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スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜  作者: 櫛田こころ


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第34話 推測が真実かどうか

『貴方様の御身。その汚れた外側を、この虹の彼方へと……永久に洗い流そう』



 ほとんど定着化した言祝ぎですけれど、ライオス様と同じくらいにまで泥色になっていたアディルカ様の手の色ですが。あらかじめ用意した、新しい黒い布に穢れを移すようリデル様にもお願いされましたので……実際に出来上がりましたが、やはり波紋が重なり合う美しい虹色の布が出来上がりましたわ。


 白も美しいと思っておりましたが、黒布もとてもお美しい。これで、手袋を作られるのでしょうか??



「嘘……これ、ほんとに?」



 アディルカ様はご自分の手が真っ白に戻ったことへ、驚き以上の表情を見せてくださいましたが。わたくしと目が合えば、緑の瞳を潤ませつつもまた強く抱き着いてくださいました。わたくしにはない、ボリュームのあるお胸で顔が潰れそうですわ!?



「ぃ、ルカさ……!?」

「レティ!! 本当にありがとう!! これからの対策もだけど、自分の手が生まれてからこんなきれいになるのほとんど初めてだから!!」

「……はじめて?」

「お父様たちのように、イリスの血を継ぐ子どもも……多かれ少なかれ、手や体に穢れを受け継いでしまうのよ」



 リデル様に振り返っても、その通りだと頷かれるだけ。ライオス様も苦笑いされていましたし……お優しい王族の皆様方は、本当に色々苦しまれていたことがよくわかりましたわ。今陛下方はいらっしゃいませんが、政務の方に集中しなくてはいけないからと……別室でわたくしたちだけですの。



「……しかし。レティにもスキルが備わっていた分、ある程度の穢れは受けていたようだな」



 アディルカ様にまたぎゅうぎゅう抱き着かれていますと、リデル様がとんでもないことをおっしゃいましたわ。



「たしかに、兄上の言う通りです。義姉上は湯浴みをされる前とあとでお姿が違っていましたから」

「あら、もとからこんなにも可愛らしいんじゃなくて」

「可愛らしかったけど、磨きが違うというか」

「……わたくし。せっかくなので、自分にスキルをかけただけなのですが?」

「それだ! であれば、俺たちの推測はひとつ証明される。……レティも、俺たちイリスの血筋を引いているかもしれない」

「……はい?」



 わたくし、あの公爵家の人間だったのですが?


 三女でしたけど、まあ、最低限の教育と食事は得ていましたが?


 スキルのせいで姉や兄弟には馬鹿にされていましたけれど……あの家そのものが皆様と同じ??


 などと、ぽつぽつ口から出た言葉には、皆さま首を横に振りましたが。



「いや、それなら尚更俺たちの推測の方がマシだ」

「義姉上は、我らの血族から一旦身を守るかなにかしらの策で……その公爵家の末姫にさせられた可能性が高い」

「もしかしたら、国同士で盟約もあったかもしれない。でも実際は、レティとリデルのスキルで国は封印された。クロノ様に聞きたいことはいっぱいあるけど……ひとつ言えるのは、レティを『護る』意味で血族の人間が穢れを貯め込んでいい土地を探していたかもしれない。そこを諸悪の根源にしておかないと……私たち、子孫が浄化されなかったのだから」



 憶測というものは多いですけど。それが真実かどうかもまだ確かめられていませんが。


 まず、わたくしが……もしかしたら、皆さまと同じような血族で縁戚関係というのであれば。



「……それが本当でしたら、お仕事を本当の意味で誇りに思えるのですね?」



 それが本当でしたら、わたくし……態と、あそこで悪役ぶりましたが。罪悪感を持たずとも好いのでしょうか?


 目がまた潤んできましたが、アディルカ様から順番に皆さまでわたくしを抱きしめてくださいました。



「ああ。まだ真実はわからずとも。レティは俺たちの光だ。そして、君が誇らしく思っているのを存分に手助けしたい」

「そうね」

「僕もです」

「……ありがとう、ございます」



 スキルのせいで、身内からは貶されていた。


 あれが心から蔑んでいたことからの行動かは今わからずとも。封印された国の中は、今気に留めてもしかたがありません。クロノ様にお願いいたしましょう。


 わたくしたちはわたくしたちで、これから穢れを生み出さないようにスキルやお仕事で改善策を頑張らなくてはいけないのですから。

次回はまた明日〜

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