱々しいものであった。


「どこに気にいる要素がーーーって、お兄さんもツバサもそんなにむくれないの。マリも怖いくらいに顔が歪んでるよ?女の子のする顔じゃあないねぇ。変態野郎はみんなに嫌われてんねぇ。ま、自業自得だけどさ。」


ウサと桜花が親しげに話していたからか。ウサについての情報を聞き出せなかったからか。


魁斗やツバサ、マリ達がむくれていた。気に入らないと拗ねていた。


ウサが珍しいまでに弱々しい様子であるにもかかわらず、遠慮はそこにはなかった。いつものふざけた雰囲気はなく、辛そうな弱々しい様子になろうとウサを気遣う様子はなかった。


桜花が普段通りだからだろうか。


むくれている仲間達に気づいた桜花はウサと話すのをやめ、仲間達と話しだす。


「なっなんとっ!?常日頃より皆様方を愛して愛してやまないこのウサの何がいけないとおっしゃられるのでしょうか?!ウサはッ!!ウサはッ!!理解に苦しみますよ!?」


自分を構ってくれていた桜花が他に注意を向けたとこで、ウサは一変した。


いつもの胡散臭い雰囲気に戻ったのだ。変わり身が早い。いつも通りに戻って安心。だなんて反応は誰もしない。鬱陶しいもの。


「ま、そういうとこだにゃー。作られたキャラってイラっと来るんだよな。」


「小馬鹿にしたキャラだからでしょ。普通に話なさいよ。」


武器師達は普段通りに戻ったウサに言う。


作られたキャラをさっさと脱げと。


魁斗達同様優しくいうということはない。


「くっ!武器師様のこの辛辣さっ!クセになりますね、志貴様?」


武器師達の言葉を受け、ウサは悶えるように体をくねらせ、桜花に近づき、そして魁斗やマリから攻撃を仕掛けられた。


仕掛けられた攻撃は当然のようにひょひょいと回避する。


「んん?私に同意を求めないでいただけます?ツンデレ娘に胸キュンかぁ…ん〜谷上や桜井に話ふってくれる?」


攻防がまるで見えていないかのように桜花は話を続ける。


それも、今まで静観していた者達に丸投げする形で。


先ほど、何気に貶された事を根に持ってのことではない。はず。


「いや、ふられても困るでござるよ?!」


「悪ふざけが過ぎる。やめて。」


丸投げされた2人は即座に桜花に苦情を入れる。それがわかっていただろう桜花は悪びれる様子もなく、にぃーっと笑みを浮かべていた。


いたずらっ子のような笑みである。それをみて丸投げされようとしていた2人は顔を引き攣らせた。


教室内の雰囲気は少し、マシなものになっていた。


が。


話が変化していく様が気に入らずにむくれたままの面々もいる。


「やっぱ、ダメかぁ。……いつまでむくれてるのー?仕方ないなぁ。戦闘員でなくなるのは試験をクリア出来ないか、自ら戦闘員でいられないって判断するかなんだよー。私は両足を失おうが四肢全てが動かなくなろうが武器達がいれば戦える。戦闘員であれるわけね。私は死なない限り、戦闘員はやめない。病院で鎮静されようが医療器具をぶっ壊してでも抜け出して戦闘員として戦いに出る所存だよー。」


いまだに気に入らないと言うようにむくれている面々に桜花は苦笑を浮かべつつ、話し始めた。話を戻した。


のんびりと。朗らかに桜花は言う。


そこに何かの覚悟を感じると言う事はなく、天気がいいねぇとか、このご飯美味しいねぇといった内容の話をしているかのようなノリだ。


本気であるかどうかの判断が実に難しい。


ゆえに皆、衝撃のあまり、何を話しているか分からなくなった。いや、桜花が何が言いたいか理解できず、怪訝な顔で桜花を見た。


「私はチビさえいれば、戦闘員としての試験はクリア出来るからねぇ。」


だから、私は死ななければ絶対に戦闘員をやめないのー。心を他の戦闘員に踏みにじられようが人によってどのような攻撃を受けようが関係ないのー。私は死ぬまで戦闘員であるんだよー。


桜花は言う。


その内容はやはり、皆の口を閉ざさせた。


理解できぬ内容もあったからかもしれない。どういう意味なのかとなってしまう内容に口を開けずにいた。桜花は一体、何が言いたいんだろうか。


皆の視線が桜花に集まった。



読んでいただき、ありがとうございます♪

楽しんでいただけましたら、ポチッとしたりコメントいただけると嬉しいです^_^


ささ、小話ですが思った以上にボリュームありました

あと2話で終了致しますゆえ、お付き合いいただけると幸いです


今後もよろしくお願いします!

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