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やりこみ好きによる領地経営~俺だけ見える『開拓度』を上げて最強領地に~  作者: 空野進
2.1.腹ぺこ聖女と元聖女見習い

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9.痺れキノコ

「ごーはん、ごーはん、おいしいごーはんー♪」


 シロが楽しげに歌いながら、後を付いてくる。

 その口にはどこで拾ったのか、薬草が咥えられていた。


「やっぱり草はイマイチだね。晩ご飯が楽しみかも……」

「……晩ご飯は字のごとく夜だぞ?」

「夜…… 。そこまでお腹持つかな……」


 お腹をさすりながら、小声で不安を呟く。


「頑張って耐えてくれ。用事が終わったらすぐに領地へ戻るからな」

「領地に戻ったら、たくさんのお食事が待ってますよ」


 クルシュが笑顔で手をあわしながら言うと、シロが目を輝かせていた。


「食べ物!? わかった、私も手伝う! 毒草を探せば良いんだね!? 任せて! こういうのは得意なんだよ!」


 聖女見習いだったクルシュに『採取』スキルがあったように、もしかして聖女であるシロにも『採取』スキルがあるのだろうか?

 それなら、ここは任せても良いかもしれない。

 ただ、本当にシロが毒草のことをわかっているのか不安になったので、一つ質問を投げかけることにした。


「ちなみに、聖女はどういうものが毒草なのか分かっているのか?」

「もちろんだよ! 食べられない草が毒草!」


 当然のごとく言い切ってくる。

 それを聞いた瞬間に俺は頭が痛くなってきたのだった。


 実際に毒草を探し始めてからも、シロは楽しそうに鼻歌を歌っていた。

 その楽しげな様子を見ていると不安しか残らなかった。

 そして、その不安はすぐに的中することとなる。


「わわっ、おいしそうなキノコを発見! いっただーきまーす!!」


 突然、木陰には得ていたキノコを口にしようとする。

 しかし、俺の水晶にはそのキノコの種類がはっきりと浮かんでいた。


【名前】 痺れ茸

【品質】 D[キノコ]

【損傷度】 0/100

【必要素材】 C級魔石(1/10)

【錬金】 D級キノコ(0/20)→痺れ薬(D級)


「待て待て! それを食ったら痺れて――」

「あうぅぅぅ……、ビリビリしますぅ……」


 既に手遅れだったようだ。

 俺は思わずため息を吐いてしまう。


「わわっ、だ、大丈夫ですか、シロちゃん!?」

「だ、だいじょうぶらないよぉ……」


 既に舌も回っていないようだった。

 俺はカバンの中から回復薬を取り出す。


「これで大丈夫か? ……いや、キノコの痺れなら万能薬の方が良いのか?」


 ただ、さすがに万能薬は持ってきていない。

 仕方なく、ランクが低くても構わないので、毒草を拾う。

 そこから万能薬を作り上げると、大慌てでシロに飲ませる。

 いや、痺れてまともに飲めないようなので、顔に掛けているだけになっている。

 しかし、それでもすぐに痺れが収まったみたいで、すぐに謝ってくる。


「ご、ごめんね……。助かったよ……」

「あ、あははっ……、気をつけてくれよ。まぁ、大抵の事は聖魔法でどうにかできると思うけど……」

「聖魔法で? 自分を爆発させるの?」

「……爆発? えっ?」


 思わず聞き返してしまう。

 聖魔法はどちらかと言えば、回復系のイメージが強いんだけど、違うのか?


「えっと、シロちゃんの聖魔法は特殊なんですよ……。基本攻撃魔法です……」

「あははっ、一撃粉砕だよー」

「それのどこが聖女なのよ!? どう見ても魔法使いじゃないの!」


 ラーレが思わずツッコミを入れてしまう。

 うんうん、その気持ちは良くわかる。

 俺自身もそのツッコミを入れたかったほどだ。


「クルシュ、本当にシロは聖女なんだよな? 間違いないんだよな?」

「えっと、……はい。 間違いないのですけど、本当に昔から変わっていないのですね……」


 クルシュも苦笑を浮かべていた。


「あんな子が聖女だなんて、本当に大丈夫なの? 頭がおかしいの? 馬鹿なの?」


 ラーレと全く同じ事を俺も思ってしまった。

 すると、クルシュは遠い目をしながら言う。


「ああ見えても、魔力は見習いの中で最高でしたので……」


 なるほど……。聖女の任命自体も魔力で決めているのなら納得だ。

 確かに魔法の威力自体は圧倒的だった。

 それなら本人の聖女の適正等は関係ないのだろう。


「大変な目に遭ったよ……」


 シロは冷や汗を流しながら、川から汲んだ水を飲んでいた。


「その辺の草を拾い食いするからよ」


 呆れ口調でラーレが言っていた。


「うん、反省したよー。これからはなるべく美味しくない草は食べないようにするね」

「なるべく、じゃなくて食べたらダメよ!?」


 ラーレが思わず口を挟んでいた。

 すると、そんな彼女を窘めるようにシロが言ってくる。


「人間はものを食べないと死んでしまうんだよ、猫ちゃん」

「ね、猫じゃないわよ!? 私はラーレよ!?」

「ラーレちゃんだね。じゃあ、これから猫ちゃんと呼ぶね?」

「どうしてよ!? 私はラーレって言ったでしょ!?」

「ほらっ、猫ちゃん。またたびだよ」


 シロがどこから持ち出したのか、毒草をラーレに近づけていく。


「にゃー。って、違うわよ!? それに、それはまたたびじゃなくて、毒草じゃないの!」

「似たようなものだよね?」

「全然違うわよ!?」


 ラーレは 少し息を荒くして、顔を真っ赤にしながら反応していた。

 ただ、シロの方は平然と顔色ひとつ変えずに、淡々と答えていた


「まぁまぁ。二人とも、漫才はその程度にしてくれるか? ここはちょっと危険な森だからな」


 さすがにこのまま続けさせるわけにも行かないので、注意をする。

 すると、シロはあっさり引き下がる。


「うん、わかったよ」

「ま、漫才なんてしてないわよ!?」

「あ、あははっ……」


 薄暗い森の中で楽しい会話がひびきわたっていた。

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『滅びの魔女の謀(はかりごと)』

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