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【書籍1巻発売中】モブの俺が悪役令嬢を拾ったんだが〜ゲーム本編無視で、好き勝手楽しみます〜(旧サブタイトル:ゲーム本編とか知らないし、好き勝手やります)  作者: キー太郎
第五章 春休みってすぐ終わる

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休載のおしらせ+おまけ

 ルークがセシリアとガードナー伯爵領へと旅にでていた頃、遠く王国の北、ヴァルトナー城の中庭では、ヴァルトナー騎士団が訓練の真っ最中であった。


 目的はもちろん、来たるべき戦いに備えるためだ。


 既に領都ブランクルフト周辺は雪解けも進み、外で行軍訓練をすることも可能だが、どこで誰に監視されているか分からない。手の内を見せるわけにはいかないため、連日この中庭にて実践を想定した模擬戦メインの訓練を行っている。


 一対一はもちろんのこと、特に力を入れているのが多対一の訓練だ。


「狙える場合は足を狙え!」


 相手の機動力を削ぐ……だけではない。腕を落としても、片腕で戦う兵士はいるが、足をやられれば一気に要救護者の仲間入りだ。動けぬ人間を後方に下げるのに、人手がいる。つまり一撃で相手の頭数を二つ減らせる可能性があるのが、足を狙う攻撃だ。


 限られたスペースでありながら、緊張感ある訓練の中に、必死な顔でついていくウェインの姿があった。


 本来なら兵士であるはずのウェインだが、学園での成績や伸びてきた実力を考慮されて、こうして騎士達に混じって訓練をしているのだ。


 もちろんロルフもウェインを【真理の巡礼者(ピルグリム)】や帝国との戦いに出す予定はない。だからウェインには、来たるべき戦いのことは告げていない。だがウェインの性格上、戦いが起きれば絶対に駆けつける事は明白。ならば少しでも実力を上げさせようというロルフの魂胆だ。


 そんなウェインだが、その顔はあまり優れない。それは訓練が激しいから……ではなく、


「よし、次――は、ウェインか」


 眼の前で笑顔を見せるアイリーンのせいだ。


「お願いします!」


 礼をして剣を構えるウェインに、アイリーンが二本の剣で猛攻をかける。何とか数回は凌げるのだが……


「甘い!」


 ……剣を弾かれ、喉元にアイリーンの切っ先が迫った。


「まだまだ甘いな。いつでもかかってこい!」


 笑顔が煌めくアイリーンに、ウェインも頷くのだが、内心は複雑なのだ。春休みが始まる前にウェインが書いた手紙。それに返事が来た時、ウェインは舞い上がる程嬉しかった。


 だから少しだけ期待していた。ヴァルトナーに帰れば、アイリーンお嬢様との親分子分のような関係が変わってるのではないか、と。


 例えば、少し恥ずかしそうにしてたり。

 例えば、ウェインに甲冑姿以外を見せてくれたり。


 ところが、である。アイリーンは相変わらずアイリーンだし、輝く笑顔はウェインだけじゃなく、他の騎士にも見せているのだ。


(あーあ。俺の勘違いかなー)


 ボンヤリと空を見上げたウェインに、「ウェイン、たるんでるぞ!」と遠くのアイリーンから檄が飛んだ。


 その声に、ウェインも今は訓練に集中しようと、再び剣を片手に別の騎士へ手合わせを願いに走るのであった。




 だがウェインは知らない……

 訓練が始まる前、アイリーンが、鏡の前で唸っているのを。


「『やあ、ウェイン』……違うな」


 鏡に映るのは、困り顔のアイリーンだ。


「『ウェイン、今日も頑張ろうか』……こんな感じだったかな?」


 色々と表情や声音を試すのだが、どれもアイリーンにはしっくりこないのだ。


「なぜだ。今までどうやって話していた?」


 鏡の前で盛大に首を傾げるアイリーンだが、彼女はまだ自分の心の変化に気付いていない。ウェインを少し意識し始め、自然な接し方が分からなくなっているという変化に。


 お互い胸に秘めた思いは、まだ恋と呼ぶには小さく弱い。だが彼らの春は、もしかしたらヴァルトナーのそれと同じ様に、直ぐ近くまで来ているのかもしれない。

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