表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Criminal  作者: Dr.Cut
79/114

第七十九章:逃亡

亜希が振るった一撃は、大蜘蛛の長い脚を一本切り落とした。

重鈍な鉈による斬撃は、彼女の力でも容易く硬い甲殻を切断し得る。

だが、それはやはりこの動物兵器に致命傷を与えるには至らない。


「……きゃっ!!」


蜘蛛は残った脚を使って、亜希から鉈を跳ね飛ばした。

根本から切り落とされた脚から体液を垂れ流し、牙を剥いて亜希の腹へと突っ込んでいく――。


「……らぁああっ!!!!」


その時、あり得ない方向からの援護があった。

先ほどボロ雑巾のように跳ね飛ばされた筈の船橋だ。

身体に掛かった負荷は相当な物だった筈だが、格闘家みたいに鍛えられた筋肉が幸いしたのか、彼は交通事故さながらの衝撃をものともせずに蜘蛛の脇腹に鈍器の一撃を加える。


それで、悪魔の巨体が飛んだ。

殆どさっきの鏡写しだ。

黒い悪魔は壁へと大きく跳ね飛ばされ、鈍い音を立てながらボトリと床に落下する。


「逃げるぞテメェら!!

今すぐこの部屋から出ろ!!」


――逃げる。

つまり船橋は、アレは自分たちにどうにか出来る物では無いと悟ったのだろう。


そして、その判断は正しい。

あれだけの攻撃を受けても、あの悪魔は何事も無かったかのように立ち上がっているし、しかもそれは、まだアレの動物兵器としての強みですら無いのだ。


――ほんの少しでも腹を裂いてしまったら、そこからウジャウジャと溢れてくるであろう、無数の蜘蛛の幼生。


その事実がある以上、アレは倒す倒さないという次元の生き物では無い。

下手に傷つけるのは逆効果。直接的な排除は詰んでいると考えて良いだろう。


大蜘蛛の姿をハッキリと確認する前に、僕たちは警備室から逃げて、勢い良く外から扉を閉めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ