第45話 繭殿のひとつめ②(???視点)
優しい音色みたいな声。
あたたかい温もりは何?
僕を包み込んでくれるこれは何?
ずっとずっと、主であるクロノ様のためにここを守っていたけど……もう、終わりなのかなって勘違いするくらいぬくくてあったまる。
溶けていく、穢れたち。
ほどけていく、僕の繭糸。
するする、するするとほどけていく向こう側に見えるのは……金の糸が見えた。クロノ様がそのお姿に?と思ったけど、それなら僕以外に繭糸にくるまっている『四獣』らが反応しないわけがない。
だから、きっと……目に入り込んできた金の糸は違う。ゆっくりまたたきすれば、それは『女の子』だった。小さくて、かわいらしい……ちいさなちいさな女の子。横にはクロノ様の血を少し受け継いでいるらしい男の子はいたけど。
女の子の姿を見て、僕は思わず飛びついていた。あったかい浄化の力がこの子からってわかったら!!
『きゅーい(ありがとう)』
言葉はまだつむげないけど、それ相応の感謝の意味を込めて鳴いた。女の子はびっくりしてたけど、男の子の方もそれなりにびっくりしていた。男の子の方はやっぱりクロノ様の血を受け継いでいるから似ている。女の子も少しだけ受け継いでいるから、顔より髪なのかな??
「まあ……まあ!! 可愛らしいもこもこちゃんですわ!!」
女の子は僕が抱き着いてきたのを嫌と思ってないのか、ぎゅっと抱き返してくれた。すごくうれしい。お互いに抱き着き合っていたら、首の後ろをつかまれてぷらんとする姿勢にさせられた?? 視線を感じたら、男の子が怖い顔をしていた。クロノ様が怒るとこんな顔になるのかな?? ここに籠る前でも見たことないけど。
「リデル様? そんな無造作に」
「……完全に安全とは言えないだろう。いくら、聖獣だったとしても」
「そうですけれど」
聖獣。は、たしかに僕やほかの繭糸に包んでいた獣の総称なのは合っている。
僕が一番最初らしく、ほかの皆の姿はなかった。どれくらい寝ていたかはわかんないけど、あんなにも気持ちよく起こしてくれるのはうれしかったなあ。女の子に抱っこしてほしいのに、リデルって呼ばれた男の子が許可してくれない。僕、小さいから抱き心地抜群だよ??
『きゅきゅ(太陽の僕が起きただけかな?)』
とりあえず、意思疎通とかしてみたいけど……鳴いてもどっちの子にも念話が難しいらしい。簡単に契約できないようにされているのはわかってたけど……この状況で、僕の扱いはどうなるんだろうか?
クロノ様が水鏡越しでも狭間から出てくる気配もないから……しばらく、このぷらんとされたまま? 痛くはないけど、扱いひどくない!? 僕は聖獣って呼ばれる尊い獣なんだよ!!?
(けど、あんな大量に抱えていた穢れはどうなったんだろう??)
と思って、くるっと繭糸を柱にくっつけてた場所を見たら……無残なって言葉が似合うくらいどろどろべちゃってなってた!!? なにあれ、めちゃくちゃ酷いとこにいたの!!?
次回は月曜日〜




