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王女の婿選び  作者: 羽月
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第24話

大きな通りを抜け細い小道のような場所に来ると、奥のほうから子供たちの声が聞こえてくる。


「子供たちは今日も元気なようね」


キャーキャーと賑やかな声に、思わずほほが緩む。


「ここで、クリスを見たわけか」


レイナの声ではない低い声にギョッとして思わず振り返ると、そこにはダニー兄様が立っていた。


「ちょっと!!姿を現したら意味ないでしょう!?」


私の声にダニー兄様は肩をすくめ、おかしそうに笑った。

護衛についてくれていたのはやはりダニー兄様だった。

気配を感じた時から嫌な予感はしていたが・・・・。


「大丈夫さ。このあたりに人の気配はないし、俺が人に見つかるようなヘマをするわけがないだろう?」


いつもの調子のダニー兄様に思わず脱力する。

代々、王族には必ず誰にも知られていない護衛がついている。

それが、私の場合ダニー兄様であるのだけれど・・・。


「・・・お父様に言いつけてやろうかしら」


「ま、そうすれば、お前が城下に降りたこともバレるけどな」


そう言い返されてしまっては何も言えない。


「お2人とも。戯れはそこまでにしてください。本来の目的をさっさと遂行させてください」


一番冷静なレイナが、鋭くそう突っ込めば私もダニー兄様も思わず頭を下げて謝ってしまいそうになる。


「そ、そうね。・・・この路地をクリス兄様は曲がっていったのよ。いってみましょう」


暗くて細い路地は、先程までの暑さがどこに行ったのかというくらい、ひんやりとしていた。

私たちが歩けば、コツコツと靴の音が響く。

まるで、違う世界に来たようにこの路地は静かだった。


「・・・あそこ・・・」


少し歩けば、明るい光が差し込んでいて、そこが路地の終わりだと示していた。

その光に吸い込まれるようにそこを抜けてみれば、私は思わず息をのんだ。


「・・・・・」


何も言葉が出ない。それはレイナも同じ様で、2人でその場に立ち尽くした。

いつのまにかいなくなっているダニー兄様には気づかなかった。


「・・・・ねぇ、私は今まで何をみてきたのかしら?」


思わずこぼれおちた言葉に、レイナから返事はない。

代わりに聞こえてきた声は、かわいらしい声だった。


「・・・何してるの?」


どこか警戒したような、でもかわいらしい声が聞こえその声がする方を見れば、すぐそばに小さな女の子がこちらを睨むように見上げていた。


「あ、あなたは?」


思わず、しゃがみ込み女の子と目線を合わせそう問いかければ、女の子は先程よりも鋭い瞳でこちらを睨みつけてきた。


「・・・・何しに来たの?」


同じことを聞いてくる女の子に、私は答えた。


「・・・人を、人を探しに来たの」


女の子が何か口を開きかけたところで、遠くから怒鳴る声が聞こえた。


「ローラ!!」


その声が聞こえ、女の子はびくっとすると振り向きその声の聞こえた方へ走って行った。

おもわず引き留めようとするが、女の子はすばやくその場から立ち去り、私は仕方なく立ち上がった。

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