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転生魔王は巡り合う  作者: くま太郎
山での決戦
99/99

お覚悟を

久し振り更新です 待っていた人いますか?

 ホーンの服装は、胸をはだけた真っ赤なシャツに腰履きのズボン。しかも。ポケットに手を突っ込んでいるのだ。

 正直、ダサいです。桜達もドン引きしている。

(服装が平成過ぎないか?)

 ……もしかして勇者の影響なのか?なんか日本が誤解されて伝わっていないか心配です。


「人間、しかもおっさんじゃん。そんな傷だらけになって、だっさ。早く終わらせてナンパ行きたいんだよね」

 気怠そうなあくびをするホーン……魔王軍にいたら、秒で鉄拳制裁していたと思う。

 でも、今は分かる。彼は、あれが格好良いと思っているんだ。


「魔力からすると中級魔族……子爵家辺りの縁戚。そこの次男か三男ってとこか。」

 理由は簡単。直系の子弟はちゃんとした教育を受けてる。何より貴族はプライドが高い。異世界の人間と召喚契約を結ばないと思う。


「う、うるせえ!血筋がなんだ。男は強けりゃ良いんだよ」

 いきりたい気持ちは分かるけど、多分二十歳超えているよね。流石にきついぞ。


「喧嘩の強さを自慢して良いのは、中学生までだぞ。良い仕事紹介してやるから、向こうに帰れ」

 まだやり直しがきく年だと思う。肉体労働で汗を流せば、モヤモヤも消えると思う。


「はん!おっさんの説教なんて聞きたくないんだよ……どうせ、俺様に殺されるんだからな」

そう言いうと同時にホーンの爪が伸びた。ホーン姓なのに爪。よく見れば角も短い。


「いきるのも良いけど、相手との実力差が分らねえと……死ぬぞ」

 骨喰みを振い、ホーンのロン毛を斬り落とす。流石は中級魔族、髪の毛だけでも充分な魔力だ。


「ま、魔力が吸い取られた!?魔道具並みの武器を持っているなんて、お前は?」

 ホーンの顔に焦りの色が浮かぶ。やっぱり、源先生はちゃんとした契約を結んでいなかったんだな。

 そして魔道具と気付いたホーン君は偉い。魔王様が誉めてあげます。

(才能ある若者が腐って、不利な契約を結ばされている。向こうに戻ったら法整備をしないとな)

 副追さんに頼んで法律家を紹介してもらおう。召喚制度にもクーリングオフを導入するのだ。


「こいつは骨喰み、斬った相手の骨を喰い魔力を吸い上げるのさ。先生が、何回も召喚してくれたから、向こうと繋ぎやすくなったぜ」

 骨喰みを地面に突き刺し、溜まった魔力を一気に解放する。


「し、召喚陣が上書きされた?お。お前等、早くそいつを殺せ」

 源先生から余裕が消える。でも、もう遅い。


「け、結界?さっきまで普通に攻撃出来たのに?」

 サーキャズムの矢が甲高い音を立てながら地面に落ちていく。一時的に人間に戻っていたとは言え、俺は魔王だ。お前等を倒す事は簡単である。


「さーて、来やがれ。バージョ!ブラッド、飛べ」

 俺が召喚したのは、ケンタウロスのバージョ。魔王軍陸軍軍団長で、並の魔族では束になっても勝てない。


「王よ、会えて嬉しいですぞ……ジャント様に喧嘩を売るとは、良い度胸だ。ブラッド、避けろ」

 バージョは、そう言うと一気に坂を駆けあがっていく。でかい戦斧が煌めく度に、血飛沫が飛ぶ。


「あれだけいた仲間が全滅……嘘だろ」

 グリーグは未だに信じられないらしく、口をあんぐりと開けていた。


「ブラッドも全滅させる事は出来たけど、後ろにいる生徒も巻き込んじまうからな。それで……」

 唖然としているグリーグ達の脇を駆け抜ける。戦地で油断は命取り。新生魔王軍は、こんな基礎も教えていないのか。

 だから、簡単に首を取られるんだ。


「ホーンとグリーグが一太刀で……サーキャズムさん、私を守って下さい」

 必死にサーキャズムを探す源先生の前に何かが落ちて来る。それはサーキャズムだった者のなれの果て。

 飛んで逃げようとした所をブラッドに捕まったのだ。


「魔王ジャント様に軍団長が二人も揃っているんだ。大隊でも足りねえぞ」

 バージョが源先生を睨みつける。蛇に睨まれた蛙状態で、動けなくなる源先生。

(今のうちにサーキャズムの死体をアナライズして……お、あった)


「ブラッド、バージョ。人化の魔法掛けるぞ」

 サーキャズムが使っていた人化魔法を二人に掛けておく。この場に吸血鬼とケンタウロスがいたら、大騒ぎになるのです。


 ……部下だけど、言いたくなる。お前等ずるくないか?


「ここが王の転生した世界ですか?話に聞くと美味い酒が沢山あるとか」

 人化したバージョはイケメンなイタリア人って感じだった。こいつ、ザルなんだよな。居酒屋からバーで満足してくれるだろうか?


「主、ナツゾラ様達が来ますぞ。これで主もネングの納め時というやつですな」

 ブラッドは美形なドイツ人って感じになっている。何で、俺だけモブ顔なんだよ。


「年貢の納め時……良く、そんな言葉知っていたな……あっ」

 フェスティ、また会えて嬉しかったよ……俺、確かに言ったよな。

(どうしよう?いや、夏空さんも何の事か分からない筈)

 奇跡的に聞いていなかった可能性もある訳で。


「慈人さん、大丈夫ですか?それと聞きたい事があるんですけど」

 なんでしょう?今朝のご飯かな?それとも元カノ事とか。


「ま、まずは山を降りましょう。源先生、死にたくなければついてきて下さい」

 だって背後から殺気を感じるんだもん。狙われているのは俺達じゃなく、源先生。


 うまく誤魔化せた。そう、思ったんだけどな。

 気付いたら、石畳の上にいました。

(そうか。夏空さんも師匠の信者になったんだよな)

 それなら召喚出来るよね。


「し、慈人さん、ここはどこなんでしょうか?私達、山にいた筈ですよね?」

 俺知っています。ここは女神クレエの神域。上級天使でも、許可なく立ち入れない聖域。


「そこのキングオブへたれ。お前だよ、お前。まさか、ここまでチキンなんて思わなかったわ」

 つまり、ここには師匠がいる訳で。そんなでかい溜息を漏らさなくても。


「私、あの方を知っています。遠い日に、お目に掛かった記憶があります」

 不味い。神域の影響で、フェスティの記憶が戻りつつある。このままじゃ、夏空さんの脳に負担が掛かってしまう。


「少し昔話をして良いですか?」

 覚悟を決める時が来た様です。


遅れた理由は活動報告に書いてます

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― 新着の感想 ―
[良い点] 師匠が、いい加減にしろよ!!とか思ってそう……
[一言] 更新待ってました! 格好つけて告白したのが悪いかとw
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