第15話 よく眠っている間に(リデル視点)
レティのお披露目は、予定より少し間を置くことにして……彼女も疲れが溜まっていたから、用意していた部屋で寝させたんだが。
ディルスからの飛行手紙が来たから……王太子と将軍として話すのではなく、『乳兄弟』として話し合うことになった。まだ、女性への気遣いには生真面目な彼は……俺のレティへの申し込みのやり方にはまだ怒っていたようだ。
出迎えの手配だけお願いしていたが……わざわざ、レティを連れ出す手順を教えても、が甘かった。
「……ガチで、告ったんだよなあ?」
婚約者のリルとか他の女性がいないと、俺以上に冷酷で柄が悪い。リルはたまにせがむらしいのは……まだいいとして。
「……クロノ様も出て来られた。その後には改めて契約を交わしたが」
「……の割には、不満顔じゃねぇか?」
「…………仕事優先で俺なんか二の次だ」
「…………マジか」
「…………ああ」
自分を必要としてくれる『絶対信頼』を俺きっかけだとしても。……あの国布に虹絨毯を聖浄したから、ちょっと自信は持ったはず。
だが、それ以外を求められることなんて、絶対ないと言うのは家の中でまともに扱われなかったせいもあるだろうな。それがクロノ様の意向のひとつではあっても……クロノ様も予想以上だったと見た。
『僕もフォローするから、頑張れ』
とだけ言い残して、まだ本調子じゃないから狭間の浮遊に戻ってしまった。恋愛については……これが初恋の俺にどうすればいいのか教授して欲しかったんだが!!?
「……自信つけさせるにも。アースト側だけじゃなく、セレストにも好感度を持てさせる仕事をしてくれたしな?」
「まずはゆっくり。英気を養う感じだよ」
「……お前とライオスの野営料理で、かなり満足していたしな?」
「贅沢よりも、満足感ある料理がいいと思うんだ」
だけど、開花したスキルを自分に使っても……美少女の自覚無しってすごいなあ? きっと、今までの周囲が劣悪過ぎて、自己分析し難かったかもしれない。
それなら! ちょっとだけ懐いてくれてる俺に、どうしたらもっと可愛く頼ってくれるか!! 最初、俺の手を綺麗にしてくれた……あの聖女のような微笑みに、実は落ちたって知ったらどう思うかなー?
とにかくまずは! レティの生活改善から始めなくっちゃね!!
「……両陛下には、すぐに会わせるのか?」
「父上たちねー? 叔父上たちも会いたがっているらしいけど」
スキルを利用……とかはなさそうでも、猫っ可愛いがる気配はどちらの王家にもありそう。特に母上と叔母上は可愛い女の子大好きだから……着せ替えごっことかしそうだなあ。
「…………養育だけでは済まん気がするな」
「…………演出しちゃったしねぇ? 頼んだとはいえ、数年分の汚れを一気に落としたし」
クロノ様が、スキル名を隠すのに『姿も偽る』って……レティ自身の外見もいじっていたんだから。ライオスがもう一回見ても、惚れちゃダメって言わなくっちゃ!!
変なこと言わない弟はわかってても、蓄積してた『穢れ』が消えたレティは本気で美少女だもんね!
次回はまた明日〜




