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80.『ダリルさんモード(偽)』

空を自由に飛びたければ、騎士団の練兵場をオススメします。

はい、いつもは飛ばされている側の、アーサー君です。


えーっと現在、俺の目の前には、ディボの護衛が5人木剣を持って、殺気立った表情でこちらを睨んでおります。


何が始まったのかと、周囲の騎士さん達が集まってきまして、ちょっとしたイベントみたいですね。



「さて、どちらかが戦闘不能ないし、まいったと言うまでが勝負です。

魔力強化は構いませんが、攻撃魔法の使用は禁止、これは純粋に剣の腕を見る立合いですからね」


俺がそう言うと、それに合わせるようにミレイア様が口を開きました。



「ちょうどいいわ。この者達が私の指南役の資質に、疑義を申し立てた。

見た通り、少々手合わせをする事になったわ。貴方達が証人になりなさい!」



木刀を地面に突き立てて、それに両手をのせたミレイア様は、ギャラリーと化した騎士達に向け、そう言い放ちます。

その声を聞いて、騎士さん達は歓声を上げたり、中には笑っている人もいますね。


その声の中には、俺を心配する内容がないって事は、素直に喜んでいいんでしょうかね?


あっ、中には何秒で倒すか、賭けまで始まりましたよ?



周囲の異常な盛り上がりと、自分達を非難する声が一切聞こえない状況に、ディボの護衛達は戸惑っているみたいですね。

護衛をけしかけたディボ本人も、少し不安げに周囲を見回しています。


うん、もう遅いから……



「それでは、立合いを開始します!」


騎士さんがいつの間にか審判役のように出てきまして、開始の合図を下しました!


ようやく気を取り戻したのか、再び殺気を俺にぶつけてきた護衛達は、最初に筋肉ダルマが俺に仕掛けてきます。

ですが、いちいち相手にするのは面倒なので、ここはモードを切り替えまして、一気に片付けますよ。


いや、決して描写が面倒とか、そんなことはありませんからね!



俺はニヤリと笑って、木刀に魔力を通しました。

物を切断する時は極限まで先端を薄くして振り抜くのですが、今回は棒状というか刃先を丸めた魔力を、一気に開放してやります。


横薙ぎに払った一閃は、的確に筋肉ダルマの胴体を捕らえ、後方に吹き飛ばしました。


ええ、モード切り替えって言いましたけど、今日は『ダリルさんモード(偽)』でサクッと蹂躙してあげましょう!


やや遅れて動き出していた残りの護衛は、いきなり吹き飛んできた大質量の筋肉ダルマをよけきれず、ドカンと衝突してしまいます。

陣形もクソもなくなって、混乱している彼らの懐に、俺は素早く飛び込むと、笑いながら一人ずつ仕留めていきます。


魔力強化を施した一撃で、ある者は上空高く打ち上げてやり、もう一人は練兵場の壁に突き刺します。

筋肉ダルマの直撃を受けた2人は、まだもがいて脱出できていませんので、邪魔な筋肉ダルマを蹴り飛ばし、それから美味しく頂きます。

一人は木剣を折り飛ばしてから、フルスイングで吹き飛ばしてやります。


そして最後の一人は、首筋への一閃で意識を刈り取った後、回し蹴りでディボの方向へ蹴り飛ばしてやりました。


ズサーッ!と、転がってディボの足元に転がった護衛は、ピクピクと痙攣しておりまして、青い顔でディボが表情をなくしていますね。


うん、正直いい気味ですが、俺は今『ダリルさんモード(偽)』ですから!



俺は手早く護衛達に回復魔法をかけてまわり、そのキズと意識を回復させてやります。



「さあ、楽しませてもらおうか。辺境伯家の護衛がどれだけ粘れるか、見せて頂きましょう!」



俺が笑いながら手招きすると、全員が呆気にとられた顔を浮かべていましたが、言葉の意味を理解した途端、猛烈な殺気を出し始めました。


うん、それでいいんですよ。そうでないと、楽しめませんからね。

さて、眼の色が消えるくらいまで、楽しませてもらいましょうかね!




…………3回ほど蹂躙を繰り返しましたら、すっかりレイプ目になりまして、いい具合にプライドがズタズタになったみたいです。


本来ならここから更に追い込みをかけまして、騎士さん達と同じように『教育』が始まるんですよね。

ですが、ディボの護衛にそこまでして、わざわざ塩を送る気はさらさらありません。


なので、最後の回復もギリギリ動ける程度に、わざと浅くかけてやります。

これでしばらくは、動くだけでも激痛が走るでしょうね。



「さて、これでもまだ資質について、疑いがありますか?」



俺がディボに向けてそう言い放つと、あいつは真っ青な顔のまま、何も言わずに、練兵場からいなくなりました。


ふと見れば、ミレイア様はニヤニヤしながらこちらを見てドヤ顔してますし、騎士さん達は賭けの対象になった秒数について、何やらもめている様子です。



「ほう、打ち合わせに行っている間に、何やら面白そうな事をやっていたようだな……」



ビクッっとして振り向けば、いつの間に接近したんでしょうか?

本家ダリルさんが、ニヤニヤしながら周囲の様子を眺めているではないですか!



「貴様ら!騎士たる者が、何を小金の配分で揉めているか!

いいだろう、貴様らには『教育』が足りないようだな……」



ああ、騎士さん達……とんだとばっちりですね。


ですが、ここ数日で随分と鍛えられたんでしょうね。冗談めかした悲鳴は上がりますが、最初の頃に比べれば、本気で絶望的ってな表情ではなくなっていますね。



「おい、アーサー。今は姫様の稽古中だろう。ここ数日で随分と腕を上げたようだな。ついでだ。一緒に揉んでやる」



おお、ダリルさんが一見しただけで、ミレイア様の上達を見抜いたみたいですね。さすが変態!



「だ、そうですよ?実戦の勘を養うには最適だと思いますが、どうしますか?」



俺がそう尋ねると、ダリルさんに負けず劣らずの獰猛な表情で、ミレイア様がにやりと嗤いました。


「私が、こんなチャンスを逃すと思う?」


……ですよねー!


そういう訳で、俺とミレイア様は魔力強化を施して、全力でダリルさんに向けて駆け出しました!



……結果? ああ、いつもどおりボコボコにされましたが、何か?







さて、稽古が終わり俺とダリルさんは、部屋に戻ってダリルさんが騎士団の稽古を抜けて行っていた、打ち合わせの内容を教えてもらいました。



「ああ、証拠は揃った。デレクが陛下のお耳に入れ、裁可を頂いた。

明日の夜、同時に踏み込んで捕らえるそうだ」


「なるほど、俺達はどうするんですか?」


俺がそう言うと、ニヤリと笑ったダリルさんは、茶を一口飲んでから、ゆっくりと口を開きました。



「俺達は黒幕の『例の証拠』を、この目で確認しに行かなければならんからな。用意しておけ」


ええ、ダリルさんならそう言うと思いましたよ。

というか、この状況でダリルさんをハブったら、騎士団が壊滅させられますからね。



「行動が気取られぬように、明日は直前まで目立った行動はしない。お前も普段通り姫様に稽古をつけろ」



明日もどうやら、忙しくなりそうですね……


晩餐会は明後日です。

このまま何事も無く、無事に済んでくれればいいんですがねぇ……


話の流れ的に、短くてごめんなさい!

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