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【完結】戦隊ブルーはクールでいたい〜頼むから俺を振り回すな〜  作者: 仮面大将G
幹部襲来!

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第41話 小部屋から脱出せよ!

「……はっ! ここは……?」


 目を覚まして辺りを見回すと、小さな灰色の部屋の中にいた。

 俺は基地で眠っていたはずだが……。ここは一体どこだ? 誰が俺をここまで運んで来た?


「ようやく目を覚ましたカイ、ハシレブルー」


「その声は……ケイブマンか!?」


「その通りだヨ。連れて来るのが簡単で助かったヨ。バクみたいに眠っていたからネ」


「バカみたいにじゃなくてか!? なんで夢を食う側なんだ!」


 こんな状況でもアホなことを言い出すケイブマンに緊張をぶち壊されながら、俺は周りを見て状況を確認する。どうやらケイブマンはこの場にいるわけではなく、上部にあるスピーカーから声が出ているようだ。「Bluetooth」と書いてあるから間違い無いだろう。……なんで書いてあるんだそんなこと! 分かりやすいけれども!


「キミとハシレイエローには少し大人しくしていてもらうヨ。ボクはハシレッドに用があるんでネ」


「……お前、紅希に何をするつもりだ?」


「さあネ、キミには関係の無いことサ。もしかしたら戻って来たハシレッドは、鶴の姿に戻って飛び去って行くかもネ」


「鶴の恩返しか! あいつ元々鶴だったのか!?」


「そうかもしれないネ。多分白鶴だヨ」


「じゃあ鶴じゃないじゃないか! 日本酒だそれは!」


「それじゃあねハシレブルー。いずれキミたちともゆっくりとお話をしなきゃネ」


「おい待て、話はまだ……」


『Battery low』


「おいちゃんとスピーカーを充電しておけ! どんな去り際だ!」


 間抜けな去り際を披露させられたが、ケイブマンの声が途切れた俺は一人取り残される。

 とにかくここから出て紅希を助けに行かなければならないが……。完全に縛られているな。両腕と両足が締め付けられ、先ほどのBluetoothスピーカーの横には「和製英語の使用禁止」と書いてある。そこを縛ってどうする! どんな縛りプレイだ!


 ここから脱出するには、まずこのロープを切って自由にならないといけない。だがどうする? 完全に動けない上に和製英語も使えないという余計な縛りも加えられた状況で、俺はどう動ける?


 考えた結果、俺は左手首のハシレチェンジャーに右手の指を伸ばした。アクセルを回し、なんとかハシレンジャーになることができれば……!


 中指がハシレチェンジャーに触れる。だがそこまでだ。アクセルを回すには至らない。

 クソ……。このままでは何もできずに終わってしまう。どうする?


 そんな時、ハシレチェンジャーに通信が入った。


「おい碧! どこにおるんや今! さてはキラウエア火山やな?」


「そんなわけあるか! ハワイでももっと行くところがあるだろう!?」


「ほんでどこにおるんや自分! 急に誰もおらんくなったし、黄花は通信しても応答が無いし、紅希は『このつーしんきのーってどーやって使うんだー? 原液を水で希釈して混ぜるのかー?』って話にならんくてな」


「カ〇ピスの作り方! 呑気すぎるだろう!?」


「それは今ええから! はよどこにおるか教えてくれ!」


 珍しく焦った様子のハシレイ。流石に起きたら俺たち全員が消えていたら、何かあったと察したか。


「それが俺にも分からないんだ。ケイブマンが俺たちを連れて来たらしいが、具体的にどんな場所にいるのかは分からない。ハシレチェンジャーから追跡できないのか?」


「うおおおおおお!! 逆転サヨナラホームランやああああ!!」


「なんでこの状況で野球を観られるんだお前は!」


 その時、上にあったBluetoothスピーカーがガタッと音を立てて落ちて来た。そしてそのままBluetoothスピーカーは俺の左手首辺りに落下。奇跡的にアクセルが回った。


 俺の体の周りを青いタイヤが回り出し、俺はハシレブルーへと姿を変えた。


「よし! これなら……!」


「なんや? ワシが高校野球観てる間になんかあったか?」


「もうお前は黙ってろ!」


 俺は全身に力を込めてロープを引きちぎろうとするも、少し隙間ができただけでまだ力が足りない。だがその少しの隙間が、俺にチャンスを与えてくれた。右手がハシレチェンジャーに届いたのだ。

 そのまま俺はアクセルを回し、叫んだ。


「身体暴走!」


 俺の体中の筋肉が膨張し、力が漲ってくる。全身に力を込めると、俺を縛っていたロープが弾け飛んだ。


「よし! こればかりはナイスだハシレイ!」


「なんやよう分からんけど役に立ったなら良かったわ。ほななんとか帰って来てくれや」


「適当だな! さっきまで焦ってくれてたのはどこにやった!?」


「いや今試合の間のニュースやからテンション低いんや。すまんな、許してくれ。殿通りや」


「この通りだろう! なんだその城下に殿が降りて来た時の言葉は!?」


「とりあえず場所が分からん以上ワシは動けへんから、碧、頑張ってくれや」


「ああもう分かった! なんとかするから待ってろ!」


 通信を切った俺は、入口らしいドアに向かって走り出す。そのままタックルをかますとドアが吹っ飛び、俺は廊下に転がり出た。


 そこは暗く緑の照明で照らされた狭い廊下。異様な雰囲気だが、どこか刑務所を思わせた。

 とにかくまずは紅希を見つけ出すこと。これが最優先だ。ケイブマンに一泡吹かせてやらないとな。

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