奴隷、婬魔等の都市インバスの状況..
私たちは次に向かう都市についてトキヤと情報を交換する。都市インバスと言う都市は婬魔が多く住む場所。オペラ座の怪人の忌まわしき故郷らしい。これから先は今までよりきっと大変な道のりになる筈だ。魔王城まで数都市しかない。刺客も多くなるだろう。
ドレイクの背に二人で乗りながら都市を目指した。ドレイクは少し大きくなり二人で乗れるようになった。成長期なのだろう。
「都市インバスについて知ってることってなに?」
「俺はおまえに会うためにささっと過ぎた都市だからあまり知らないんだ。精々、黒い噂は絶えないな」
「黒い噂?」
「ああ、何処よりも死者が多い。死体安置所、火葬場、そして運び屋。遺体はインバスから離れたところにダークエルフが住む沼地や湿地、森に送られるって聞いたな」
「それって………『死が溢れてる』て事?」
「そうだな。血の臭いはしてたし………あまりいい都市じゃない。魔王城より魔王城のような黒い壁と建物が多く連ねているな」
「……………気味が悪い」
全くいい所ではないとわかった。
「気味が悪いぞ。支配者は大悪魔らしいし住んでいる者たちも吸血鬼、獣人以外の狼男、婬魔、悪魔、人間の浮浪者、幽霊か」
「お、おう!? ゆ、幽霊!?」
「そう。幽霊が目視できる」
「あうぅ………行きたくない行きたくない」
「行きたくなくてもそこからしか行けない。自然の障壁が邪魔しているし、迂回はリスクが高い。魔物が恐ろしいほど強くてな」
「嫌だなぁ………でも。我慢します。我慢します」
「えらいえらい」
「だって………オペラ座の怪人程の実力者が逃げる場所なんて恐ろしいよね」
「恐ろしいな。今通っている道も草が生えているのを見ると…………通っている人が少ないのだろう」
「うーん。私は何も知らなかった」
「知る機会がなかっただけだ」
「いいえ、無知は罪。怖いけど目を逸らさず見てみます」
「…………お前の好きにするといい」
「はい。頼りにしてますね」
私はドレイクに揺られながら身を引き締めるのだった。
*
1週間の旅の途中。都市に近付くにつれて沼地など湿地帯が増えていく。汚れた不浄地、黒く淀んだ空気に臭気、障気など纏ったスライムなどを焼きながら進んだ。道は舗装されておらず、底なし沼を気を付けながら進む。
そして、目的の黒い壁が見えたとき。舗装された道を見つけ、商人に紛れながら近付いて行った。何を食べて生きているか不明瞭な都市だ。それに黒く高く長い壁は圧迫感があり、その奥にそびえる黒い幾多の城がひしめき合い。今まで旅してきた都市の中で異彩を放つほど異様で、帝国を思い出させる場所だった。
「な、なぜ!? こんなものが魔国に!?」
「魔国じゃないぞ。帝国にもある治外法権の場所だ…………だから抜けるだけすぐ抜けたいんだよ。危ない」
「知らなかった…………」
「知らなくていい。記憶の片隅に置いておくだけでいい。冒険者ギルドもないしな」
「…………なんか胸騒ぎがする」
こう、大きな大きな魔物が口を開けて待っているような緊張感。緊張感を持ちながらフードを被り黒い門を潜る。衛兵が立ってはいるが拒む事はなく素通りが出来てしまった。ギョロっとした目で私を見る。その背中に青白いフワッとしたものが見え背筋が冷える。
「ひっ!? あ、あれ!!」
「幽霊か………珍しくもないぞ?」
「う、ううう。ひっく……」
「泣くなよ」
「無理、もう………むり………」
「一晩、泊まるけど」
「外で寝よう!! いや!!」
「外の方は悪霊が多い」
「…………………」
私は絶望する。今日は眠れない気がする。彼の裾をつまみ。安らぎを求めた。
「なぜ、そこまで怖がる?」
「ち、小さいとき………見えたの」
「見えた?」
「こう、窓際で閉まっているのに揺れたり」
「………」
「ベットが軋んで音を立てたり。私一人だけなのに」
「………………」
「あ、あと。こう白い霧? みたいなのが見えたり」
「ネフィア」
「は、はい……」びくびく
「肩に手が」
「ひ……………ぁ…………声がでない!! 体が動かない!! 背筋が冷え、震えが止まらない」
「怖がりすぎ。嘘だぞ」
「……………早く宿屋に行こうよぉ」
「なんで、ここまで怖がるかなぁ~」
「幽霊怖い。幽霊怖い。殴れない」
「殴れないか殴れるかの違いかぁ~」
「………………早くぅ」
「はいはい」
私たちは早々と宿屋に向かうのだった。
*
衛兵らしき武装した人に良い所を紹介するといい宿屋だが城のような頑丈な作りの場所に案内してくれた。
受付をすぐさますませ、逃げるように2階の客室へ入る。落ち着いた時に頑丈な鉄格子がついた窓から外を見た。
宿屋の一階は店らしく店員の叫ぶ声が聞こえ、本通りは何処の都市とも変わらない。ただ黒い壁の建物だけが違っている情景だった。怖い。
「絶対に外へ出ない」
「怖いもんな」
「怖い」
変わっていることにすぐに気がついた。皮の紐らしい首輪を首につける人や頭に鎖のマークがついた人々の往来が激しい。種族も色々いて、驚いたのは人間がいること。皆が笑っているがなぜか怖い。
「ここ、魔国の中でも変」
「早く抜けような」
「う、うん。オペラ座の怪人がいやがる理由はこう言うことだったのかな?」
「淀んだ空気だな」
コンコン!!
「失礼します」
一人の深いローブに身を包んだ人間の男性が現れ、背後に見える白いもので息が詰まる。幽霊が憑いていた。私は慌ててトキヤを盾にした。
「申し訳ありません。怖がらせるつもりじゃぁ、ないです」
「気にしなくていい。こいつは幽霊がダメなだけだから」
「そうですか。すいません守護霊憑きな者で………少しだけ席を外してくれないか? ああ、すまないな」
霧が霧散し、消え去った。私はやっとじっくり彼を眺められる。この人は確か宿屋の管理人だったはず。
「お客様に注意を………夜は絶対出歩かないでください。危険です」
「ああ、そういえばワザワザ言いに来てくれるんだったな」
「お客様、初めてではないのですね。でしたら、夜は絶対出歩かないですね。出歩るかれた場合は関与いたしません」
「徹底してるね? でも怖いから出ない」
「それが正しい反応でございます。安心してください。ここは聖教、私たちが絶対御守り致します」
「………それは、大丈夫。私には彼がいるので」
「ノロケはダメやぞ」
「ははは、仲がいい夫婦です」
「わかる!? 仲がいいよぉ!! 凄く!!」
「跳ねない!! ネフィア!! 淑女!! 淑女を意識!!」
「はーい」
私は落ち着く振りをする。心のなかでは仲のいい夫婦ですねの言葉が渦巻いていた。
「宿主さん。自分は1日しか滞在したことなくて疎い。冒険者として知りたい事が多々あるんだが………売ってくれないか?」
「いいでしょう。今日のお客様の注意はこれで最後です。私の奥さんにドアを見張っていて貰いましょう…………そちらの奥さんにご挨拶はやめておきますね」
「大丈夫!! 奥さんに挨拶させてください」
「それでは………来てくれ」
フヨッ
彼の背中から白い霧が現れ、人の形に変わる。
「ひぅ!?」
私は、声が裏返ってしまった。奥さん……てもしかして………あっでも怖くない。得体の知れる者だ。
「私の妻です。名前はエミーです」
「あ、はい。ネフィア・ネロリリスです。幽霊なんですね………奥さん」
「「ネフィア!?」」
二人が声を出す。
「はい?」
「あなた様が………現魔王さまですか」
「バレた!?」
「いや、何故バレないと思った? ネフィア? 最近知能落ちてない? それで何人の刺客が命を散らしたか知ってるのか? お前の名前はもう偽名として全く役にたたないぞ」
「トキヤ辛辣………でも好き~大丈夫だって~」
「あなた………私たち。彼女に粗相を」
「い、いや。お忍びだから大丈夫だ。そんな行為をすれば私たち以外も察してしまう」
「そ、そうですね。ドアを見張ってます」
奥さんがドアに憑依する。幽霊は便利だ。
「お、ほん。すいません。取り乱しました………私たちの宿屋に泊まられているとは予想しておりませんでした。今までの粗相をお許しください」
「あっ、気にしなくていいよ」
「ああ、敵意が無ければな」
「ありがとうございます。情報を欲しがる理由も見えてきました。いいでしょう何でも聞いてください」
彼は協力的だった。ちょっと不思議になりながら言葉を発する。
「先ずは名前を聞いてもいい?」
「エミールです。エミーとは兄妹で名前が似通ってるんです」
「そうなんだ。トキヤ何を聞こう?」
「………そうだなぁ。酒でも飲みながらじっくり聞こう」
「はーい」
「わかりました。ご用意致しますね」
*
机の上に葡萄酒とグラスが並ぶ。それを注ぎ驚いた声をあげてしまう。紅いのだ。
「血の色みたい………」
「ブラッドマスカットのお酒です。吸血鬼御用達ですね。我が主も好きです」
「主?」
主とは主人ではなくあるじと言う意味だろうか?
「ええ、我が教会の創設者。始祖の吸血鬼ゲロシュ様です。私たち教会は始祖の吸血鬼ゲロシュ様の門徒です。思想は吸血鬼と人間の共生です。起こりはゲロシュ様は何も話してはくれませんがね………」
「人間ですよね、あなたは?」
「はい。教会に居るのは帝国等から捨てられた人間と捨ててきた人間。この都市で生まれた人ですね。教会の特徴は私の嫁のように死後現世に残り………生きている私たちと共に歩んでいるのが私たちです」
奥さんがドアから顔を出し一礼をする。死んでいても悲壮感が漂っていない。少しだけ、変な気持ちになる。
「なぁ、店主。吸血鬼は教会に居るのか?」
「いいえ、今は上層階で寝泊まりしています。今は起きてるでしょう。夜の住人ですから………この都市は夜の方が住民は多く。そして、死が漂います。ここは安全はしっかりしていますからご安心を」
「夜ってなんで危ないの?」
「危ないですよ。私の妻も食い殺されましたから」
「「!?」」
唐突な、発言に二人して息を飲んだ。部屋の温度が下がった気さえしたあと、殺意も体から滲んでいる気がして身構えてしまう。
「狼男女にね。バリバリ………食い殺されました。ええ」
「狼?」
「人間、悪魔だった者たち………夜に変化し魔物になるのです。始祖は言ってました。吸血鬼と狼は病だと。すいません、怖がらせました。夜は危ないことを知ってもらうために」
「…………」
「大丈夫です。ここは安全です。明るいうちは私たち人間が。暗いうちは教会の吸血鬼が護っています」
「そうなんですか………」
「ええ、ここの都市は本当に死因は何でもありますから………大陸の吹き溜まり。なんででしょうね………呪いの類いも全てここに集まってきます」
知らなかった。こんな重要な拠点が、恐ろしい程の無法地帯に。
「そうそう。狼男女、吸血鬼に噛まれたらすぐに薬等で浄化してください。感染します」
「感染?」
「吸血鬼、狼男女は全て人間を滅ぼす病です。どちらも人間から成り、人間から人間へ病気を移し。最後は両方が殺し合い。知恵の差で吸血鬼が残り………そして人間が居ないため飢餓で狂い死にます」
「………人間を滅ぼすための亜人」
「はい。だからこそ帝国は全てこちらに持ってきて捨てるのでしょうね。幸いか不幸か、婬魔と同じデーモンの贄にもなりますから」
「デーモン? デーモンが居るの?」
「ええ、勢力図を説明しましょうか?」
「大きい都市だがやはり覇権争いはあるんだな………帝国も騎士団同士仲が悪い」
「懐かしいですね。はい、あります」
「帝国人か? 元?」
「はい、妻を共々。捨てられてきましたね」
彼の奥さんが地図をふよふよと浮かせて机に置く。ポルターガイストらしい。便利そう。
「ありがとう。エリーすまないね」
「いいえ、おに……………あなた」
ちょっと、幽霊だけど頬を染めることってあるんだと思った。表情豊かで驚く。怨霊と大違いだ。
「私たち、教会はそこそこの勢力を持っています。構成員たちはこの都市でも平和に暮らしたい人々が主であり自分の身は自分で守り、教会としてそれを支援し支援をいただくのが私たち。教会………構成員は感染したが狂気に落ちず自分を律するできる亜人狼男女ではない2世3世のライカンスロープ。人間が滅んでは自分達が滅ぶ事を知っている吸血鬼。人間に下級悪魔婬魔。そして私たち幽霊憑き人間の聖職者であり兵士です」
「幽霊憑きは兵士? 聖職者?」
「はい。始祖も吸血鬼ですが人間の幽霊憑きであり。平穏を求む一人です。信仰する神は偶像ですがいつかはこんな暗い場所も微笑んでくださることを願っている信仰です」
なんとも、良さそうに聞こえるが。悲しい事に彼らは「神に見捨てられている」と思っているらしい。仕方がないとも思う。こんな場所では。彼が、ワインを一口含み続ける。
「次に、教会以外の吸血鬼…………これは夜。狩りの時間動き回り。人や婬魔を連れ去ります。後日は干からびた者たちがいる。魔物です。しかし、気に入った血は大切にし、使用人や奴隷として雇っていると言われていますね。彼らは侯爵と呼び合い私たちと仲が悪く。始祖を裏切り者と言っておられます。奴隷によって資金力は凄いですね」
「吸血鬼のイメージらしい………」
「これが本来の吸血鬼でしょうね。始祖が変人なんですよきっと」
「いいのだろうか? 変人扱いしても?」
説明の彼は頷く。
「次に狼男女。これは昼間は普通の人ですが夜は狂気に染まり。飲食のため吸血鬼等も襲います。昼間は紛れているので分からず。狼男女同士は襲わずに他を集団で襲い。兵が減れば感染させ、味方を増やすのです。これも、敵対してますね。ライカンスロープが特に嫌っていて。まぁ皆さん親しい人を食い殺されて正気に戻ったり、食い戻ったり色々なことでやり合ってます」
「教会………2面方向から叩かれてない?」
「いいえ、吸血鬼も狼男女も餌同士仲が悪いです」
「三つ巴かぁ」
「それが、大きいのがもう二つ………あってですね」
「ええ…………お腹一杯だよ」
「小規模ですが魔国族長等が出資している魔王の監視目的の勢力がいます。まぁ監視だけですが」
「弱そう」
「弱いですよ。それはもう………弱いです。ダークエルフが居ればいいんでしょうけどね土地柄的に」
ダークエルフ………不浄地の沼森に棲む者たち。何故か、頭に引っ掛かりを覚える。何故かはわからない。
「つぎは今、最大勢力のデーモンと上位悪魔の集合体。大多数の奴隷印を刻んだ婬魔と人間を持ち。四天王の死霊術士による婬魔と人間の死霊兵と拷問による数々の黒魔術。なんの実験をやっているのか恐ろしい姿の生体兵器たちです。今は吸血鬼、狼男女、教会等もこれらが近くに居れば共闘をしようと取り決めてます」
「へぇ~大変だ」
「大変だね。トキヤ」
「本当に大変ですよ。夜の王デーモン・バルボルグは何時だって私たちに恐怖を植え付け。その恐怖を糧に強く。そしてまた恐怖を植え付けるのです。この悪循環故に勝てません………そう。私たちは彼の気紛れで生きています」
「………そんな凄いの居るんだ~。お前が魔王しろよ」
目の前で言いたい。それだったら苦労しないのに。
「魔王になれない程の敵が多いんだろ。それか………期を伺っているのかもな」
「摂政エリック・バルボルグ。彼の息子ですが?」
苦労しなかった。魔王を息子に譲ったんだなぁ~。
「へぇ~知らなかった。トキヤは?」
「いや、知らない。魔王城潜入にその情報はいらないからな。お前の情報は片っ端から集めたがな」
「へへへ……照れる」
「照れる所あった?」
「トキヤが私を調べ尽くしてる………ゾクゾクする」
「………店主。すまないが嫁が酒が入って変になったから。今日は寝るよ。ありがとう情報」
「いえいえ。こちらこそ…………姫様に出会えて僥倖でした」
少しだけ含んだ言い方に私は首を傾げたのだが………
ヒョイ!!
「あれ!? トキヤ!?」
「もう、お前寝なさい」
トキヤに担がれ、ベットに運ばれる。まだ、酔ってない筈なのに。
「トキヤ!? まだ、大丈夫だよ!!」
「顔が赤い」
「いや!? 照れてただけだよ!!」
「それでは失礼します。よい夜を………おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「………おやすみなさい」
ガチャン
部屋から宿屋の主がワインをお盆に持ち部屋から退出した。大きなダブルベットの縁に私は座り、見上げた態勢で愛おしい顔を覗く。格好いい顔に頬が紅潮する。ああ、なんで私の夫はこんなに格好いいの。
「……ねぇ、トキヤ」
「ん?」
「シャワー浴びて寝よ? それに、服も着替える」
「大丈夫かぁ? まだ赤い」
「だから!! 酔ってないって!!………トキヤもいい匂いがする」
「よし、俺もシャワーを浴びよう。臭いんだな」
「一緒に?」
「断る」
「ぶー」
「酔ってる」
「酔ってない。いつも通り」
「いつも通りが激しいだけだったな………先入っていいよ」
「後がいい」
「わかった。入ってくるわ」
*
「出たぞー」
ホカホカの湯気をあげながら下着姿の彼が出てくる。逞しい体に息を飲む。
「じゃぁ私入るね」
「ああ。魔力はたんまり入れたから大丈夫だろ」
「ありがとう」
魔力を入れるとは。カンテラと同じ魔法石を動力として魔力を入れることで水の吸い上げから温度調整までを行う。魔力炉と言う物だ。高級だからそこそこいい宿屋は完備しており。体の汗を流すには良い。
脱衣場で服を脱ぎ。シャワールームの木の扉に手をかける。
「………うーん」
魔石を発動させ。水を湯に変えて出し。泥と汗を流す。髪を丁寧に洗い、隅々まで汚れを落とす。
「きもちいい」
「ネフィア。洗って乾かしたタオル置いとくぞ」
「うん………覗かないの?」
「そんなことより早く出ろよ。後ろに気を付けてな。ははは」
「ひぃ!?」
「嘘だよ」
「やめてよ‼本当に恐ろしいだからね!!」
体を清めている間に後ろからこられると本当の怖い。物音がしなくなり彼は戻ってしまったのだろう。何かの視線を感じてしまう。沸き上がる恐怖。
「と、トキヤ…………トキヤ!!」
「お、おう!? どうした叫んで!? 迷惑だぞ夜中に!!」
「………そこに居て」
「……………怖い?」
「怖い!! トキヤのせいだよ!!」
「ははは、かわいいな~」
「なんとでも言っていいから………居てよね?」
夜中のトイレも一人でいけない気がするのだった。




