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#ドラなぜ 勇者の相棒であった守護龍は、なぜか勇者の故郷を滅ぼしたいようでして  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第8話 到着、勇者の故郷!!

 "勇者"の故郷ティロット村は、王都から東の方向に馬で2日ばかり走ったところにある、山間の村だ。ダンガイ騎士団長が言っていた通り、特に何の変哲もない、ただの田舎である。


 ユトリエは俺の指摘(てんさく)に納得してくれたのかどうか知らないが、俺の事を"ガッキーさん"から"ガッキー隊長"と呼ぶようになっていた。名前はきちんと全部呼んで欲しい所だが、それでも少しは俺の事を尊敬してくれるようになったので、俺は嬉しく思うけれども。


 王都からティロット村までは2日間という長旅になるため、一応俺なりにこの村について調べてはおいた。



 ティロット村は、"勇者"――勇者イートバニラの、確かに生まれ故郷である。とはいっても、彼が村に住んでいたのは10歳の時までの話であり、それ以降は火炎龍メサイアウト様と出会って竜騎兵としての訓練を積んで、"勇者"となったのだが、とりあえずこの村が勇者イートバニラの生まれ故郷である事は嘘偽りのない真実らしい。

 この村の特産品は、サツマイモ。記録によれば、魔王討伐する前からこの村では他の村よりも速く、サツマイモを栽培しており、サツマイモ栽培の元祖とも呼ぶべき村らしい。歴史的にも『サツマイモ栽培発祥の村』と伝えられるくらいで、この村のサツマイモは長い歴史で改良に改良を重ねて、他の村よりも格別に美味しい事で有名だ。

 そしてこの村の一番の名所は、村一番大きくて、村で一番古い大風車。元々は粉挽き風車だったらしいのだが、サツマイモには不要のため、現在はただ風を受けてグルグル回っているだけ。しかし大きくて目立つし、なにより村で一番古い建物のため、村一推しの観光名所となっている。


 ザックリ言えば、『サツマイモ栽培で有名』な、『めちゃくちゃデカくて古い風車』がある田舎の村。

 それが、勇者イートバニラの故郷であるティロット村なのである。



 そんなティロット村に、(色々と準備があったため)3日かけて辿り着いた俺とユトリエ。

 村に辿り着くなり、俺達の目に入って来たのは――



 めちゃくちゃ準備で忙しくしている、村人たちの姿であった。



「ガッキー隊長、ガッキー隊長! めちゃくちゃ、忙しそうっすね!」

「……そうだな」


 ちなみに前回、ユトリエの推理への指摘が真っ当で、なおかつ的を射た意見だったので、彼女の中で俺の立ち位置とやらが変わったらしく、"ガッキー隊長"へと格上げ(ランクアップ)したらしい。出来たら、ちゃんと"ヒョーガッキ隊長"と呼んで欲しいのだが。

 まぁ、唯一の部下であるユトリエから、隊長呼びされたのは、嬉しい所ではあるんだけど。


「それにしても、なんでこんなに忙しくしてるんだろう?」


 まだサツマイモの収穫時期でないはず。それどころか、サツマイモを植えて一段落したくらいの時期だ。つまり、農業として忙しい時期は過ぎているはずだ。

 ここまで慌ただしくする理由が思いつかないけどなぁ……。


「きっと、あれっすよ! 守護龍様が、この村を滅ぼすよぉなんて言ったから、どうしようって、みんなパニクってるんっす!」

「そう、なんだろうか?」


 それにしては、なんか旗を持って走っている村人が数名見受けられるんだが。もしや、迎え撃つための戦の旗の準備か? 守護龍様相手に?


「ほら、ガッキー隊長! とりあえず、村長の家で、何か知っている事がないか聞きに行くっすよ! 村の長なら、なにか"勇者"様に関する資料の1つや2つくらい、残ってるかもしれないっすし」

「あ、あぁ。そうだな。えっと、村長の家は……」

「あそこっす! あの古びた風車の横っ!」


 本当だ、風車の横にデッカイ家がなんか1軒ある。

 あそこがこの村の村長の家、なのか。


 こうして、俺はユトリエと共に、村長の家に向かって行ったのであった。

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