第25話
女の子を呼んだ少年がこちらへ駆け寄ってきた。
「お前ら誰だ」
低く凄む声に思わず目を丸くする。
その敵意を感じ取ったレイナが前に出ようとするが、それを片手で制した。
「私が話すわ」
私がそういうと、レイナも渋々後ろについてくれた。そばにはダニー兄様もいるから何かあっても大丈夫だろう。
「私たちは人を探してここに来たのだけれど、ここは一体なにかしら?見たところ子供ばかりが集まっているようだけど?」
私の言葉に少年は、鼻で笑った。
「はっ、いいとこのお嬢さんには見てわかんないのか?見てわかんないお嬢さんに説明したってわかんないだろっ?」
明らかに馬鹿にしたようなその喋り方に、後ろにいるレイナの怒気がこちらまで伝わってくる。
それよりも、少年にお嬢さんと言われるのはどうかと思う。が、それを口に出してしまうとさらにレイナを怒らせてしまう気がしたので大人しく違うことを口にした。
「そう。貴方達勝手にここを住処にしているようだけれど、それがいけないことだとは知っているわよね?」
意地悪なことを言ってしまっただろうか。
少年の顔が、歪んだ。
「お前らに関係ないだろっ!!早くここから立ち去らないと痛い目にあわせるぞ!!」
「あら、自分の都合が悪くなると暴力に訴えるのね。見たとおりまだまだ子供ね」
その言葉に少年の顔が赤くなるのがわかった。少年はこぶしを振り上げ私にそれを振りおろそうとした。
・・・が、それは叶わず、少年はダニー兄様によって腕を掴まれていた。
「おいおい。いたいけな少年を挑発するような真似をするなよ」
呑気にそんなことを言いながらしっかりと少年の腕をひねり上げていた。
「あら、貴方こそそんないたいけな少年をひねり上げるなんてやめてあげて」
少年は痛みに顔を歪めていた。
「はなせっ!!・・・っ!」
その言葉に、ダニー兄様はぽんと少年を解放した。
ダニー兄様から逃れようとしていた少年はあまりにあっけなく解放されたため、勢い余って地に転がってしまったようだ。
「お、お前ら、何者だよっ!!」
少年は、転がったままこちらをにらみながらそう言うが、何者かときかれて正直に答えるわけにもいかないので、とりあえずその質問はなかったことにした。
「人を探しているの。金色の髪をして、ブルーの瞳をもった男の人よ。このあたりで見かけ・・・・」
「アルフどうした?」
私が少年に話しかけていると、急にその少年に向けてであろう声が聞こえてきた。
その声に、目の前の少年はパァっと表情を明るくした。
「エディ!!」
少年が立ち上がり、その声の持ち主へと駆け出した。
「ローラがさ、絡まれてたから助けようと思ったんだ。だけど、あいつら強くって・・・。あの男は半端ねぇよ!!」
少年の言葉にその声の持ち主は眉を寄せこちらを見た。
その声の持ち主が、少年の頭をポンポンと叩くと少年に言い聞かせるように言った。
「落ち着け。とりあえず俺が話を聞いてくるから大人しくしてろ。お前はすぐに頭に血が登るんだから」
そう言われた少年はバツが悪そうに口を尖らせると、その声の持ち主の言うとおり大人しくなった。
それを見届けると、その声の持ち主はこちらに向かって歩いてきた。




