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23話 1700兆の殺気。


 23話 1700兆の殺気。


 カンツは、


「うららららあぁあああああああ!」


 何度も、何度も、何度も、全力の拳を、ニャルの顔面に叩き込む。その拳の嵐を、ニャルは、扇風機の微風でもあびているみたいに、かるぅく目を細めているだけで、すべて受け止めきった。


「はぁ……はぁ……」


 肩で息をしつつ、奇異な目でニャルを見つめているカンツに、

 ニャルは、


「くく……ははは……」


 と、心底バカにした顔で笑ってから、


「別に、こっちは、『殴られた』なんて、一ミリも思ってもいないから、『暴力のお返し』をしようとも思わないんだけど……お互いの力を正しく理解していた方が、色々と話がスムーズに進みそうだから……ちょっとだけ、睨もうかな」


 そう言うと、

 ニャルは、一度目を閉じて、

 そして、3秒ほど静かな時間を過ごしてから、

 カッっと、目を見開いて、

 ほんの少しだけ、殺気を垂れ流す。


 その邪悪で重たい殺気にあてられて、

 神話生物研究会の面々は、わずかも抵抗することができず、

 秒の一撃で失神して、バタバタと倒れていく。


 立っているのは、カンツと田中だけ。

 どちらも、顔面にビッシリと脂汗を浮かべている。


 そんな二人に視線を送り、


「ははは。すごい、すごい。他のメンツは全部ゴミだけど、君ら二人だけは、なかなかハンパないね。僕の殺気を受けて立っていられるなんて、すごいすごい」


 カンツは、ブルブルと震えそうになっている体を、

 砕けそうなほど奥歯をかみしめることで耐えている。


 敵相手に、無様に震えるなど、彼のプライドが許さない。

 そんな無様を晒すぐらいなら死んだ方がましだと思っている。


 奥歯をかみしめ、爆発しそうなほど全身に力を込めることで、

 どうにか、こうにか、ニャルの殺気に耐えつつ、


「……わ、ワシの命をやる。……この宇宙で最も価値のある男、カンツ・ソーヨーシの命だ。それさえあれば十分だろう。ワシの首を土産にできるのだから、世界を滅ぼすのはやめておけ」


「ははは。がっつりと、誤解をしているみたいだから、そろそろ遊ぶのはやめて、教えてあげようかな。心配しなくても、僕は、この世界を滅ぼすつもりはないよ」


「……アウターゴッドというのは、召喚された瞬間、世界を滅ぼすものではないのか? 魔導書にはそう書いてあるが」


「そういうタイプもいるよ。力を抑えるのが下手なタイプを召喚しちゃうと、そのまま、余波に巻き込まれて、世界は終わるね。もしくは、世界を滅ぼすことを自分の役目だと思っている変態タイプもやばいね。でも、僕は、力のコントロールは完璧だし、謎の変態でもない。普通に紳士的で、生命に対して寛容な、優しいアウターゴッドさ。だから、別に、僕が、召喚されたからって、そんな、慌てる必要はないよ」


「……」


「さて、と。それじゃあ、ちょっとおしゃべりしようか。……あ、その前に」


 そこで、ニャルは、指をパチンと鳴らして、


「神の慈悲」


 そう宣言すると、カンツの顔面を覆っていた脂汗がスーっと蒸発していく。

 そして、心が、驚くほど穏やかになった。

 それだけではなく、

 失神していたメンバーも、目をさましておもむろに立ち上がる。


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