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王女の婿選び  作者: 羽月
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第22話

と、言う事で、茶会は3日後に3日間で何人かを呼んで行う事になった。

2・3人と言っていたのが、なぜか3倍になっていた点は諦めよう。

誤解されるよりかはマシだ。


「さてと、これでしばらくはお父様にもお母様にもうるさく言われなくて済むでしょ」


一人部屋で一段落した仕事の手を止め、私は窓に近寄った。

窓の外に映る景色は、今日も平和そのものだ。

それを見つめる私の視線は遠く見える城下町に注がれる。


「・・・はっきりさせましょ?」


そうでないと、やはり私は気になってしょうがない。


「クリス兄様、貴女はきっと生きているのよね?」


私が兄様を見間違えるとは思えない。

いくらはっきりとは見えなかったとはいえ、あれはたしかにクリス兄様だった。


「待ってて?クリス兄様であるのならば、必ず迎えに行きます」


この国の正式な後継者であったクリス兄様が見つかったのならば・・・。

クリス兄様の継承権はすでに消滅されている。

当然だ。死んだ人間に継承権は与えられない。

だが、生きていたならば?

彼がこの国の正式な次期後継者ではないのだろうか?

とにかく、彼が生きているかどうかを確かめなければいけない。


「生きているのであれば、この立場はクリス兄様に返さなければね」


クリス兄様はいつも頑張っていた。この国の頂点に立つべく。

この国を緑豊かで、皆がいつも笑顔でいられる国にしたいと。

そんなクリス兄様に私は憧れていた。


「だけど・・・・どうして?」


どうして、生きているのならば城に戻って来てくれないの?

反乱があった責任を感じているのだろうか?

だが、あれは王弟の所為だと国民も知っているはず。

それなのに、城に戻ってこないのには何か理由があるのだろうか?

不安に思う心は、ギュッと手を握りこむことで拭ってしまおう。


「・・・・レイナ!!」


まずは、確かめなければ。

クリス兄様を。

私の声に、扉は開かれた。


「はい、御呼びでしょうか?姫様」


「街に行くわ。ただし、極秘でね」


私の言葉に眉を寄せ、何かを叫ぼうとしたのだろう。

口を開きかけたが、私をみてそれを辞めた。


「・・・かしこまりました。ですが、護衛はつけさせて頂きます」


「えぇ、もちろんよ。お願いね」


レイナは深く頭を下げると、部屋を後にした。

心の読める侍女はこんなときでも私の心を読むらしい。

思わず苦笑してしまう。

そうして、私は、護衛とレイナを連れ、誰にも知られずに街に降り立った。

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