第12話 誰ですの??
衣裳も何も持って来なかったですのに、サイズぴったりの部屋着やドレスがありました。
リーリルお姉様が、これらはすべて手配などはリデル様がしてくださったとおっしゃいましたの。
「さあさあ、姫様? すべて姫様のお衣裳ですから、お好きなお色をお教えくださいまし。是非、是非! お美しく着飾らせていただきたいのです!!」
「あ……はい」
お姉様の気迫に負けてしまい、じゃあと選んだのは淡い水色でしたの。ふんわりしたフリルがたっぷりで目に留まったからですが。
「こちらですね? ですと、髪はまとめて……あの髪飾りを」
着替えは他のメイドの方々の手を借りて、ささっと。お姉様はぶつぶつ言いながらも、後ろで髪をまとめてくださっています。お仕事が素晴らしいのですが、わたくしもスキルを使ったので……誇らしくしていていいのでしょうか?
「あの……このあとは、何かあるんですの??」
「あら、殿下からは何も?」
「……綺麗にしておいでしか」
「まあ、殿下。……お披露目ですわ。姫様の」
「……あの。仕事をしたから?」
「それもですが……まさか、婚約の申し込みをされていないことは?」
「まあ。あれは、あの場でわたくしを逃してくださるための演技では??」
「……殿下!?」
お姉様が部屋をぱっと出て行かれ、少ししてから別の正装に着替え直したリデル様を……隻眼の騎士らしき殿方に担がせ、連れて来ました。布で片目を覆っていますが、男らしく勇ましい雰囲気の騎士ですわ。
「なんで説明を半端にしたんだよ!!?」
そして、怒っていることも抜きに痺れるような低い声ですわ。けど、怖いが勝ってしまい、素敵とはあまり思えません。
「ディルス、申し込み……はしたが」
「……なら、姫の勘違いは?」
「…………性格だと思うが」
「は?」
「ディー様。それは私も感じてはいましたが」
お姉様が騎士のお名前を親しく呼ばれたあたり……この方が、リデル様の乳兄弟であり、お姉様の婚約者なのでしょう。並ぶとお似合いですわ!! 絵に描いてみたいくらいです!!
「……レイシア姫って言ったか?」
リデル様をぽいっと放り投げたかと思えば、わたくしの前に来てくださいましたが。わたくしは、お姉様の婚約者様ならお兄様だ!と少し興奮気味に見返してしまいます。
見つめられはしましたが、すぐに立ち上がっていたリデル様のところへ行くと拳骨をお見舞いしましたわ!?
「真偽の魔眼で診ても、一切の偽り無しだが!? もう少しきちんと申し込み方法を考えたのか!!?」
「あの場を利用するに、他の方法は?」
「……お前の気持ちは?」
「……い、や」
「リデル!!?」
どうやら、今回はリデル様が全面的に全部悪いようですの??
次回はまた明日〜




