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第十九話

「私の部屋って、此処はリーシャの部屋なのか?」

「ええ、勿論お父様以外の殿方をお迎えするのは初めてですわよ?」


 そう言えば、近衛騎士団長が廊下の手前で止まって、別な女性の近衛と代わってたな?


「もしかして此処は男子禁制なのか?」

「そうじゃ。儂以外で此処に入った男はお主と側室の息子達だけじゃ」

「おいおい、そんなところに俺を入れてもいいのかよ?」

「先程も言ったが、お主は特別じゃ。儂より権限が上だと言ったじゃろ?お主は此処でどの様な犯罪を犯しても、罪には問われぬ」

「尾籠な発言失礼いたしますわ。ブリッツ様が、この男子禁制の部屋の周囲で誰かを襲っても罪にはならないはずです」

「ちょっと待て。どうして、お前の居ない所で話した会話を把握している?」

「いいえ?把握しておりませんよ?お父様が先程二度も「お父様より権限が上」とおっしゃいましたので、そうでは無いかしらと思っただけですわ」

「……」

「まぁ、こんな娘じゃが、儂の可愛い娘じゃ。親馬鹿と言われるかもしれぬが、聞いてほしい。リーシャは小さい頃から賢くてのぉ。そのせいで周りからは気味悪がられておったのじゃ」

「ああ、何か分かる気がするな」

「実際、賢かった。此の国が実際色んな国に狙われておる。その理由はこの娘なのじゃ」

「というと?」

「この娘のおかげで此の国の技術は数百年は進んだと儂は思っておる。どこぞの愚か者のせいでそれもあまり役に立っておらんがな」

「って言うと貴族か?」

「そうじゃな」

「成る程。で、其処の嬢ちゃんが色々やりすぎたせいで、周りから疎まれていると」

「まぁ、有り体に言えばそうじゃ」

「成る程」

「お父様、少し口を挟んでよろしいかしら?」

「おお、良いぞ?儂の言いたいことはいい終ったからのぉ、此処は若い二人に任せようか?」

「お父様、それも嬉しいですが、居ていただいたほうが話が進むかと」

「……お前は何を考えている?」

「……ふふふ、さて、何だと思いますか?」

「……根性が腐ってやがるな」

「その言われ様は酷いですわ」


 にこやかに言ってのける。


「ふぅ、とりあえず、俺のどこを気に入ったのか教えてくれ」

「そうですね、賢さと強さですね。勿論容姿も気に入っておりますのよ?」

「お前はその目で何を見た?」

「あなた自身を」

「……」

「……」

「……そうか」

「ええ」


 何を考えているかさっぱり分からない。が、何か嫌な予感がする。そう、まるで蜘蛛の糸に絡め取られたかの様に。


「目的は何だ?」

「……ふふふ、何だと思われますか?」

「言え」

「その様なワイルドな顔も素敵ですわ」

「はぐらかすな」

「私は、此の国を豊かにしたいと思って行動しています……そうですね。私は性根が腐っているのかも知れませんね。正直にお話しましょう。私は打算であなたの事を気に入りました。ですが、一つだけ言わせて下さい。あなたを気に入った理由はそれだけではないということを」

「……打算……ねぇ……で、気に入った他の理由は?」

「……一目惚れです」

「は?」

「……で、ですから、一目惚れです!確かに私の目であなたを見たとき打算が有りました!ですが、私はそれだけであなたに仕えたいと、気に入ったと言うわけでは無いのです!確かに最初は籠絡することを考えました。此の右目で見たときは……ですが、あなたのその黒い瞳を見たとき、その、あの、ほ、惚れたんです!」

「……随分とませてる姫様だこと」

「そ、それは、否定しませんわ。私は自分のできることは何でもやろうと色々と知識は身につけましたので……その、籠絡する為の手段とか……」

「ちょっと待ちなさい。リーシャは一体今までどういう勉強をしてきたのじゃ?私に教えなさい」

「国王、今はお前は黙ってろ」

「じゃが、しかし、リーシャの親は儂じゃぞ!」

「そんな事はどうでもいいんだよ……ああ、もう!……ああ、そうだ、国王なら知ってるよな?こいつの目。一体何が見えているんだ?」

「それは私から話させて下さい」

「さっきまでは話をする気がなかったのに、どういう風の吹き回しだ?」

「ごめんなさい。純粋にブリッツ様とお話するのが楽しくて……周りに知的な方々はいらっしゃらなかったので」

「……俺が知的だと?どうしてそう思う」

「色が違うんです」

「色?」

「私の右目は人を色で認識するのです。見ようと思わない限り発動はしませんが、それで相手の強さ、知識量などを感知することができます。知識に関しては本人の色。戦闘力はオーラの大きさです。あなたの様に強大なオーラで、なおかつ、これほどの知識量、今まで見たことありませんでした。目が潰れてしまいそうなくらいの発光でした。すぐに能力は切りましたが……その他にもう一つ見分けることができます。それは悪人か善人かです。これは誰の物差しかわかりませんが、そして、善悪の区別とはどうつけるのかわかりませんが、少なくともあなたは悪い人では無いと能力が言っていました」

「……成る程」

「ものすごい発光だったので能力をすぐさま切って、すぐにあなたを見ました。その時に、その、目を見たら、その……」

「やはり儂は出ていったほうが良いかのぉ?」

「い、いいえ、お父様、大丈夫です。それで、私はブリッツ様にその、ほ、惚れました」

「……まぁ、何でもいいが、俺はガキを嫁にするほど落ちぶれては居ないつもりだが?」

「……そ、そうですか……そうですよね……こんな気持ち悪い、色気もない女なんか必要ないですよね。わかっています」

「だから、そういうところが嫌だって言ってんだよ」

「……やっぱり、聡明な方ですね」

「はぁ、まぁ、いいや。とりあえず、様子見だな。お前がどう思ってるかは分かった。が、俺がどう思うかは俺の自由だ」

「勿論です。私が勝手にブリッツ様に懸想しているのですから」

「理解してくれて何よりだ」

「ですが、良い返事を頂けることは革新しております」

「……どういうことだ?」

「……女の勘です」


 俺はすっかり毒気を抜かれた。その後、リーシャと別れ、再び王と二人で別室へ行き、会話をした。


「どうじゃったかのぉ?リーシャは?」

「……頭のいいガキは嫌いだ」

「……そう、であるか」

「まぁ、前向きに検討してやるよ」

「ほ、本当か!」

「あいつ、将来結婚相手は誰も居なさそうだしな」

「おお、おおおお!」

「言っとくが、検討するだけだぞ?決まったわけではないからな?」

「それでも十分じゃ!」

「はぁ、なんでこうなったかねぇ」


 俺はため息をつきながら、どうしようか迷っていた。普通なら迷わないだろう。なにせ13歳の小娘だ。だけど、俺は悩んでしまった。可愛そう、それもある。だけど、頭がいいのは俺にとっては楽だ。


「はぁ、マジでどうすっかな~」


 ため息が尽かないのであった。

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