第10話 正式な湯浴み?
リデル様たちから、たくさんのご馳走をいただきましたけれど……。
「今度は、義姉上がご自分を思いっきり洗濯して来てください!!」
「そうだな。片付けは任せてくれ」
などと言われ……その、先程のメイドの方々に運んでいただき。あれよあれよとお風呂場に連れていただきましたが……ワンピースを脱がせたあとは、湯に浸からせられただけ。香油などは渡されずにひとりのメイドから告げられたことがありましたの。
「姫様、殿下からは存分にスキルをお使いになられてくださいと」
「まあ、スキルを?」
「泡と混ぜては、姫様をお綺麗にするのは大変だと」
「……なるほど」
たしかに、全てではないですが。今までの『洗濯』では清浄なものをより一層……はしてきていません。わたくしの傷んだ髪を、存分に洗濯していいのなら!!
メイドの方々に、一旦外へ出て欲しいと告げてから……裸の私は、湯の中で手だけを掲げました!!
『我に纏いつく、穢れ全てを……我が身の前に!!』
どれほど綺麗になるかは分かりませんけれど。あのように、美しい虹を披露する仕事をお手伝いできるのであれば……この身の清浄も整えるべきです。
言祝ぎを高らかに叫べば、わたくしの髪どころか裸全部から細長く汚れの線が流れ……頭上で泥の塊になっていきますわ!? 虹を洗濯したほどではありませんし、ライオス様の時ほどではないですが……ちゃんとして集まったことを確認してから、呼び直しました。
「……ひめ、様??」
そして、わたくし。自分に洗濯をあまり使わなかったせいでしょうか? メイドの方々にも驚かれるほど、汚れが落ちてしまったのでしょう。卑下すべきはスキルの使わな過ぎと、恥じらいを感じました。
「えーっと、この汚れ……いかが致しましょう?」
「そ、そうですね。ひとまず、桶に……これ、そこのを」
「は、はい!!」
女神のようなお美しい方はリーリルさんとおっしゃるらしく、リデル様とは乳兄弟の婚約者様だそうですが。そのように高貴な方が直々に、香油と泡でさらに整えてくださっているのですけれど!?
「姫様。貴女様のスキルのおかげで、虹がさらに美しくなられたとの報告。この目で確認しました。……ありがとうございます」
「……お役に立てて何よりですわ」
少し雑談を交えましたが、どうやらわたくしより少しお姉様のようなので……呼び捨てでいいと言われましたが、是非お姉様と呼ばせていただくことになりました。
スキルを使って、一応はリデル様の婚約者ですけど……ただの洗濯令嬢ですもの。
「まあ、愛らしい! これはクロノ様にもご報告せねば」
髪の乾燥は魔法ではなく、ふわふわのタオルでメイド数人のマッサージ付きでしたが。リーリルお姉様は、リデル様も言っていた特殊な地位のどなたかにわたくしのことを報告されるようです。……クロノ様とはどなたでしょうか??
次回はまた明日〜




