40.昼の終い、夜のはじまり
1/3
頑張ったよぅぅぅ
眼鏡の人を占ってしまい、休憩時間が有耶無耶に。
ありがたい事に占いを始めてしまえば何も言わずに列が出来、静かに並ぶ男性客達。
少しばかり離れた位置から心配そうに「大丈夫か?休むか?」という視線を親方さんが寄越してくれましたが、一段落はついていたのもあって「問題ない、このまま占う」と私も視線で返すと、ニコっと笑って片手をあげて親方さんも仕事に戻ります。
「では、次の人どうぞ」
あの後もなかなか面白い人達が占われに来てくれて、総じて言えば賑やかな午後を過ごすことが出来たのですが、列の人達の人相が少しずつ変わって来て、今までは歩いている人達や占いを一緒に見ていた人達だったのですが、今日の仕事が終わった大工さん達が少しずつ増えて来て、建築資材の影がかなり長く伸びていて、ソロソロ次の仕事に行く時間が迫ってきていることに気がつく。
「さてと、列をなしているお客さん達には申し訳ありませんが次のお客さんまでで本日の占いは終わりですかね」
もう少し早めに伝えた方がよかった気もしたのですが、私の占いのスキルというか腕というか、少しずつ良くなっているみたいで、初めの頃は一人十分前後かかっていた占いも今では五分前後で終わる事も。
まあ、占って貰いたい内容によっては時間も掛かりますし、何よりも休憩時間が終わって少ししてからぽつぽつとうちの子達が散歩を終えて帰って来ているのもあって、力も多少増えているのか時間が読めないのも仕方ないというか。
「だったら俺は運がよかったな。よっしゃあ、タエさん。是非この後の俺の願いを占ってくれ」
「お願いですか?」
なかなか面白そうな占いになると帰って来ているうちの子達がざわめきますが、どうやらもっと直球的な意味だった模様。
「おう、タエさんこの後一緒に食事でもどうだい?」
「それは、お願いというよりお誘いですか?」
「おう。ちゃーんと順番も守ったし、占いだってしてもらうつもりだが誘うぐらいはいいだろう?」
昼間の時もそうですし、親方さん達が目を光らせてくれているのもあって変なお誘いは今までなかったのですが、彼はちゃんと今日の分の仕事を終えて列に並び、占いをして欲しいと席について、順番も守ったうえで私を誘ってくれたわけで。
「占いの方は置いておくとして、お食事に関してはすみませんができかねます」
「それは、昼間のあの男が居るから……か?」
「昼間の、あの男?――あー、いえ。この後もお世話になっている人の所で女給さんをするので、時間が無いだけですよ」
「「「えぇ、タエさんが女給!?!?」」」
そんなにおかしなこと言ったつもりはないのですが、驚き過ぎた目の前の客はがばっと私の両手を掴み、焦って慌ててその手を離し、それを見ていたまわりの大工さんに頭をスパーンと引っ叩かれます。
「ええ。洋食屋さんで」
洋食屋さんの話をした途端に、頭の中は色々な洋食が浮かび、それに反応したうちの子達が思わず尻尾を出してしまいますが、スカートの中だったみたいで慌てて消してもどうやらバレていない様子。
「おい、洋食屋だと……」
「今日は手持ちが……」
「クソッ、昼飯にいいもん食うんじゃなかった」
周りの大工さんがおもむろに自分の財布を開き、手持ちのお金とどうやら相談を始めたみたいですが、笑顔になったのが目の前のお客さん。
「じゃ、じゃあ。お店まで……って、場所がわからねぇけど案内ぐらいはさせてくれないか?勿論店に入って、ちゃんと注文もする」
「えーっと、今は占いのお客さんですけど、洋食屋さんでもお客さんをしてくれる?という事です?」
「おうよ。タエさんのお近づきになれるなら、そのぐらいなんてこたぁねぇ」
「占いは、それでしたら今日はしないでいいという事ですかね?」
「金を返せなんてケチな事は言わねぇ。店までの案内賃って事でとってくれて構わねぇ」
それだと私としてはお金を貰うわけにもいかないので、ヒイラギの葉っぱを一枚ちぎって、ちょっと強めにギュッと握る。
彼は願いを叶えたいとさっき言っていたので、直接的に「願いが叶う」という御守りも悪くない気がしますが、それはちょっと強すぎる力。
似ているけど、少しズレそれでも願いを続けられるように私が込めた力は「願いに向かって走り続けられるようになる」御守り。
「占いはしていませんが、先程願いを叶えたいとおっしゃっていたので、望みが叶う御守りというのは流石に難しかったので、願いに向かい続けられるような御守りにしてみました」
パッと開くと今までは白い御守りだったのですが、どちらかと言えばこの御守りはストライプ。白と黒が交互に入り夕日に近い日差しが反射すると白が奇麗に輝きます。
「これ、いいのか?」
「ええ。占いはしていませんが、御守りだけでも」
そっと手渡すと、両手で御守りを彼が受け取り恭しく頭を下げます。
そして、彼はその動きを自然にした事で何か感じたみたいで一歩だけ後ろに下がった後ハッとした顔に。
「どうかしましたか?」
「いや、タエさんを店まで案内させてもらえることが嬉しくてな」
「では、お願いしましょうか」
机やイスをしまう所は見せられないので、とりあえず大きな音を柏手で出した瞬間に片付けて、勿論その様子は見られない様に気を付けながら、気持も切り替えて――夜の仕事に向かいましょうか。
大安間隔短すぎっ!(笑)
誰だよぅ、大安だったら丁度いい感覚だと思ったやつゥゥ(自分です)
大体六日の感覚だったら、書く日と休みを交互。
で、三日間だと思っていたのにっ!!!
間に合ってよかったです
三話ですよ!!




