24話 『死羅腑』VS『人の王』。
24話 『死羅腑』VS『人の王』。
「ふん……魔物の神よ。貴様程度では、人類の頂点たる『皇帝の力』を理解することなど、とうていできないだろう」
あえて、シンクロしていきながら、
皇帝は、腰をあげて、両手にオーラと魔力を集中させていく。
「まさか、乗り込んでくるとは思っていなかった。半信半疑だったが……なるほど。確かに、貴様は神級の力を持っているようだ。これまでに感じたことのない覇気と圧力……」
「死の具現である私を前にして、畏れを見せない胆力は見事。貴様は、私の前に立つ資格がある」
そう言いながら、死羅腑も、魔力とオーラを底上げしていく。
「さあ、やろう。人の王よ。命の儚さに、思惟の帰結を求めながら」
そして、唐突にはじまった、皇帝と死羅腑の死闘。
周囲の上位貴族連中は、最初こそおろおろしていたが、
どいつもこいつも『上位貴族』なだけあって、有能な能力は持っている。
その上、前線に立っているのが『力強い王』なので、
心を持っていかれることはなかった。
ゆえに、おろおろしていたのは最初だけ。
すぐさま、全員が、皇帝のサポートに入った。
全員で、力を合わせて、死羅腑の撃退に挑む。
「豪魔拳ランク20!!」
皇帝は、『練り上げた魔力を拳に込めて、敵を豪快に殴りつける』という、極めて原始的な戦法を得意としている。
存在値500級の『鍛え上げられた強大な魔力』をその身に受け止めた死羅腑は、
「――想定外だ……人の王よ。貴様、そうとうに、己を鍛え上げているな」
「まさか、『玉座でふんぞり返っているだけの飾り』だとでも思っていたか? 私は、カリスマと才能に富んでいるが、何よりも優れているのは、この世の誰よりも努力が出来る点だ。だから、私は、すべてを統べる皇帝なのだ!」
血筋だけで玉座にいるわけではない。
とびぬけた才能と、たゆまぬ努力。
その結果、彼は、最強の男として、世界に君臨している。
だからこそ、シューリに嫌悪感を抱いていたのかもしれない。
シューリは、努力をする必要が無い天才だった。
シューリは、自分の力を周囲に隠していたが、
皇帝は、ボンヤリと気づいていた。
シューリと自分の間にある決定的な差。
「想定外だったのは、こちらも同じ! 死羅腑よ! 神級という地位につく、強大なモンスターよ。貴様の強さには、正直、恐怖をおぼえる! 私が、これまでに出会ってきた中で最強と断言できるだけの高み。だが、私には、そんな貴様を殺せるだけの力がある! それが何よりも誇らしい!!」
そう叫びながら、
皇帝は、さらに、多くの魔力とオーラを捻出して拳に込めた。
「覇王魔拳ランク21!!」
膨れ上がった力を、豪快に、死羅腑へと叩きつける。
アンデッドを殺す驚異の一撃。
それは、聖なる光。
まさしく皇帝の力。
優れた才能、
弛まぬ努力、
真のカリスマ、
皇帝というステータス。
――ラピッド・ヘルファイア・ソルウィングは、
確かに、人類を統べるに値する力を持っていた。
「――ぐ……ふっ……」
死羅腑は、その場にたおれこみ、うずくまる。
チラチラと黒い粒子が漏れているよう。




