76話 なろう主人公・田中シャインピース。
76話 なろう主人公・田中シャインピース。
「まずは、脅威を退けてくれたこと、感謝しよう。田中シャインピース。お前の才能と運命は美しい。最高位のGOOを単騎で退ける力を持つとは……それも、携帯ドラゴンと契約した直後に……正直信じられん……ワシは、時折、化け物という評価をいただくわけだが、そんなワシなんかよりも、お前の方がよっぽど化け物だな、田中シャインピース」
そう言葉を並べたカンツに対し、
田中は、不敵に微笑んで、
「言うとくけど、ワシの可能性は、まだまだ、こんなもんやないで。今、ようやく、『眠っとった己の資質』が開花したばっかり。自分の中で、自分の輝きが目覚めかけとるんを感じる。ここはまだ道の途中。……ワシは、まだまだ大きくなる」
「それは、なんとも頼もしい話だ。お前がいたら、最悪、アウターゴッドが召喚されても、なんとかなるかもしれん……と、そんなことすら思ってしまう」
「いや、さすがにアウターゴッドは無理やな。外なる神は次元が違うから、さすがに、ワシが完全に開花したとしても無理やと思う」
などと会話している二人を見つめながら、
ずっと奥歯をかみしめているセンが、
「おい、ごらぁあ、田中あぁ!」
と、巻き舌で、威圧的に、
「調子にのるなよ! ていうか、ふざけんな! そこは俺の席だろう! これまで、ずっとそうだっただろう! 世界のピンチに颯爽と現れて、豪快に覚醒して、快刀乱麻にすべての絶望を切り裂いてみせる! それは、俺のポジションだろう! なにを、横からかっさらってくれてんだ! ナメんなよ、くそがぁ! やれやれだぜぇええええ!」
散々っぱら『主役は嫌だ』と言っていながら、
しかし、田中ばかりが活躍している現状にたいして、
とにかく、歯噛みが止まらない、という、
田中の視点で言えば、なんとも迷惑な話。
田中は、蔑みの目をセンに向けて、
「おどれが覚醒して、ウムルをぶっ飛ばしてくれたら、ワシが苦労する必要なかったのに、おどれが、一向にゴミのままやから、仕方なく、ワシが代わりに、やったったんやろうがい。感謝されることはあっても、文句を言われる筋合いはないわ、ぼけぇ」
「お前に感謝するぐらいだったら、死んだ方がマシだぁああ!」
センのヤバさに対して、周囲の特待生たちが全員引いていた。
異常性格ぞろいの特待生たちだが、流石に、センさんが相手だと、呆れてモノも言えなくなってしまうらしい。
熱血漢のダリィさんも、最初こそ、センに対して不満を口にしていたが、しかし、センエースが、本物のサイコさんだと分かると、『この変態とは会話にならんから、関わり合いにならない方がいい』と思ったらしく、もはや、完全シカトを貫いていた。
「なんだ、この世界! 地獄か! 田中が活躍するだけの世界なんて滅んでしまえぇえええ! いや、さすがに滅ばんでもいいけど、とりま、夢なら醒めてくれぇええ! こんな地獄で生きていたくない! 田中のいない世界に転生したい! とりあえず、田中さえいなければ、どこでもいい! 『バケモノばかりの世界に虫ケラとして転生する』という地獄でも、この世界にいるよりはまだマシだぁあああ! だぁああああっ!! ぶらぁあああああああああああああああ!」
『ここではないどこか』を睨みつけながら、
益体のない戯言を叫び続ける、狂気の道化。




