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日登する処の天使


 和室に似合わない金髪の天使と黒髪の堕天使。青髪の堕天使はお仕事があり別の夢へと渡る。今でこそ英魔国内の天使を束ねる長な故。いや、逃げた。


「青い天使もお話を聞いて味方になってくれれば良かったのに。あれは……『女神を弱体化』させる事が出来る者の一人だからね」


 帝が惜しそうに茶を啜る。赤子が目を覚まし、ネフィアが団子をあげようとして俺は取り上げる。「駄目に決まってるだろ!!」「夢だから!!」「味を覚える!!」と問答し、ベビー籠を用意していただきそこに入れる。赤子は「チッ」と舌打ちをする。この子大物になるぞ。


「では、落ち着いた所で密談と行こう。『同盟書』になる。もちろん『サイン済』だ。女神の、上級悪魔のね。なので『内乱鎮圧』をある程度手伝ってほしい」


「ネフィア、お前の筆だな」


「ええ、私の」


 同盟書のサインはネフィアの物だ。そして日付は未来である。どういうことだろうか。


「全員、質問は辞めてくださいな。話さないことが多くある。とにかく時間は有限だからね。とにかく、来てくれてありがとう。現に本当は今は内乱が酷くてね。人の力を借りたい」


 内乱内乱と何度も言葉にする。奥の事情は伺っていており戦国と魔物が跋扈しているのは理解している。ただし、噂程度だ。海が全てをシャットダウンさせる。


「今の状況を説明すると『修羅』が国を荒らしていく。修羅の部下が『陽国』を混沌へと落とし、私を含めて転生した帝を『5回』も殺めた。そして、今は私が再度転生し、6回目の挑戦だ。おっとまだ質問はなしだ」


 ヤバい。顔に出てたか。やはりもう、黒騎士の、昔のようにいかないのだろう。


「長くなるお話で付き合ってほしいですね。『陽国』の創設期は『フェザー』に関わった結果から始まりました。ある者は『フェザーは終わりの師』とし、ある者は『フェザーは未来への師』。時の愚民と時の良民は『フェザーのもたらした羽』を利用した。それが数千年」


 ネフィアの額に汗が出る。佐藤は団子を味わいながら「さすがは魔王」と漏らし、俺も何度も考えては首を振った。「今を生かすため過去を殺す」のは「我々の総意」だからこその決定である。


「結果、陽国は多くの天才が亜人や妖怪の存在を生み。遺伝子では人類を存続させた。英魔も陽国人も皆がフラスコの中の実験体と完成形で分岐です。その中で、世界に飛び立たたずに残った人類が陽国に呪いと使命を与えた。そう、私の先祖さまが『修羅の国』。争いや激しい感情が絶えない世界に作り替えたのです」


 茶をすすり一呼吸。


「陽国は非常に暗黒期、黄金期、平穏期、停滞期、混乱期、崩壊期、暗黒期と巡ります。それは新陳代謝のようにです。故にです。この流れを止めてはならない。それが我々の『帝システム』の目的です。その中で修羅がいます。『人類の敵』として。『女神の旧人類復活』とは真逆のシステムです」


 話を聞いていると上手く回っているシステムなのが感じれた。要は何年も政権や時代が回っているのだろう。


「だが、修羅は『手加減』を行う部分が壊れてしまった気がします。今世の修羅は……『強すぎた』。その結果が今の修羅の国と言われるほどに。長い長い混乱と崩壊と暗黒期が続いています。このままでは陽国が滅ぶ気配までします。ではここで質問を受け取ります」


 ネフィアが手をあげてそのまま俺を見る。俺は俺で先に質問した。


「佐藤は『未来』からの依頼で助けている。未来で修羅は倒される未来があるのだから……そこまで待てばいいんじゃないか?」


「決まった未来であったら、そうですが『修羅』は女神の反対とおっしゃいましたね。『未来』で修羅は居ない事を修羅は知っています。なので『そういう動き』をしております。そして、アイツは……違う方法で越えようとした。それによって全て歪んでしまった。私もそうです。そして『書が変わる』ことが証明されてしまいました。これが証拠です」


 二枚の写真が出される。そう、写真である。肖像画ではない。写真。インクによって描かれる写真である。その中に帝とネフィアと、複数人の写真である。だが、その写真は間違い探しのようにわかりやすい変化があった。


「同じ時期で撮られた全く同じ『筈』だった写真です。片方は『時を留めている』方法で残していますが……片方が現在の写真です」


「ネフィアと俺が居ない写真……それどころか……」


 同じ写真だが。誰も居らず。裏にある背景は滅んだ建物が見える。怨霊が映っており。死都化しているのがわかった。


「修羅は……未来を変える力を有している。『星を作るもの』『時を喰うもの』『時空を餌とするもの』『星を喰うもの』『知る事を喰らうもの』に類する力を得ているのでしょう」


 俺は手を上げて話を止める。


「少しいいかな……全く関係ない話だが物騒すぎてな。なんだ『もの』って」


「外敵、災害、敵です。本当に今は関係のないものなのです。兆候があればお伝えします。世界は化け物で溢れているのです。ここに居る存在が示すように」


「わかった……続けてくれ」


 今の記憶を記録員の夢に送った。英魔国の侵略的外来生物だろう。情報として残す。


「では、そんな修羅組と私は戦い続けており劣勢です。我が部下達は隠れ潜み。機を伺っております。時に山賊、時に海賊。時に忍者として。影に潜み暗殺を狙っている状態です。なので露払いをお願いしたいのです。お3方には……1人で軍隊を相手をしてほしいのです」


 恐ろしいお願いだ。そして、俺は考えながら質問を繰り出す。


「英魔国船が沈んだのは修羅組のせいであり、修羅組から先に俺を回収し、佐藤を解放し、今のここで密談しているのはアイツらに見られてないのか? 未来が見えるのだろう?」


「一つだけ、魔眼持ち含め。全世界共通で呪いと祝福がある。ネロリリスさんを見る者は『目が焼ける』のですよ。見たでしょう。佐藤さんが苦しむのを」


 思い出すのは唐突に顔から血が噴き出た状況だ。佐藤は手を止めてはお茶でおやつを流し込み。ネフィアを見た。


「対魔眼、対操作が普通に備わってる。私は女神が時を『操作』するのに対抗し、未来視で戦った。結果は物量で負けたけど。1対1なら勝てていた。そう考えるわ」


「彼女の言う通り、私の部下も知る重大な『アンチ装置』なのです。なので強引に縁を結ばせていただきました。強引に『ネフィア・ネロリリス』を作らないといけなかったのです」


 「作る」と言った。俺は聞き逃さない。否定しようとしても、心当たりしかない。何故父上は母上と逃避行し、わざわざ格上の「エリダードラゴン」に無謀にも立ち向かったのか。何故、駆け落ちした母上は名のある姫だったが快く死を受け入れたのか。全て全て一つだけ、圧倒的な理由を感じる。


「俺の父上、母上は『未来』を知っていた。そうですね、帝」


 帝は間髪入れずに答えた。


「はい、そのとおりです。ネフィア・ネロリリスを鍛え上げ、人として学ばせ、器を大きくさせ、今世から未来永劫に名を残させる伝説の祖を作り、『故障した修羅機構』『破綻した女神機構』『停滞した地下機構』の『リセットボタン』として、未来でくる。『もの』達への『対抗』となる存在が必要だったのです。なので千家の裏切り者ではなく。忠義、忠誠、世界の救世主を生む英雄だったのです」


 帝が深々と頭を下げる。それに俺は首を振って答えた。父上母上の死に追いやった使命を渡した相手だが。俺も同じ事をするし、今の状況を生んでくれた人に感謝をしている。


「赤子、いますしね。俺も同じ事をするでしょうから」


「ありがとう。許してくれて」


「それよりも、だいたい理解出来ました。ネフィアもいいな?」


 ネフィアは頷き、あくびをする。そしてネフィアは普通なことを口にする。気の抜けた大物である。いつものトラブルで慣れてしまっていた。


「私は英魔国に居るから。すぐには行けないよ。お仕事あるし、引き継ぎいっぱいある。まぁのんびりしとい………」


 唐突にネフィアが赤子の所へ飛び、俺はそれを護るように動く。佐藤は立ち上がり、帝はその光景に対応せず。唐突に叫ぶ。


「避けろ!!」


 その声と同時に、1本の剣筋が夢を両断する。あまりにも鋭い両断に佐藤は真っ二つに帝は刀の鞘で受け止め。ネフィアと俺は伏せて事なきを得る。そのまま佐藤が真っ二つの断面から肉塊の足を生やして蜘蛛のようになり、目の前に居る襲撃者を襲った。その瞬間にまた細切れに分割され、佐藤は違う場所で肉がくっつき笑みをこぼす。


「あー、ひと噛みいけると思ったのに」


 襲った人物の風貌は変わっており、カウボーイハットとマントの服装。そして顔は歪んで見えなかった。


「堕天使。能力は取り込み。女神の抹消者。能力は抹消。帝。能力は人心掌握。勇者。能力は風の風水師。そんな所だろう」


「朱里!! どうやってここまで……いや!! 無理して来たな!!」


 声は老のお婆さんの声に聞こえる。ネフィアが盾になって防ごうと緑の剣を取り出して構える。


「才なき者よ。やめておくとよい」


 マントから刀が伸びる。刀身は桜色であり、魔力のような物が纏っており、花弁が散る。しかし、それが魔力ではなく。ただの力の放流だと言うことは俺らは一瞬で理解した。ネフィアが額に汗を出す。


「夢へ離脱阻止が3分。それまで耐えて起きましょう」


「流石は大陸の覇者やなぁ。そこまで分かるんか、まぁ3分はかからへんから」


 そう言うが早いが佐藤が背後から仕掛ける。しかし、佐藤の体が吹き飛びネズミに噛まれたような傷跡を残す。佐藤が「ソードオフショットガン!? カウボーイ気取るクソババア!!」と叫び。マントの腕から一品が煙を吐く。


 ネフィアも動き、刀と打ち合った。佐藤のおかげで切りが浅くネフィア「でも」打ち合えたようだ。だが、排莢された中折のショットガンに弾が入りネフィアの腹に向かって放たれる。ネフィアが吹き飛び。野太い声で「いってええええええ!!」と叫ぶ。ネフィアの腹風穴が開く。


「ネフィア!! 武は向こうのが上だ!! それに……その弾は……魔族にも効く特注品だ!!」


「食らってるから分かる!! 魔石を火薬でばら撒いて、抉る魔法を使ってる」


「不正解。『銃』が効くのはいい収穫じゃったな」


 ネフィアの上から刀を振り降ろされ、それに剣で防ぐ。だが、ネフィアは普通に袈裟斬りで斬られており、あまりの速い刀であり、「ネフィアの弱点」をしっかりと見極めていた。


「いったいなぁーくそぉ…………なんてね、バーン」


 ネフィアから魔力が膨れる。そして、夢が弾けた。膨大な魔力自爆である。慌てて防御しようとして魔法が使えない所で赤子を守りながら肉体強化だけに留めた。ネフィアは生命力だけで普通に立っており、傷も全て回復。新しい服を着て吹き飛ばされた刺客と顔を合わせた。焼けた姿の初老の女性は歪んだ顔の唇だけを見せ「笑み」だけを伝える。


 致命傷ではない。マントが弾いたのだろう。


「ネフィア!!」


「トキヤ、私が殿をする。佐藤さんと帝くんに赤子も一緒にここを離れる。ちょうど味方来たみたい出し」


 下に穴が空き、全員が落ちる。その落ちる瞬間にネフィアと隣にもう1人の鏡写しのようなネフィアと思うネフィアが立っていた。中腰に拳を構えたネフィアと、魔法を用意する剣を構えたネフィアを見ながらそのまま穴に落ち、黒い世界で長い長い数分を味わいながら、俺は赤子とともに目を覚ましたのだった。


 




 






 





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