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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫ 【呪詛の鐘の章】  作者: 中一明
ジャパン・クライシス
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空は海を羨みながら海は空を羨む 4

最新話の後編になります。今回は少しつまらないかもしれませんね………。


 勿論そんな簡単には鍵を貸してもらえるわけが無く、万理の泊っているマンションの管理人から「無理」の二言を突きつけられてしまう。

 朝比姉が警察だと言って入ろうとしたが、謹慎処分中にそんなことをすればどんな処分がやってくる変わらないとマンションの玄関前で俺と朝比姉が醜いやり取りを繰り広げていた。

 万理の家が調べられないのならもう手掛かりは途絶えたのではないかなんて考えていると、俺達の目の前に俺の母さんである『恵美』が現れた。

「どうしたの?こんな所で、朝比まで一緒になって」

 朝比姉の渾身の営業スマイルで懇切丁寧に説明しており、母さんは手術が無事終わり万理はこれからが山だと言われており、今日一日は油断ならない状態が続くらしい。

 そう言う事もあり、俺達は手伝うと言いながら万理の部屋に入る事に成功した。

 万理が住んでいるのはマンションの五階の一角の万理の名前が書かれたドアの前に辿り着き、母親が部屋のドアを開けると目の前にフローリングの廊下とリビングやトイレやお風呂場へのドアが左右と正面に存在し、俺達は正面のリビングの扉を開けてリビングへと入っていき、フローリングと木をイメージした机と椅子小さなテレビとはしごを昇って上にはベットが置いてある。

 母さんとジュリ、キャシーと朝比姉とマリアが下着から服などを集めている間に俺とレクターは本棚を調べ始める。

 日記を覗くのは流石に躊躇われたが、日記を調べるのが一番手っ取り早い。

 日記には母さんの独り言を聞いたことを切っ掛けに俺が生きているかもと思い始めたこと、父と母の遺品を調べているときにおかしな空白がある書類を見付けた事も、メールも消されているモノを見つけ出した。

 そして呪詛の鐘と呼ばれる道具の存在には警察関係者に事情聴取を受けた際に話を聞いたそうだ。

 どうやら警察関係者も『呪詛の鐘』を探していたらしく、本人はその時怖くてそれ以上聞けなかった。

 しかし、後になって両親が呪詛の鐘なる道具を所持していたことは直ぐに分かり、一人で調べていたみたいだが、やはり見つからなかったらしい。

 母親の失踪と同じタイミングで自殺が本格的に始まり、十一月頃に同級生で集いがあった際に風邪を引いたというのは真っ赤な嘘で何か嫌な予感がしたのが理由だったらしい。

 実際問題が起きた。

 翌朝警察から『同級生が自殺した』という話を聞いた際は心の奥からゾッとし、警察相手に嘘を吐くのは気が引けたが、本当の事を話して疑われるのは嫌だったので嘘を吐いたらしい。

 本当はバス事故の現場を見て回っており、事件現場に呪詛の鐘を調べた痕跡は全てなくどこにも存在しなかった。

 結局の所で『呪詛の鐘』を見付けることは出来なかった。

 王島聡がどこに関わってくるのかは分からなかったが、どうやら万理と王島聡に関連性は無かった。

 では、どうやって王島聡は『呪詛の鐘』を手に入れたのか。

 万理だけではない。

 警察や自衛隊すら手に入れられいない呪詛の鐘はいまだに見つかっていないらしい。

 俺達が日記などの本を本棚に返すと同時に着替えを持ってきた女子メンバーと共に万理の家から出ていくと、母さんをそのまま病院まで送り届けた状態で俺達は後ろからの追跡を確認したのはレクターであった。

 その後すぐに俺とキャシーが追跡に気が付き、その後に朝比姉が気が付くことが出来た。

 俺が曲がり角でミラーを使って角を確認するとスーツ姿の男女のペアを見つけ出し、こちらを見ながら一定の距離を取って追いかけてきており、俺達は病院病院への帰り道の途中でこそこそと話し始める。

「警察関係者じゃないよね?朝比姉?」

「ありえるかもね。呪詛の鐘っていうのを上は随分気に掛けているらしいし、よっぽど手に入れたいみたいね」

「どうやってまく?正直に言えばソラのお母さんがいる限り撒くのが難しいような気がするんだけど。それにジュリとソラのお母さんとマリアは気が付いていないよ」

「レクター先輩だけで何とかできませんか?」

「え?倒すのOK?」

 レクターの物騒な一声に俺は「駄目」とアッサリ返す。

 レクターは頬を名一杯膨らませ、俺達はどうしたものかで悩んでしまう。

 警察関係者か自衛隊関係者だろうことは難しくない。

「多少荒っぽい方法しかないような気がしますけど。このままつけられても困りますし……」

「でも、ガイノス軍が監視している場所まではついてこないだろ?朝比姉はどう思う?」

「そうね。付いてこないと思うけど………でもそれで諦めるとは思えないわね。そもそも、狙いが分からないわ。私達が『呪詛の鐘』を持っていると疑っているのか。それとも、その情報が欲しいのか」

「その両方じゃない?」

 レクターの言う『両方』という意見に俺はすんなり頷くことは出来そうにない。

 どちらかではあるだろうが。両方ではないだろう。

「突っ込んでよ!嘘ついているんだからさ!」

「叫ぶな。バレるぞ」

 俺の返しにみんなが一斉に後ろを見るとそこには相も変わらずついて回っている二人組が存在している。

 さっきのやり取りでバレたと気が付いて帰ってほしかったが、残念ながら聞えなかったらしい。

「捕まえて尋問した方が速いと思うに一票」

 なんて言っていると後ろから悲鳴が聞こえてきたのをきっかけに全員が後ろを振り返り、俺とレクターが走り出し路地の角を曲がるとそこには血だらけの二人の男女と血塗れの刀を握る鎧武者が存在していた。

 刀を片手に握り赤と金色で装飾された和の鎧、顔はマスクで覆われており見えてこないが、俺にはそれが誰なのかがよく分かっている。

 緑星剣を呼び出して雄たけびを上げながら俺は突っ込んでいく。

「海!」

 緑星剣を海目掛けて振り下ろすが、海はそれをステップで回避しそのまま刀を水平に斬りつけてくる。

 俺はそれを緑星剣で受け止めながら頭突きを海の頭にぶつけ、海はよろけながら後ろに数歩下がり、俺はそのまま海の頬目掛けて殴りつけてくる。

 足払いを決めてそのまま鳩尾目掛けて蹴りつける。

 踏ん張るだけ踏ん張り、海は鋭い睨みをマスク越しにも俺の方に向けてくる。

 すると、鐘の奏でる音が聞こえてくると同時に海の全身からオーラのような青い何かが見えてくるが、そのオーラが鎧や刀に吸い込まれていくとその姿はまるで異形の姿に見えてきた。

「ナンデ………ですか?僕は…こんなにも………苦しんだのに!?」

 吐き出される憎しみ。海は跳躍と同時に俺の腕に蹴りつけてくる。俺の全身に星屑の鎧が出現し、俺は憎しみを受け取り俺自身の想いをぶつけるべきかどうかで悩んでしまう。

「その憎しみは……お前が背負わなければならないことなのか!?」

 俺は剣を捨てて殴りつける。

 しかし、海は俺のへの殺意を更に高め、刀を強く握りしめて思いっきり振り下ろし、俺は目の前まで迫ってくる刃を白羽取りで受け止める。

「海!………お前は!?」

「先輩には!………お兄ちゃんには分からない!俺だって………家族が欲しいんだ!!」

 海が漏らすある意味本心ともいうべき言葉を前に、俺は力を大きく抜いてしまい、刀を掴んでいた力が緩んでしまいそのまま刀が俺の方に力強くぶつかる。

 大きくよろけながら後ろによろけそうになり、大きく膝をつきながら俺は視線を前に向けると海の刀を受け止めるキャシーがいた。

「あなたの力………思いや憎しみ、悲しみと愛。それは……その力の使い方はあなたが望むことですか?」

 海は途端に苦しみながら大きな雄たけびを上げて去っていく。

 キャシーの言葉の何に反応しているのかがよく分からないが、どうやらキャシーには海の『何か』が気が付いたらしく、彼に対してどこか想いを馳せているようにも思える。

 俺にはそれがよく分からなかった。

 海が何を望み。

 海が何故戦うのか。

 俺に対して何を望んでいるのか。

「教えてくれ………キャシー。俺は海に何がしてやれるんだ?」


今回は事件を調べる回という事で、正直解説と最後に少しだけ戦闘が入りますが基本的には万理の行動を探るお話になります。次回はソラが海と戦う理由を探すお話になります。海が何故ソラと戦うのかを探すお話になります。では次回お会いしましょう!では次回!

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