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【完結】戦隊ブルーはクールでいたい〜頼むから俺を振り回すな〜  作者: 仮面大将G
幹部襲来!

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第47話 ピンク誕生秘話

 無事基地に着いた俺たちは、鳥羽部長を質問攻めにしていた。


「部長! 聞いてないですよ! いつの間にハシレンジャーになれるように!?」


「そーだぜ! いきなりピンクのやつが出て来たから、俺生肉かと思ってびっくりしたぜー!」


「鳥羽桃子さんよね。私は宗院黄花。ハシレイエローよ。ところで桃子さん、お休みの日は何をしてるの?」


「前から変身したい変身したいとは言ってるのを聞いてましたが、本当に変身するとは思ってないですよ! どうやったんですか!」


「そーだそーだ! でも仲間が増えるのは歓迎だぜ! 俺の唐揚げ食うかー?」


「ご趣味や好きなタイプを伺いたいわ。あ、サラダとか取り分けようかしら?」


「1人だけ合コンみたいな質問をしてるやつがいるな!?」


 何気に紅希も肉の話しかしていないが、それはいつも通りなのでスルーさせてもらう。

 俺たちからの質問攻めに満更でも無さそうな鳥羽部長は、ソファにドカッと腰掛け、足を組んでいた。


「まあまあそう逸るな。1つずつ順番に答えていこう。ではまず最初の質問に答えるが、唐揚げはもらおう」


「なんでそれからなんですか! もっと答えるべき質問があるでしょう!?」


「ふぁあそうふぁふぁ。ふぁふぁふぁふふぁふぉれふぉふぁへへふぁらふぁ」


「食べてから喋ってください!」


 ごくんと唐揚げを飲み込んだ部長は、意気揚々と話し出した。


「そうだなあ、私は休みの日は主に梅干しを漬けているぞ。趣味は干し柿を作ることで、好きなタイプはゲートボールが上手い人だ!」


「だからなんでそれから答えるんですか! あとほんとに言ってます!? やってることがババアすぎませんか!?」


「失礼だな橋田。もっと追いラードに包め」


「オブラートでしょう!? 言い間違いがデブすぎます!」


「カレーは飲みもの! みんなで飲めば辛くない!」


「赤信号みたいにカレーを飲まないでください! みんなで飲んでも辛いものは辛いですからね!?」


 ひと通り暴れ終わった部長は足を組み直し、改めて話し始めた。


「分かってるさ。私がハシレンジャーになった経緯と、好きな接着剤だろ?」


「後半はどうでもいいので前半だけお願いします」


「私は瞬間接着剤に目が無くてな」


「だから言ったのに! 優先して接着剤の話をしないでください!」


「うるさいにもほどがあるわね。早く桃子さんの話が聞きたいわ」


「俺だって聞きたいぞ! なんで俺が怒られるんだ!?」


「仕方ない、ならみんなが聞きたがっている話をしてあげようじゃないか。私がハシレンジャーになったのは、まあなんというか、無理やりだ」


 無理やり? まあでも俺たちも無理やりハシレンジャーにさせられたようなものだから、それの逆をやったと思えば不思議ではないが……。


「さっきまで私は会社の休憩室で橋田と食事をしながら話してただろ? だけど突然橋田の背後に現れた黒い空間に、橋田が吸い込まれるのを見たんだ。その時私は思ったんだ。『このカップ麺、ちょっと醤油味が薄いな』と」


「俺を心配してください! なんでラーメンの感想が先に出るんですか!」


「そこで私はとにかくなんとかしようと、しっかりスープまで飲み干してから基地に向かった」


「なんでカップ麺にそこまでの思いがあるんですか! もうちょっと焦ってください!」


「そして基地に着くと、司令が寝転んで高校クリケットの試合を観ていたんだ」


「何をしてるんだあいつは! せめて野球を観ろ野球を!」


 相変わらずのんびりしたやつだ……。結局ハシレイは普段スポーツしか観ていないのか?


「そこで私は司令に頼み込んだ。『橋田が連れ去られた! なんとかして助けたいんだ! ハシレチェンシャーが余ってたら貸してくれないか!?』ってな」


「やっとまともに助けてくれる気になったんですね。ラーメンより優先順位が低くて俺は悲しいですよ」


「すると司令は私の圧に押され、渋々試作品のハシレチェンジャーをくれたんだ。だから私は言った。『これピンクに塗ってもいいか?』と」


「デコってる場合ですか!? だからピンクだったんですか!」


「司令がくれたチェンジャーは試作品。君たちが使っているのと何が違うのか聞いたら、武器が巨大爆弾で固定されていて、上手く扱えないと自爆したり周りを巻き込んだりしてしまうということだった。だが私は迷わなかった。橋田を助けるためだからな」


 部長……。そこまでして俺を助けようと……。少し感動したが、良く考えればこの人はカップ麺をスープまで飲み干してからこの行動をしているんだな。あとチェンジャーをピンクに塗って乾かしてから助けに来たらしい。呑気か!


「そして私は無我夢中で走り出した。するとデスゲームマンがいる部屋に辿り着いたんだ。だから私はコーナーで差をつけてからハイヒールでドロップキックをかましてやった! するととんでもない威力だったようで、壁を突き破って飛んで行ったんだ。それ以降は知っているな?」


 なるほど……。色々寄り道はしたが、最終的には俺を助けるためにリスクを負ってまで頑張ってくれたということか。ありがたいことではあるが、少し複雑な気分だな……。


「これで私も念願のハシレンジャーになれたわけだ! だが私は君たちのように常に怪人に気を配るわけにはいかない。会社での立場があるからな」


「そこはまともな社会人なんですね……」


「だがある程度の自由はもう社長に保証してもらったぞ! なるべく怪人が出たら私も駆けつけるようにするが、基本的には別行動だと思ってもらえるとありがたい」


「分かったわ。今度ゲートボールが得意な祖父の知り合いを紹介するわね」


「どこのセリフに返事をしてるんだお前は!」


「ゲートボールって何だー? 2チームが5人ずつに分かれ、スティックでボールを打ち、3つのゲートを順番に通過させ、最後にゴールポールに当てることを目指すスポーツのことかー?」


「……その通りだ! なんでお前ゲートボールだけ知ってるんだ!?」


「とにかく、これからは私も戦うぞ! よろしくなハシレンジャー!」


 こうして鳥羽部長が俺たちの仲間に加わった。だが気になるのはハシレイだ。何故こんな騒がしい時に姿を見せない? 何かしているのだろうか……。

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