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スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜  作者: 櫛田こころ


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第29話 兄弟の対面

『永久など、無きに在らず』


『身に染みた穢れの外の紐付け』


『我らが流れの糸口通りに、『黒の汚れ』を薄めよ。外に流れようぞ』



 セレストの皆様も交えて、もう一度スキルを使いましたけれど。やはり、アーストの陛下方と同じような結果になりましたわ。


 黒の頭巾と手袋それぞれに、内側から穢れが染み渡り。やがて虹色の波紋染まっていくそれらは一種の工芸品のようにも見えましたわ。


 完全に色が染まってから、アーストの陛下がさっとセレストの陛下の頭巾を取られましたの。髪色は違いますが、アーストの陛下と面立ちがよく似ていらっしゃいましたわ。



「ディラン!?」

「兄上……わ、俺の顔見えてますか?!」

「ああ……ああ!! 俺たち、四十年ぶりに自分の素顔に!!」



 がしっと抱き合うくらいの感動。それをわたくしのスキルでお力添え出来たのは、何よりの誉れですわ!! つい、もらい泣きしてしまいましたら、横からどなたかが水色のハンカチを差し出してくださいましたの。



「使うといい。君の染めた虹模様には敵わないが」



 リデル様でしたの。少し目が潤んでいましたのに、ご自分のことは二の次だなんて……! ああ、何か胸の奥がときめいてしまいそうでしたが!! ……鼻水が出そうだったので、隠すついでに使わせていただきましたわ。



「……お母様、伯母様のように」

「ほんと……? ルカ、私の顔が見えるの??」

「え、えぇ……」




 そして、セレストの王妃様も無事に頭巾を外せたようで、ご息女のアディルカ様も流石に驚かれていました。ふんわりした水色の髪がとてもチャーミングな女性でした。アディルカ様は髪色を受け継いでいらっしゃるようですわ。



「……やはり。これは一大事どころではないし、リデルの婚約者として擁護せねば。まだ燻っている小国らには恰好の餌となってしまう」



 ただ、そのままのほほんとならずに……何故か怖いお話になってしまいました??



「そうだな。セレスト側としては王女とアーストの第二王子ライオスの婚約は既に発表してしまっている。『異物王太子』と揶揄されているリデルの婚約者と仕立てておかねば……裏工作としてはそれで良しとしても、取引の各国が納得しないだろう」



 アーストの陛下が一番怖いお話をされましたけれど!!? つまり、わたくし自演の『悪役令嬢』がこの場合役に立つと言うことですか!? リデル様とはそこのところ何も打ち合わせていませんでしたが!!



「……『異物王太子』、と言うのは??」



 ただ、この言葉には一番の部外者であるわたくしにはさっぱり。そもそもイリス両国の存在すら、あの国では学んでおりませんでしたから。



「え!? レティ、リデルが他の国じゃ酷い扱いされてるの知らないの?? セレストも最近特に扱い酷いけど……穢れのことがあったから、私たち王族のほとんどが『悪魔』とか『異端児』とかで差別化凄いの!!」

「……え??」



 こんなにもお美しい皆様が、穢れのせいで……わたくし以上の差別をされてきたんですの??

次回はまた明日〜

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