本日休載のおしらせ+おまけ
いつも拙作をお楽しみいただき、ありがとうございます。表題のとおり、本日休載です。
頑張って書いたのですが、一晩経ってみると「これはふざけすぎたな」と白目になるほどだったので……泣く泣くボツです。
また本業が忙しく、執筆時間があまり取れないため、今後も休載が増えるかもしれないこと、ここにお詫び申し上げます。
以下、ちょっとしたオマケです。
ランディが【真理の巡礼者】を追いかけ、リズがそれを心配していた頃……
「ランディとエリザベスが行方不明?」
……港町にある代官の屋敷で、アランが報告に眉を寄せていた。たまたま港に用事があり、そのまま代官の屋敷で一泊……と思っていた所に、報告が飛んできた形だ。
報告に来た兵士の話では、夕方楽しそうに、小舟を担いで港から歩いてくるのを見たのが最後で、それ以降誰もランディ達の姿を見ていないというのだ。
「小舟?」
「はい。ブラウベルグ製の、高速移動挺です」
兵士の報告に、アランが「あれか」と舟を思い出した。港が完成する前に、大型船から荷物を搬入する為に使用していた舟が、それより少し大きなタイプだ。
「舟……港から持ってきた? どこに持っていくつもりだ?」
頭を抱えるアランが心配するのは、ランディの身の安全ではない。今まで何度となく、行方不明――という名の山籠り――を繰り返してきただけに、今更一日姿が見えない程度では、アランも動じない。
ただ今回はリズもセットだ。
「水路を遡上して、魔の森……はないか。エリザベスも一緒だからな」
顎を擦るアランが、ソファの背もたれに身体を預けた。
「エリザベスが山籠り……は絶対にないしな」
行方不明イコール山籠りとなっているランディの生態も問題なのだが……。そんなランディの生態は脇に、アランが「分からん」と唸り声を上げた。
仮に魔の森へ行ったとしても、リズならば止めそうなものだ、とアランがまた唸り声を上げた時、ふとランディ達が港に籠もってやっていたことを思い出した。
「……たしか転移門がどうとか――」
思わずアランが身体を起こした頃、「なんじゃ? 報告を受けとらんのか?」とヴォルカンが部屋に顔を出した。
「義父上……報告とは?」
「ああ。なんでも釣りに行くと言っておったぞ」
豪快に笑ったヴォルカンが、古い釣り竿と小舟を持ってどこかへ行った事を告げた。
「釣り。しかも港から街へ戻ってきてた。そして転移門……まさか」
アランの顔が引きつった。まさか【真理の巡礼者】対策で忙しいブラウベルグに……。そう思えば、慌てて立ち上がってしまうものだ。
「ブラウベルグかの」
「十中八九」
アランが頭を抱えるのも無理はない。転移門だ。しかもそれの出口を他領に勝手に作るという。
「まさか侯爵邸に出口を作ってないですよね」
ルシアンから報告が来てない以上、相手も知らないはずである。
「舟を担いで行ったということは、近くの小島じゃろうな」
街中や屋敷にいきなり転移は、回避出来たがそれでも問題は問題だ。
「安全保障問題だぞ」
いくら家同士の繋がりがあるとて、転移門の出口は、ともすれば侵略用の道具に見えかねない。
もちろんランディもアランもそんなつもりはないし、ルシアンも理解はしているだろう。だが物には筋がある。
加えて今のブラウベルグの状況だ。もし、ヴィクトールが落とされでもしたら、どう悪用されるか分からない。
もちろんヴィクトールが陥落することはないので全く問題はないが、それを担保にするにしては、傲慢が過ぎる。
「しかも向こうでは騒動の真っ最中でしょうし」
加えてテロリストが活動中の領だ。迷惑をかけているとは思わないが、ブラウベルグとしてもランディが来たら迎え入れないわけにはいかないだろう。
今の状況のブラウベルグで、しかもランディの性格だ。状況を見たら、釣りから狩りにシフトするだろう、とアランは確信している。
「迷惑をかけてなければいいですが」
頭を抱えるアランの悩みは、ランディがうっかり建物を吹き飛ばしたりしていないかだ。
――いやあ。勢い余って。
そんな空耳に、アランがブルりと身体を震わせれば、ヴォルカンが「苦労しておるな」と豪快な笑いを返した。
「これはランディのやつも、大目玉を食らうじゃろうな」
ガハハハと笑うヴォルカンに、「ええ」とアランが頭痛を抑えるように蟀谷を揉んだ。
「帰ってきたら二時間コースです」
そんな事とはつゆ知らず……
「値打ちこいてねーで早く来い」
……ランディはゆっくりと開く扉に文句を言っていた。




