表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
観測者λ567913と俺の異世界旅行記  作者: 七氏七
少年期【迷宮編】
44/192

2-28 ヒッチ

 竜暦6557年10月13日


 二日間迷宮に篭って疲れたので今日は家でゆっくり過ごしていた。


 居間でジャスチ、イネス、俺、サリスの4人で紅茶を嗜んでいる。


「アキア兄様もいればよかったのに」

「事務所で次回の行商の荷の整理が大変だからな、しょうがない」

「父様も手伝ってあげれば早く終わるのでは?」

「それでは身につかないだろう、ははは」


 そういってジャスチが笑う。

 商売に関してはスパルタ教育の方針である。


「先の令嬢は、すぐに(とつ)いでこれるのですが?」

「前回の行商の際に、パムに戻るのについてこようとするくらいだから平気だろう」

「なかなかの方のようですね」

「娘が増えるって嬉しいわねー」


 相変わらずの美貌で30歳には見えないイネスがニコニコ笑う。

 サリスと一緒にいると姉妹に見えるほどだ。


「義姉様かー、楽しみですね、義母様」

「この家に女性がどんどん増えてくな、ベック」

「そうですね」


 時計を見る。


「そろそろ時間では?」

「そうだね」


 そう噂をするとオーガント家の玄関にヒッチと女性達の姿が見えた。


「はじめまして、オーガント・ベックです」

「ベックと交際中のマリスキン・サリスと申します」

「パララタン・ルキスと申します。ヒッチさんと同じ職場で働いております」

「タースキナ・アミスです。冒険者ギルドで会計補佐をしています」


 オーガント家の居間にて見知らぬ同士で手短に挨拶を行った。

 女性達は両親とは既に挨拶済みである。


「ルキスさんとアミスさん共にヒッチと結婚するという話で、問題ないのだね?」

「はい、パララタン家の私の親とも相談しており問題ありません」

「タースキナ家としても問題ないと両親から許可を得ております。義父様」

「ヒッチは本当に二人とも幸せにできるのか、決心は出来たのか?」

「はい、父様」

「ふむ、先日話をきいたが心変わりもないようだし真剣に考えているようだね」

「「「はい」」」

「では、オーガント家としても許可しよう。応援してるよ」

「ありがとうございます」


 俺とサリスは静かに事の成り行きを見守っていたが無事にヒッチの結婚が決まったようだ。


「三人とも既に成人してるんだし、あとはしっかり自分達でやりなさい」

「「「はい」」」


 嬉しそうに三人が返事をする。

 そしてイネスが嬉しそうに、はしゃいでいる。


「まぁ、娘がサリスちゃんの他に、二人も増えて嬉しいわー」

「はい、義母様」

「よろしくお願いします」

「ルキス義姉様、アミス義姉様、よろしくお願いします」


 女性達の会話が華々しく行われているよこで、男性陣でしっとりと話をする。


「官舎は出るんだろう、ヒッチ」

「はい、父様」

「新しい家のほうは見つかりそうか?」

「いま探しておりますが、なんとか条件にあう家が見つかりそうです」

「どのあたりです?ヒッチ兄様」

「母様の希望もあるから、北西になるけど中央地区に近い場所だね」

「良さそうな場所ですね」

「ああ、職場にもオーガント家にも同じくらいの時間でいける距離になりそうだよ」


 そういって俺はすこし思いを巡らす。


(ヒッチのハーレム居城か…羨ましいな…)


 と余計な思考も挟んだが話を元に戻す。


「俺も来年春には独立するので、家を探さないといけませんね」

「母様の希望もあるからベックもオーガント家に近い場所になりそうだね」


 そういってヒッチが笑う。


(北東地区でいい家あればいいな…)


 そんな事を考えていると、料理の話で盛り上がった女性陣4人がキッチンに移動して食事を作ることになった。

 俺は持っていたボア肉をアイテムボックスから出し提供する。


 今日のオーガント家の夕食はいつにもまして華やかなものになったのは言うまでもない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ