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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
49/93

49.予想通りのさきに

本日も何とか頑張って3話です

1/3


 まずは、予想通りが続く。


「戦車、正位置」


「戦車、正位置」


「戦車、正位置」


「戦車、正位置」


 二人目の時点で、あれ?って顔をしたのはおかみさん。

 三人目のタイミングで私も?って顔をした先輩女給。

 四人目に至っては、首をコテンとかしげる始末。


 フフッと、予想通りの展開に笑みをこぼしたが次の瞬間、――新しいカードに、息が止まった。


 慌てて、唾を飲み一拍遅れて声が出た。



「――月、正位置」


 一瞬、お店の中がざわつく。


「戦車、正位置」


 え?私だけ違う?と、驚いて口をパクパクさせるのはさっき質問をしてくれた女給さん。


 六人分をこうして占っていて、ふと違和感を覚えます。

ゆっくり周りを見回してみて気がつく。

女給さんを占っているはずなのに、何故か紫乃さんがニコニコ笑顔でこっちを見ていた。

そこで初めて紫乃さんがカードを引いていない事に私が気づき、その顔をみて周りの女給さんも気がつきます。


「私は後でゆっくり占って貰えばいいからねぇ?」


 そんな手があったのか、と、いま占いをしている女給さん達が紫乃さんに詰め寄りますが、紫乃さんは気にする素振りもなく、くいくいっとカードの答えを教えて欲しいという顔で説明を促します。

 たまたまでしょうけど、今の会話を皮切りに、賑やかな空気が部屋を包みはじめたのですが、そんな中一人だけ空気の波に乗れない人もいた。


「予想通りと、――予想外がありましたが説明をそろそろはじめても?」


 穏やかに、でも焦りを見せないように努めて言葉を発すると、空気感はそのままに場が静かに。

 そして、私の言葉を皆さんが待ってくれる状態になったので、説明を始めます。


「まずは、4枚……いえ、5枚の戦車について、です」

「そうそう、最初に22枚のカードを見せてくれたのに、なんで同じカードが出たの?」


 もっともな疑問を一人がすぐに投げてくれたので、答えましょう。


「先に言いましたように、ちょっとしたマジックで占いをしたのです。大将とおかみさんがお店の事を占った時と同じように、今のみなさんが抱えている悩みや思っている事を占う形にしてみたので、それで同じカードが連続して出たという事です」


 私の言葉に大きく頷いたのは、おかみさんと紫乃さん。

 そういうものかと言われてしまえば、何も言えないと口を噤むような顔になってしまった先輩女給さんにも言葉が届くといいと思いながら、話を続けます。


「で、5枚の戦車。いえ、戦車のカードの意味ですが、見てわかる通りに前進や進むという意味があります。迷う暇があるのであれば突き進め。その道に違いなし。恋愛事でも同じように、間違いはなし。と、考えてよいモノです」


 私の言葉に頷く女給と眉を顰める先輩女給。


「そして、仕事や決断に至っても、迷わず進め。その先に栄光を勝ち取れるという意味です」


 私としては、全員がこのカードになるのではないかと予想していたので、予想外の月の話もしたい所ではあるのですが、まずはこの5人を安心させたいので、もう少し説明を続けます。


「皆さんが見てわかるように、同じ意味をもつ戦車のカードですが絵柄が微妙に違うのは、仕事について考えていたり、恋愛について考えていたり、このままでいいのか考えていたり、占うものが各自ズレていて、それが絵柄の違いです。下が馬であったり、馬でなかったりするのはそういう違いですから、同じカードと思って頂いて問題はありません」


 5枚中2枚はスフィンクス、ほかの2枚は馬が引く戦車で、乗っている狐人の表情や凛々しさも微妙な違いが個性を引き出します。

 更に少しだけ面白いのは、一人だけ全く図柄が違い、何故か97式戦車から敬礼をする狐耳の兵士が描かれたカード。


「私のだけ本物の戦車っていうのは?」


 流石におかしいと感じたのか、確認をしてきたのでそっとそのカードを右手で持ってみると、ほんのりと移ってくるのは温かい気持ち。


「そうですね、あなたの場合は引っ張って貰うような力強さではなく、自分がそのまま今のまま突き進むべきという心意気までカードに現れたみたいです」


 この温かい気持ちは人のふれあいの中で慈しむべきもの。でも、迷いや恐れもあってがっちりと覆いたい気持ちもあるのでしょう。あまり大きな声で言うと恥ずかしがると思ったので、そっと近寄って耳打ちをする事に。

 私はカードを持ったまま彼女の耳元へ。


「昨日の、あの人で間違いありません。……強い気持ちで、進んでください」


 私の言葉に驚いて、バッと身を離しブンブンと首を左右に振りますが、その顔はみるみる真っ赤に。

 守ってくれた軍人さんに一瞬で惚れるなんてことこの時代はよくある話ですが、それもまた一つの運命。波に乗るわけではありませんが、変に気持ちを抑えるべきではありません。


 その様子に、周りからは、『ああ』という温かな息がもれる。その空気を包み込むように、納得したように微笑む人が一人。


「ウチで働くみんなは、私がしっかり選んでいるからね。そのぐらい強くて当たり前。納得の結果だよ」


 おかみさんの言葉に大いに納得をしたみたいで、頷きが。


 後は、想定外だった月のこの人……。

カードからもう少し彼女の思いを汲み取るうちに、――夜の帳が、静かに降りてくる。



タロットカード占いの奥深さが凄いです。

一つのカードで表と裏と、更に奥と手前が(笑)


占いとかってどうしても心が弱い人間な私には縋りたくなるような誘惑を持っているのですが、頼り過ぎてはよくないと理解していて、結果……もう見ない(笑)


0か100かみたいな感じで、あえて0を選んでいるつもりです。

でも、こうやって大安の日とか言ってるのでそれもうまく出来ているか怪しいものですね(笑)


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