第4話 はじめての大仕事
いきなりの初仕事ですの。
リデル様からの……依頼ですわ! これから『乗る』らしいこの虹の布をわたくしの『洗濯スキル』で、綺麗にして差し上げる。名誉なお仕事ですわ。
呪言はあくまで、順序立てるだけの組み合わせ。
綺麗にしたい、相手への配慮のみですの。
ですから、この虹の布には、最上の『言祝ぎ』で綺麗にしますわ!!
『我が腕に、抱かれよ』
リデル様がこの場に馬車を停めていただいたおかげで、湖の水を利用するまで。
布の上から蜘蛛の糸のように張り巡らせ、囲み。次の言祝ぎにて、触れた箇所から汚れを抜く!
『優しく触れ、穏やかに眠り、流れに身を任せ』
操る水の感覚で、『汚れ』が出て来るのがわかりましたわ。美しい虹なので、ほとんどないものだと思っていましたのに。実際は、リデル様の指の汚れ以上の酷かった。
どこに処分しましょうと思っっていますと、リデル様に肩を軽く叩かれました。
「その汚れ、集めることが可能だったな?」
「……ええ。出来ますけれど」
「君の祖国に……仕返しするか?」
「えぇえ?」
そんな仕打ち……してもいいんですの?と、少し前のわたくしでしたら躊躇ったでしょうが。
わたくしは、もうあの愚かな国の人間ではありませんもの。リデル様の同志となった人間ですわ!!
頷いてから、わたくしは出来るだけひとつにと泥水のように土黒いそれを集めていきます。
「集めたら、俺の前に」
「わかりましたわ」
リデル様の指示に従い、彼の顔の少し前までに集中して集めていきましたが……濃縮しても、結構な大きさでしたわ。
「レティを貶した……愚かな国にはな!!」
脚に強化魔法を施したのか……そして、勢いを大きくして飛び蹴りされましたわ!? 方角はたしかに、わたくしの祖国ですけれど……どうなったかは、早過ぎてよくわかりませんが。『泥まみれ』となったのは王城を中心に、広がったのはほとんど確実ですわね?
「ふふ。没落どころか、亡国の王女気分ですわ」
いつも陰鬱な気分を抱えていましたのに……こんなにも、心が浮き立つくらいに笑ったのはいつぶりでしょう? あの浮気者への報復計画中ですら、ここまで笑っていませんでしたのに。
「たしかに、あの国は終わったと言っていい……まだ城まで距離がある。もう一度馬車へ」
「はい!」
これからの生活への期待が大きく膨らんでしまいますけれど……リデル様の御顔を見てますと、先程の初仕事はとても成功したのと見えますわ!!
まだまだお役に立ちたいですの。どこまで出来るのでしょうか??
次回は火曜日〜




